僕が英会話の講師になった理由

 From  師範代Shinya(新村真也)

僕は31歳のときから8年間、大手英会話スクールで講師として英語を教える仕事をさせてもらいました。そして、先日、そこを退職しました。

この8年間は、本当に学びの多い、充実した日々でした。

ここで働けたことは、僕にとってはまさに奇跡でした!本当に、文字通り、「奇跡」だったんです。

なぜかというと、僕は本来、教育業界には絶対に入れない世界にいる人間だったからです。

僕が大手英会話スクールで講師として働くことになったきっかけについてお話しさせてください。

実は僕にとってこの仕事は4つ目です。僕は高校を卒業と同時に働き始めました。

 

① 鉄鋼場の作業員(旋盤工)
   ↓
② イトーヨーカドーのバッグ売場の店員
   ↓
③ ジーンズショップの販売員(チェーン店)
   ↓
④ 異動先のショップで店長

 
と、英語とはまったく無縁の生活でした。

28歳のときに、たまたま趣味で英会話スクールに通い始めました。このとき英会話を始めたことで、僕の人生は大きく変わりました。

 

伸び悩み

最初の1年間は、その英会話スクールのテキストの宿題パートの最低限の部分だけをやって、あとは外国人の集まるバーに行って友達を作りまくっていました。

それは楽しかったのですが、1年たってもあまり上達を感じられませんでした。このままあと何年も続けていても、あまり上達はしないんじゃないか?と感じ始めていました。

 

音読メソッドとの出会い

ところがあるとき、音読メソッドについて書いた本に出会いました。僕は衝撃を受けました!音読トレーニングを続ければ、絶対に伸びる!!という確信が自分の中に生まれました。

この時にはまだ、僕の通っていた英会話スクールのレッスンでは音読やシャドーイングは取り入れられていませんでした。(今は取り入れられています)

なので、自分で音読教材を買って練習し始めました。本に書かれていたことは本当でした!

音読トレーニングを始めてから、僕の英語力はグングン伸びていきました。

毎週、毎週、自分ができることが増えていく感覚がうれしくて、毎朝音読しました。

今も音読トレーニングは毎日やっています。

 

新しい可能性

そして、3年後の31才の時には、僕の英語力はTOEIC735点レベルになりました。そしたら、それまでなかった「夢」が出てきました。

自分が蓄えた「力」を、海外で通用するか試してみたい!!という想いです。

そこで、思い切って行動に移すことにしました。ジーンズショップの店長の仕事を辞めて、3ヶ月、カナダに留学することにしました。

周りからは、

「バカだなー!やめとけ!」

と言われました。

「30才過ぎて帰ってきてから仕事を見つけるの大変だぜー!!」

とか脅されました。

でも、僕は海外に行くことを決断しました。

それまで僕は、留学どころか海外旅行すら一度も行ったことのない状態でした。

生まれて初めての海外が、まさかひとりで3ヶ月も住むことになろうとは!!

カナダでは本当に、たくさんの国々の人たちと友達になれました。僕はこのとき、英語の国際共通語としてのパワーを思い知りました。

 

英語がもたらすインパクト!

母国語が違う国の人同士が、「英語」というひとつの共通の言葉を使うことで、コミュニケーションができる・・・それが、こんなすばらしいことだとは!

と感動しました。彼らとは、今でもフェイスブックでつながっていて、たまに近況報告をし合ったりしています。

よく、

「英語を使えるようになると、世界とつながることができる」

と言いますが、それはこういう感覚なのか!と実感しました。

日本に帰ってきてからは、

「他の英語をがんばってる人たちにも僕と同じ感動を味わってもらいたい!」

と思うようになりました。そのために、

「英語を教える仕事につきたい!」

という気持ちが強くなりました。

でも、大きな問題がありました。

 

立ちふさがる「学歴社会のカベ」

僕は高卒です。31才で就活を始めましたが、応募条件はどこも大卒以上というところがほとんどでした。僕はそもそも応募資格すらない状態でした。

「学歴不問」と書いてある会社も、実際に電話してみると、「今は募集してません」と言われて、断られました。求人広告を見て電話しているのに・・・ですよ?(笑)

日本は、まだまだ学歴社会で、高卒の人間には冷たいということを痛感しました。

ふつうの会社でさえもそんな状況ですから、教育業界で高卒を雇ってくれるところなんてないだろうな・・・と思ってました。

実際、学習塾や英会話スクールの応募条件を見ても、大卒以上からしかエントリーできないようになっていました。

僕が生徒として通っていた英会話スクールのHPの応募フォームも、大卒以上の選択肢しかなく、そこを選択しないと先のページへ進めないようになっていました。

でも、僕はあきらめたくなくて、英会話スクールの先生になりたいということを、いろんなところで言っていました。

そしたら、奇跡が起こりました。

 

神様が味方してくれた!

