17【TOEIC700点は、海外のビジネスで通用するのか?】

from 師範代Shinya

(→前回のつづき)

僕が留学する前の英語力は、TOEIC735点でした。

よく、「TOEIC700点台を持っていると、ビジネスで英語を使える力がある」と言われています。

ふだん仕事で英語を使っている日本人に聞くと、

「TOEIC700点台じゃあ、全然足りないよ!」

という人もいれば、

「長年海外赴任してたけど、TOEIC700点あれば十分に通用するよ。」

という人もいました。

これはもう、自分の身で試してみるしかありません。

そして、ついにそれを試すときがやって来ました。

僕が入学したスクールのビジネスコースでは、

1ヶ月目:西洋ビジネス文化を学ぶ。

2ヶ月目:英語の履歴書の書き方と英語プレゼンのやり方、そして仕上げに英語の就職面接の受け方を学ぶ。

3ヶ月目:現地の企業に応募して、受かった職場でインターン生として働く。

というプログラムでした。

2ヶ月目は、面接官役の先生を相手に、本番さながらの練習をしました。

自分のこれまでのキャリアや、これから入る会社で貢献できる内容をアピールする練習です。

自分を売り込むというのは、日本人にとってはけっこうハードルが高いです。

日本のビジネス文化では、「出る杭は打たれる」が主流です。

実際に僕が経験したこれまでの職場でも、元気の良い先輩が自分をアピールしまくっていたら、上司にガンガン打たれて平たくされて、おとなしくなってしまうシーンを何度も目撃してきました。

そのため、僕は職場では目立たないようにして、会議中は自分の存在を消すマインドが身に付いてしまっていました。

でも、英語圏ではそこから180度方向転換して、ガッツリ自分を売り込まなければなりません。

「ミーティング中に自分の意見を言わないなんて許されない!意見を言わない人は、この場にいる資格はない!」

という西洋ビジネス文化の考え方を教わりました。

英語面接の練習では、面接官役の先生から、

「自分の売り込む姿勢が弱い。もっと自信にあふれたしゃべり方で、堂々とアピールをしなさい。」

と何度も言われました。

僕にとっては英語そのものよりも、このマインドを変えることが、一番苦労したポイントでした。

練習すれば、できるようになる

最初は苦労しましたが、何度も練習するうちに、だんだん自分を売り込むセリフが口からスラスラ出てくるようになりました。

そしてコースの締めくくりの最後の試練、「実際に仕事に応募する」ステージに進みました。

学校に登録してあるたくさんの現地企業リストの中から、自分がやりたい職種のポジションを探して、自分で履歴書を送って応募するのです。

日本の就職活動では「会社の知名度や規模」などで応募先を選ぶ傾向があります。

でも西洋では、「自分のスキルが活かせて、将来に活かせる経験値が積めるポジションの仕事」に応募するのが主流です。

そのため、会社の規模にはあまりこだわらない人が多いみたいです。

日本企業では、「うちはたくさんの経験値を積めて、やりがいのある職場です!」みたいにアピールする職場は、実はブラック企業・・・なんてパターンがよくあります。

サービス残業が当たり前になっていたりして、待遇が良くないから、数字で表せない「やりがい」でアピールする、という図式です。

でも、英語圏の国々では、この手法は使えません。

サービス残業は違法なので、厳しく取り締まられます。

というか、そもそもサービス残業する社員がいないそうです。

最初の面接に応募した時に言われた条件と違った場合は、社員はすぐに辞めるし、ついでに会社を訴えて損害賠償を求めることもあります。

だからこそ西洋文化の中では、自分が働く会社の規模にこだわらなくて良いのかもしれません。

僕が選んだ職種

僕は、前から興味のあったマーケティングのポジションに応募しました。

会社の業務内容は、「最近できたばかりの私立大学の生徒集め」です。

僕はそれまで、マーケティングの仕事自体はしたことがありませんでした。

でも、自分の職歴の中で部分的に引き出せることをつなぎ合わせて、

「ウソではないけど、マーケティングに強引に結びつけて、うまいこと書く」

というスキルを学んでいました。

その作戦はうまくいって、書類審査は通りました。

あとはいよいよ、面接です!

