僕が外国人に接客しようとした時、パートやアルバイトはみんな笑った。 でも僕が外国人と話し始めると、、、

K子はいつになく混んだ行列のレジをさばいたところだった。

「副店長が役立たずだからこっちにしわ寄せが来ちゃって、大変~」とK子は僕に嫌みを言った。K子はベテランのパート社員だ。そしてこのジーンズショップに入社したばかりなのに上司になった僕を目の敵にしていた。

「いや~K子さん、さすがっすね!」と最近バイトとして入った大学生のMが、ここぞとばかりによいしょした。
彼は誰を敵に回してはいけないかをよく知っている。

とはいえK子のおかげでほとんどのお客様がお帰りになり、ホッと一息吐いたその時だった。

“Excuse me(すみません).”
一人だけ店に残っていたアメリカ人がK子に話しかけてきた。

アメリカ人が店にやってくるのは、実は珍しいわけではない。店の近くにアメリカ軍の基地があるのだ。

でも、これまで彼らが僕たち店員に話しかけてきたことは一度もなかった。

というのも、アメリカ人が来るときは仲間や家族と来ていて連れ同士で話していたし、K子の隙のないレジ打ちのおかげでアメリカ人のお客にはレジの値段表示を指さしてお金をもらい、”Thank you.”とだけ言えばよかったからだ。

でも今日は珍しく1人客のようだった。サングラスをかけて表情は見えないが、腕組みをしてしきりに首をひねってはK子に何か早口で言っている。
商品に気に入らないことでもあったのだろうか。でもここで変に手を出すと「余計なことをするな」とまたK子に怒られるので、棚の陰からそっと様子をうかがった。

K子はアメリカ人を前に固まっているように見えたが、すぐににっこり笑うと「OK」と言うと、こちらを振り返った。そして「副店長、お願いしま~す!」と僕に接客を押しつけてきた。

僕が「え?」と言っている間に、K子は先に隠れていたMと同じレジの奥にさっと入り、涼しい顔をしている。

僕は仕方なく、意を決してアメリカ人の方に向かって歩いていった。

副店長に任せちゃって大丈夫なんですか?英語できるんでしたっけ?」
MがK子に聞いているのが聞こえた。「できるわけないじゃん。副店長はM君みたいに大学行ってないし、外国人が来たときはいつも私がレジしてたもん。英語を話してるところなんて見たことないし」
「K子さんも人が悪いっすね~」
と2人のクスクス笑う声が聞こえた。

近づいてみると、アメリカ人の彼は170センチの僕よりも15センチは身長が高く、幅も倍はありそうだ。

「大人と子供みた~い」という声がまたレジの方から聞こえた。

僕がアメリカ人と話し始めると

僕は彼を見上げて

“May I help you?(いらっしゃいませ)”

と話しかけた。

アメリカ人は「このTシャツのもっと大きいサイズはないか?色違いもあれば見せてほしい」という内容を早口で言ってきた。

僕は「大きいサイズと、色違いですね。在庫を確認します」と英語で素早く答えた。

彼からTシャツをいったん受け取り、Mを呼んだ。

しかしなかなかやってこない。

レジの方を振り返ると、MもK子もレジに突っ立ったまま固まっていた。

僕が英語を聞き取り、さらに返答したことに驚きすぎたらしい。

仕方ないのでもうMを一度呼ぶと、ハッとしてこちらに小走りで近づいてきた。大きいサイズと色違いの在庫を確認するように言うと、MはTシャツを受け取り、バックヤードに向かった。

在庫の確認を待つ間、少しアメリカ人と世間話をした。
アメリカ人はやはり基地に勤める軍人で、今日は休日で買い物に来ていることなどを教えてくれた。

もうすぐ任務を終えるので家族に会えるのが楽しみだという。
僕は帰国前にぜひ寄ってほしい地元の観光地を伝えてみた。

Mが戻り、大きいサイズはあったものの、色違いはないと小さい声で報告してくれた。
そして逃げるようにレジに戻っていった。

仕方がないのでMの報告を英語にして彼に伝えると、”OK,OK.”と言ってくれた。
そして「ここのTシャツが気に入ったから」と、一番大きいサイズのTシャツを何枚も買い込んでくれた。

彼が店を出るときに、”Have a nice day!!(いい一日を!)”と見送ると、向こうも”You,too!!(あなたも)”と笑顔で返してくれた。

完全なる勝利!

アメリカ人のお客が帰ると、突然Mが大きく拍手をして「いや~副店長、さすがっすね!びっくりしました!」と言った。
K子はバツの悪そうな顔で、「意外とやるじゃない」と言って、バックヤードに引っ込んでしまった。

僕をバカにしたのを忘れたのだろうか。でも気分は悪くなかった。

Mが矢継ぎ早に質問してきた。
「副店長!何で英語が話せるって今まで教えてくれなかったんですか?どこでそんな英語を身につけたんですか?どこの英会話教室通ってるんですか?」

「英会話教室には通ったけど、そこでは全然話せるようにならなかったよ。1年半通ったのにTOEICの点数も300点で散々だった」と答えた。

「でも、あるときラーメン屋で見つけた雑誌に書いてあった『あること』が、僕の運命を変えたんだ。」
と言って、すべてを話した。

どうやって日本でネイティブと対等に渡り合える英語力を身につけたのか?