僕は、自分が通っていた英会話スクールの関連会社の留学エージェントを通して留学しました。

そこで専属の「キャリアカウンセラー」という仕事をしている人と仲良くなりました。その人の名前は、佐藤さんといいました。

佐藤さんは、留学から帰国した人たちの就職をサポートするプロでした。あるとき、その佐藤さんに、

「僕、英会話スクールの先生になりたいんですけど、高卒なんで、エントリーできないんですよねぇ~」

と、ポロッと伝えました。

そしたらなんと!

それを聞いた佐藤さんが、留学エージェントの「
社長」にかけ合ってくれたんです!そして、その留学の社長さんから直接、僕の携帯に電話がかかってきました。

そして、僕にこう言いました。

「佐藤さんから事情を聞きました。佐藤さんが新村さんをすごく信頼していることが伝わってきました。なので、私も新村さんを信じます。

履歴書のデータを、私のメールアドレスに直接送ってください。私から英会話スクールの人事部に掛け合ってみます。

ただし、私が協力できるのは、そこまでです。入社試験に合格できるかどうかは新村さん次第です。

とくに、この会社で高卒の人が採用されたケースが今までに前例がないので、結果を保証することはできませんが・・・

ただし、推薦するには条件があります。私は新村さんを信頼して推薦します。もし入社できたら、最低でも3年は続けると約束してください。」

「もちろんです!!」

僕は即答しました!

その後・・・僕は、入社試験に無事合格しました!!そして、その大手英会話スクールで初の「高卒の講師」になりました。僕が31才のときでした。

別世界

英会話スクールで働き始めてから、僕はそれまでとはまったく違う世界に足を踏み入れたのを感じました。

周りの同僚は、外国人や、帰国子女、海外の大学を卒業した人や、日本の大学の英文科卒の人など、これまで僕の人生で一度も接点がなかったタイプの人たちです。

自分が教える生徒さんも、自分よりずっと立派なキャリアを持っている人たちで、最初はドキドキしました。自分が「先生」として、人前に立って、大卒で大企業に勤めるエリートの人たちを教えることになるとは!!

 

いい人たち

僕の前の職場(ジーンズショップ)では、ガラの悪い人たちをお客さんとして相手にすることがけっこうありました。入ってくるなり、大声で怒鳴りながらスタッフを脅してきたり・・・

でも、英会話スクールの生徒さんの中には、そういう人はひとりもいませんでした。みんな礼儀正しくて、穏やかです。

この「平和感」が僕はたまらなく好きになりました。みんな、すごくいい人たちばかりです。

 

そんなことはできない!という声

僕の人生は、英会話スクールの講師になることで大きく変わりました。でも、その前段階として、英会話を始めたからこそ、たどり着けた場所だと思います。

英語には、人生を変える大きなパワーがあります。

でも、何か新しい道に進みたいと思ったとき、たいてい、「それはできない」という声が自分の中に聞こえてきます。それを言う人も現れます。

この間、たまたまヤフーの知恵袋でこんな投稿を見ました。

投稿者は、

「高卒で、現在31才で、1年間の留学を終えて帰国した男性」

でした。(僕と似てる環境です!)

その人の質問が、

 

「英会話スクールの講師になりたいと思っているんですが、今からでもなれますか?」

 

という内容でした。

そしたら、みんなにこぞってボコボコに叩かれていました。

 

「世の中をナメない方がいいですよ!」

「高卒で教育業界に入るなんて、絶対に無理です。」

「早くあきらめて、さっさと違う仕事でも見つけた方が無難ですよ。」

 
といった感じです。

誰も「できる方法を見つけましょう!」なんて書いてありませんでした。

そして、本人もそれを読んで、

 

「やっぱりそうですよね、世の中甘くないですよね。あきらめます。」

と書かれていました。

僕はそのとき、思いました。

「いや、ここにあなたと同じ年齢で、同じ高卒で英会話講師になった人間がいるぞ!」・・・と。

「こんなところに自分の夢を書き込まないで、自分の周りにいる人たちの前で、『自分はこれをやりたい!』と語っていれば、思わぬタイミングでチャンスが舞い込んでくるかもしれないよ?」・・・と。