僕より先に面接を受け始めたクラスメイト達が、次々に断られて第2志望、第3志望を探しているのを見ていたので、僕はモーレツに緊張してきました。

初めての英語の面接

面接会場の企業に行くと、海外ドラマでよく見るような、

「大きなガラス張りのカベ&大きな木製の机&黒い本革製のイスのある部屋」

に通されました。

そこは、僕の面接をしてくれるマーケティング部長の部屋でした。

部長は、アジア系の女性でした。(後から知ったのですが、その部長は韓国出身の移民でした)

韓国人女性は見た目が日本人ぽくて親近感があるので、白人や黒人よりは緊張感が薄れました。

その女性は明るくて話しやすいオーラがあり、おかげで僕は、リラックスして面接を受けることができました。

結果は、その場で採用が決まりました!

僕はさっそく次の週から出勤することになりました。

とりあえず採用されて、僕はホッと胸をなでおろしました。

英語が現場でどこまで通用したか?

実際に業務が始まって、僕の英語がどのぐらい通用したのか?

結論からお伝えすると、

「思った以上に通用した」

というのが、正直が感想です。

「TOEIC700点台があれば、仕事で使える」という言葉は、けっこう当たっていると思います。

もちろん、TOEIC LRテストで測れるリスニングとリーディングの「受け身の力」だけでは足りません。

僕はこれまでイメージ刷り込み式英語鍛錬で「英語を話すこと」に特化して訓練してきました。

単に紙のテストの上で700点を取る力ではなく、その力を口から出せる状態だったからこそ、現場で通用したんだと思います。

職種によって英語の難易度は変わる

ただし、その後の色んな職種の人の体験談を聞くと、TOEIC700点台では全然通用しない仕事内容もあるようです。

職種と自分のポジションによって、必要とされる英語力は変わってきます。

たとえば、研究職の人が、普段から海外の論文を読んで、自分の論文をまとめて海外で発表するようなシーンでは、TOEIC700点どろこか、900点レベルでも足りないぐらいのボキャブラリー(専門用語)が必要になるでしょう。

参考までに、カナダでの僕のポジションは、こんな感じでした。

①職種:マーケティング部

②自分のポジション:基本の仕事は競合他社のリサーチ作業&リサーチ結果をミーティングで報告すること。

③追加の業務:自分のデスクが受付にあるので、受付の電話が鳴ったら出て、回線を担当者に回す。

という3つです。

この3つにおいては、当時の僕の英語力で何とか切り抜けられました。

もちろん、余裕はありませんでしたが、自分の力を100%出し切って、ギリギリついていける感じでした。

特に③の電話対応が最も難易度が高くて、毎回電話が鳴るたびに緊張したのですが、分からない時には相手にしつこく聞き直して、何とか切り抜けることができました。

僕がいたマーケティング部では、そんなにガチガチな専門用語は出てこなかったのも、切り抜けられた理由の1つだと思います。

毎日がいっぱいいっぱいでしたが、自分の英語力がちゃんとカナダの企業で通用しているのが嬉しくて、僕は毎日仕事に行くのが楽しみになりました。

最高のオファー

カナダでの仕事の最終日、僕の英語がちゃんと通用していた証拠になるような出来事がありました。

それは、「副社長からのオファー」でした。

副社長室に呼ばれて、

「このままうちの会社で働き続けてもらえないだろうか?正社員として雇って、就労ビザも出すから。」

と言ってもらえたのです!

副社長は、1ヶ月の間に僕に何度か話しかけたり、ミーティング中に僕の報告を聞いてくれたりしていたので、このオファーは僕にとって、とても嬉しい出来事でした。

もし、僕の英語が通用していなかったら、おそらくこんな風には言ってもらえなかったと思います。

とても嬉しいオファーで、ぜひ受けたかったのですが、実は僕はこの時、婚約をしていました。

お互いの両親への挨拶も済ませて、日本で式場まで予約していたので、僕は日本に帰らなければなりませんでした。

副社長にそのことを伝えて、僕は後ろ髪を引かれる思いで日本に帰ることにしました。

(結局、この時に婚約していた女性とは、その後に破局してしまいました。ただその時には、日本で新しい仕事をしていたので、カナダに戻ることはありませんでした)

日本で身に付けた英語は、世界で通用する

僕は、カナダでの滞在期間を終えて、目的を達成することができました。

「日本で鍛えた英語力は、海外でも通用する。日本にいながら、世界に通用する英語力は手に入る」

それが、僕がカナダでの3ヶ月間で学んだことです。

僕は、ますます「イメージ刷り込み式英語鍛錬は信頼できるメソッドだ」と感じました。

 

・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む

 

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From  師範代Shinya(新村真也)

やり直し英語達成道場 師範代)