from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
多読トレーニングでは、英単語と文法の負荷を下げた英文を使って、「ゆっくり読めば、ほぼ100%分かる英文」を素材として使います。
意図的に英文のレベル(ボキャ&文法)を下げることで、英語初心者でも英文をたくさん読む体験ができるように工夫されたテキストが売られているのです。
それが、「多読用テキスト」です。
レベル1からスタートすると、中学英語の範囲内ぐらいのレベルで書かれた英文を読むことができます。
関係詞すら使われていない、短い英文だけで書かれた本もあるので、すごく読みやすいのが特徴です。
英文の種類は、バラエティー豊かです。
僕がこれまで多読用テキストで読んだことがある英文は、
・小説などの物語
・アップル創業者のスティーブ・ジョブズやマイクロソフトのビル・ゲイツなどの有名人の自伝
・有名ファッションブランドの歴史
・日本の昔話(桃太郎など)や、海外の昔話(グリム童話など)
・男女の心理学
など、かなり幅広くあります。
自分の興味の対象に合わせて、また、その時の気分に合わせて、トピックを自由に選べるのが良いところです。
レベルはできるだけ低いところから始めるのがコツです。
なぜなら、多読トレーニングの目的は、「英文の流れに乗る力」を養うことだからです。
英文の流れに乗る
多読をする時には、常に「英文の流れに乗る」ことを最優先にします。
英文の流れに乗るとは、どういうことでしょうか?
具体的に言うと、
①目線を左から右に一方通行で動かす。返り読みしない。
②目線を動かすスピードをできるだけ上げる。
③スピードを上げるために、声に出さない。
④一字一句理解しようとしない。全体の6割分かれば良しとする。
⑤自分が興味のある内容を選ぶ。(思わず先を読みたくなる内容でないと、たとえ日本語の本でも読み続けられない)
以上の5点を満たすことが、英文の流れに乗ることになります。
英文の流れに乗れれば、悩みがすべて解決する
・英文を読むスピードが遅い・・・
・英文を読んでいても、ぜんぜん頭に入ってこない・・・
・リスニングが苦手・・・
これらの悩みはすべて、英文の流れに乗れていないことに原因があります。
一見関係なさそうなリスニングも、実は英文の処理スピードが原因になっていることが、けっこう多いのです。
僕たち日本人は、学校の英語の授業で「和訳」中心の読み方を教わります。
たしかに、先生1人に対して大勢の生徒を教えるスタイルでは、和訳中心になるのは仕方ないと思います。
生徒が意味を理解しているかどうか?を確認するためには、和訳をさせるのが一番手っ取り早いからです。
でも、正確に和訳するためには、英文を何度も行ったり来たりする必要があります。
日本語と英語は語順がほぼ真逆なので、どうしても目線が行ったり来たりするクセがついてしまいます。
また、和訳をすると英文を読むスピードは当然、遅くなります。
でも、リスニングをしている時には、目線を戻すことはできません。
英文は常に左から右に一方通行で流れていきます。
また、ネイティブが英文を読むスピードは1分間に160語ぐらいのペースです。
かなり速いスピードです。
そうなった時に、「ゆっくり和訳」に慣れている僕たちの頭は混乱し、理解できなくなるのです。
ゆっくり読めば理解できる英文が、聞くと理解できない理由の1つは、「英文の流れに乗れていない」のが原因なのです。
(ちなみに、もう1つの原因は「発音」ですが、それはまた別のトピックなので、ここでは詳しく掘り下げません)
多読トレーニングから受ける恩恵は、すごく大きいのです。
英語のスキルのあらゆる面に、良い影響を与えてくれます。
中学英語の基礎文法力がある状態で多読を一定期間続けたら、おそらく自分でも驚くほど英語の全体的な能力が上がって、「やって良かった!」と思えるようになるでしょう。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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