その投稿はすでに何年も前のものだったので、僕は何も書きませんでした。

でも、もし僕が英会話スクール講師になる前にこの投稿を読んでいたら、きっと心が折れて、あきらめていたに違いありません。

僕は今でも、英語には夢を叶える力があると信じています。

でも、夢を叶えるためには、英語力だけでは足りません。最後に行動に移そうとしたときに、きっと、そういう周りの「できるはずない!」という声が、最後の関門として立ちふさがります。

それは、周りの人たちだけでなく、自分自身の心の声かもしれません。でも、それを乗り越えた先に、すばらしい世界が待っているんだと思います。

 

新しい挑戦

そして今、僕はまた、新しい道に挑戦してみることにしました。

自分で独立して、英語を教えるスクールを立ち上げるという夢です。しかも、それと同時に「結婚」もします。

「起業」と「結婚」という、どっちもお金と時間と労力がかかりそうなことを、同時にしよう!と決めました。

このプランも、やろうと決めてからずっと、

「できるはずない!」

とたくさんの人たちに言われ続けてきました。

これからは、自分で生徒さんを集めなければなりません。しかも、場所はまったく土地勘のない東京です。

(僕は静岡県在住ですが、東京在住の彼女と結婚するために、移住を決意しました)

これは、英会話スクールに入社する以上にハードルの高い挑戦です。でも、僕はやってみたい。だから、やってみます!

うまくいくかなんて、やってみなければ分かりません。でも、今まで自分が積み上げてきたものが、どこまで通用するのか?それを見てみたいのです。

今は、ちょうど留学する前と同じような気分です。

僕は、英語力に加えて、この8年間で培ったものがあります。

それは、自分が8年間教えてきた英会話スクールの生徒のみなさんと一緒に積み上げてきた「経験」です。

生徒さんに「英語を教える」という「経験」です。

英会話スクールでみんなに積ませてもらったこの経験が、自分の今後の人生にどう生かせるのか?

それを確かめるために、僕はこの居心地のいい英会話スクールを飛び出すことにしました。

 

あたたかい応援

8年間、お世話になった英会話スクールを辞めるとき、また驚きがありました。

なんと、上司が僕に「お餞別」をくれたのです!

「私はシンヤ先生の独立を応援しているよ。きっとうまくいくはず!これを起業資金の足しにして。」

と言いながら、キレイな封筒に入ったお金を手渡してくれました。

その封筒の中には、応援のメッセージを書いた手紙まで添えられていました。

僕は涙が出そうになりました・・・

なんてことだ!!やめる職場の上司に、ここまで優しくされるとは!!

僕は18才のときから働き始めて、これまで4つの職場を渡り歩いてきましたが、こんなの初めてです!!

同じ英会話業界で独立する僕は、いわば「ライバル」になるわけです。

そんな僕を、心から応援してくれるという、上司のその「器の大きさ」に、僕は感激しました!!

さらに、僕の教えてきた生徒さんたちから、たくさんの送別の品やあたたかいメッセージをいただきました。

中には、時計や高級ブランドのペンやタイピンなど、明らかに万単位はするであろう、高価な品物までいただきました。こんな風に生徒さんたちから別れを惜しまれるのも初めての経験でした。

 

ゼロからの出発

よく、英会話スクールに勤めた講師が独立するときの「あるある」パターンのひとつが、「今教えている生徒さんを引き抜いて辞めていく」というものです。

これでトラブルになることも多いです。

中には、それを禁止する契約書にサインさせてから辞めさせる会社もあります。

僕の場合は引っ越して違うエリアで独立するので、そうなることはあり得ませんが、もし仮に同じエリアで独立するとしても、生徒さんを引き抜くことは絶対にしません。

なぜなら、生徒さんを引き抜いて辞めていくことは、「自分が得すること」しか考えていない行為だからです。

たしかに、ゼロからの出発は怖いし、最初からある程度の生徒さんを確保しておきたい気持ちは分かります。

でも、自分の不安を消すために、今まで同じ会社で一緒に働いてきた仲間がガンバって集めた生徒さんを引き抜くなんてことは、僕には考えられません。

そんなことをしなくても、僕には今まで生徒さんを8年間教えてきた経験と、応援してくれる仲間がいます。

これらはお金のようにハッキリと目には見えません。なので、他人からは僕は何も持っていないように見えます。

でも、僕の中には、それが「ある」のを感じます。

この「目に見えない力」を原動力に、これから前へ進んでいきたいと思います。

今まで僕が教えてきた生徒さんや、こうしてこのブログを読んでくれているあなたが、自分の望む英語を身につけて、それがきっかけで新しい夢を見つけたり、その夢を叶えるのを、これからも応援しています。

2017年1月1日

From  師範代Shinya(新村真也)

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