
from 師範代Shinya
(→前回の続き)
TOEICテストは、何度受けても、問題の難易度が変わっても、自分自身の英語力が変わらない限りは点数が一定に保たれる。
その仕組みを、テストを作っているETSの担当者のNoris博士の口から直接聞けたことは、僕にとって新しい学びでした。
さらにNoris博士が言っていて「おぉ!」と僕が思ったことが、もう2つあります。
それは、
①ムズカしい問題が解けなくても、満点は出る
②点数ごとの「できることリスト」は、勝手に決めているわけではない
ということです。
①ムズカしい問題が解けなくても、満点は出る理由
TOEICでは、毎回新しい問題を入れていますが、その問題の正解率を常に後から計算して、その問題が入れる価値があったかどうか?判定の正確さをゆがめてしまっていないか?を常にチェックしているそうです。
その結果として、「この問題は、みんな解けていない。900点レベルのつもりで作ったけど、前回900点を取れていた人でも、今回はほとんどの人が不正解になっている」と分かった場合、その問題を採点から除外するそうです。
つまり、その問題が正解しようと、不正解だろうと、点数に影響しないのです。
ということは、受験者目線で見るとテストを受けている最中に「これはムズカしい!」と感じる問題で時間をかけ過ぎるのは、もったいないことになります。
その問題は、後から採点除外問題になるかもしれないからです。
だったら無視して、さっさと次の問題に進んだ方が、総合点数は上がります。
実際にこれを聞いていた参加者で連続満点ホルダーの方が、
「だからか!最近、難しくて解けない問題が増えてきて、自信がない回が何回かあったけど、結果は満点で、あれ?と思ったんですよね!」
と言っていました。
こうして、実際の受験者のお体験談が聞けたのも、さらに説得力を感じました。
僕も満点を狙っていた時期がありますが、1問分からない問題が出ると、けっこううろたえてしまっていたのを思い出しました。
満点を狙う人たちでさえ、「あれ?分からない!」と思う問題がたまにある。
そしてそれが解けなくても、満点は出ている。
それが分かっていれば、本番で気がラクになると思いませんか?
年々ムズカしくなる問題でも、満点ホルダー数は変わらない?
僕はこのトピックに関連して、1つNoris博士に質問してみました。
それは、TOEIC問題の難化です。
最近、回を追うごとに問題がムズカしくなっている、読む分量が増えている、と言われています。
僕はこれを、TOEIC協会側の「満点を取らせないぞ戦略」だと思っていました。
ところが、TOEICテストを作っているNoris博士によると、そんなことはまったく考えていないそうです。(話している時の雰囲気から、本当にそう思っているのが伝わってきました)
難易度を上げているつもりはないし、満点ホルダーの数は偏差値性で一定に保たれているので、わざと振り落とすような問題を作る理由もないそうです。
ただ、常に新しい問題を加えながら改訂を繰り返しているので、その中で出てくる問題が、ある一定レベルの受験者にはムズカしく感じて、
「こんな英単語は以前に出てこなかった!TOEICは難化している!」
といったコメントにつながっているのでは?
と分析していました。
ただ、参加者の中で毎回TOEICを受け続けている猛者の方々のコメントでは、「数年前に比べると、パート7で読む量が増えていることは間違いない。また、文の構造も複雑になっていると感じる」とコメントしていました。
テストを作っているETSはアメリカにあるので、ネイティブの視点から見る問題の難易度と、日本人受験者の目から見る問題の難易度には、違いがあるのかもしれません。
今回のイベントで、そんな印象を受けました。
②点数ごとの「できることリスト」は、勝手に決めているわけではない
もう1つ、僕が面白いなと思ったのが、TOEICの点数別の「できることリスト」の基準についてです。
たとえば、「TOEIC700点以上持っていたら、仕事で英語を使えるレベルと言える」などの基準です。
これは、実際のリサーチに基づいて決まっているそうです。
メモをする時間がなくて詳しい内容はうろ覚えなのですが、
「実際にビジネスの現場でバリバリ英語を使っている世界中の人達に、
『このレベルの英文が読めたり、聞けたら、あなたの仕事で必要な基準を満たしていると言えるか?』
といったような質問をぶつけながら、回答に合わせてデータを作成したそうです。その際に、TOEICテストのリサーチであることを隠して行ったので、公平性が保たれている」
というようなことを、Noris博士がおっしゃっていました。
内容をハッキリ覚えているわけではないので、詳細は少し曖昧ですが、僕はこれを聞いて、
「TOEICって、本当にデータやリサーチの証拠を大事にしているテストなんだな。主観で決めないように、配慮しているんだな」
ということが分かりました。
Noris博士はこういったデータを生き生きとした表情で話していたので、きっと天職なんだと思います。
僕は詳しい仕組みやロジック的な部分は理解できませんでしたが、
「TOEICは常に客観性を重視して、そこに46年間も全力を注ぎながら進化し続けている」
ことは、しっかり伝わってきました。
同時に、僕はTOEICの価値を再認識しました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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