「で、どうやったらあんな風にカッコよく話せるようになるんですか?俺、実は大学で英会話サークルに入ってて、可愛い留学生と話せるようになりたいんですよね~」

Mは得意げに言った。僕は(さっき外国人と話すチャンスだったのに話さなかったんかい!)と心の中で突っ込んだが、口にはしなかった。

「そうなんだね。M君は英語の上達方法は、スポーツと同じだって知ってる?」と僕は聞いた。

「どういうことですか?」Mはピンと来ていないようだった。

英語は頭で理解する勉強だけでなく、身体を使ったスキルだってこと。M君は何か好きなスポーツはある?」と僕は訊ねた。

「サッカーですかね。中高時時代はサッカー部だったんで」

「なら話は早い。

サッカーの上達には、3つのステップが必要だよね。

まずは、サッカー自体のルールを知ったり、どうやったら上達するか?などの「知識」を入れること。サッカーなら「キーパー以外は手は使えない」とか、当たり前のルールを知らないとプレイできないよね。

次に、知識を反復練習で「技術」に変えること。サッカーならドリブルやシュートの練習だね。

最後に、対人で「試合」をして、練習したことを発揮する。

もし新入生がサッカー部に入部してきて「先輩、練習せずに試合で活躍したいんですけど、どうしたらいいですか?」って言ってきたらどうする?」

「『そんな方法あるか!!』って新入生をはっ倒しますね。」

「そうだよね。普段の練習をさぼって試合だけでうまくなる方法なんて存在しない。

英語も同じなんだ。英語の場合は、まず文法ルールなどの「知識」が必要だよね。これを学校で習う。次に「練習」して文法知識を技術に変える。それができてはじめて「試合」、つまり英会話ができるようになるんだ。」

英会話をするだけでいつか英語が聞こえるようになって、話せるようになることを期待することは、普段の練習をさぼっても、とにかく試合を繰り返していればそのうちプロサッカー選手になれると期待するのと同じだとわかったんだ。

「ってことは、英会話をしてればいつか英語が聞こえるようなる、話せるようになる!って思ってたのに無謀じゃないっすか!!」

Mは頭を抱えて絶叫した。僕は落ち込むMの肩を叩いて

「気持ちはわかるよ。僕もこの事実を知った時に同じようにショックを受けた。でも逆に言えば知識を技術に変える練習ができれば、誰よりも英語は上達するってことだからさ。」

と慰めた。

「そ、そうっすよね。ドリブルやシュートの練習をしてからサッカーの試合に出るように、今から英語でも技術を極めればいいんですもんね。・・・あれ?」

Mはふと何かに気づいたようだった。

「英語って文法は学校で教えてくれますし、オンライン英会話をやれば英語を話す場はありますけど、その間の「技術」ってどうすればいいんですか?」

「いいところに気づいたね!実はスポーツでは充実しているのに英語では誰も教えてくれない部分、それが『知識を技術に変える方法』なんだ」

僕は続けて言った。

「さっき言ったラーメン屋で見つけた雑誌に書いてあったのが、まさにその方法だったんだ!
英語の知識を技術に変える方法、それが「声だし」なんだよ」

「声だし??って何ですか?」

「声だしのやり方を知りたいなら、これを見てみるといいよ」

僕はスマホを取り出した。

40代から英語が話せるようになる3ステップ勉強法」っていうんだけど、これを見ればすぐに声だしのやり方がわかって、今日から実践できるよ。無料だし」

「40代からって。俺まだ20代ですけど(笑)」

Mは自分には関係なかった、というようにスマホを返してきた。

「たしかにね。でも、この方法を使えば40代からでも英語が話せるというだけで、はじめるのが早ければ早いほどいいよ。もちろん、はじめるのに遅すぎることはない。ただ、今何歳であっても気づいた時にすぐにはじめた方がいいんだ。」

「なるほど・・・でも俺、英会話サークルに入っといてなんなんですけど、あんまり学校の英語は得意じゃなかったんです。文法とか苦手で。そんな俺にもできますかね?」

「声だしのやり方自体はアルファベットのABCを習うくらい簡単だったよ。でもやればやるほど難しい英文もスラスラ読めるようになって、英語を話すのが楽しくなった。

誰でもできて、僕のように学生時代、英語が苦手だった人でも英語が話せるようになるんだ!」

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p.s.この物語は、ジーンズショップに勤めていた僕の実話に半分基づいたものです。

こんにちは、やり直し英語達成道場の師範代Shinyaです。

こちらですアップ

僕は28歳の時に「女性にモテそう」という不純な動機で英会話スクールに通い始めました。

そこで週1回レッスンを受け、近くにあった外国人の集うバーに週2回足を運び、実践の英会話を1年半繰り返しました。

でも一向に英会話が上達する感覚はありませんでした。

“Hey!! What’s up? “とあいさつはできても、その後の会話が続かないのです。

もちろん彼女もできません。

それどころか腕試しに受けたTOEICの模試は300点と散々な結果・・・

すっかり自信をなくしていました。

そんな時、たまたまジーンズショップの上司と一緒に入ったラーメン屋で、運命の出会いがありました。

それが雑誌に書いてあった「英語の知識を技術に変える方法」です。

雑誌にあった方法を信じて続けた結果、TOEICは300点台から700点台にジャンプアップ。

カナダにビジネス留学することができました。

さらに帰国後に大手の英会話スクールに転職し、その後も勉強を続けた結果、TOEIC975点、英検1級に受かることができました。

そして今は独立して自分のスクールを持ち、この「知識を技術に変える方法」を1,000人以上の生徒さんに教えています。

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