【英語の就職面接を初体験】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
※毎週日曜日は、過去に投稿して好評だった「僕が31歳でカナダに留学した時の体験談」のブログ記事をお届けします。
 

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僕がカナダに留学して2ヶ月半くらいたった頃のこと。
 
履歴書とカバーレターの書き方を教わって仕上げたあと、次はいよいよ面接試験の練習になりました。
 
いつもの先生とは違う人が面接官役になって、ひとりひとりと個人面談するスタイルでした。
 
違う人が対応する理由は、たぶんいつもの先生だと慣れているので、甘えが出たり緊張感が出ないからかもしれません。
 
授業中にひとりずつ呼ばれるスタイルではなく、昼休みの時間帯に20分くらいの時間枠を事前に予約して、時間になったらその部屋に行くというスタイルです。
 
自分が応募したい職業ジャンルを決めておいて、それを事前に申し込み用紙で伝えておくと、面接官はそのジャンルの人になりきって質問を変えてくれるとのことでした。
 
この面接の練習自体が強制ではないので、練習をやるかやらないか?いつやるのか?を全部自分で決めて予約して動かなければなりません。
 
こういう自主性を尊重するところも、欧米文化ならではです。
 
もちろん、僕はやることにしました。
 
お昼ご飯をさっと食べ終えると、自分の履歴書とカバーレターを持って、その部屋に向かいました。
 
心臓がドキドキして、さっき食べたばかりのサンドイッチの消化に悪い感じです。
 
ドアの前で深呼吸をしてから、ゆっくりと開けました。
 
 
 

面接官

部屋の中には、コンピューターの前に座った女性がにこやかに迎えてくれました。
 
ちょっと緊張が解けます。
 
僕の選んだジャンルは、「マーケティング」でした。なぜそのジャンルを選んだかは自分でもよく分かりません。
 
ただ、前の仕事がジーンズショップの店長を7年間やっていたので、販売に関することが職歴として自身がありました。
 
が、もう売場に出て「いらっしゃいませ~!」を言うのはこりごりでした。ジーンズショップの前のイトーヨーカドーの頃と合わせると、10年間も売場で「いらっしゃいませ~」を言い続けていたので、すっかり飽きていました。
 
カナダに来てまで店員として現場で働くのはイヤだ・・・という理由から、事務職を探したのですが、そもそも欧米では「事務職」なんてざっくりしたくくりはありません。
 
オフィスで働くことが多かったとしても、それは自分が選んだジャンルがたまたまコンピューターを使う機会が多かっただけであって、結果にすぎないと。
 
最初から「事務職希望」なんていうあいまいな志望動機は通用しないと先生から言われていました。
 
 
 

超積極的&超具体的

面接が始まりました。面接官役の女性は、笑顔で僕にガンガン質問してきました。
 
「ここで転職したのは、どんなキャリアアップの道を狙ってのことですか?」
 
「あなたがこれまでやってきたことを活かして、今後どんな風に会社に貢献していくつもりですか?」
 
「あなたがもし採用されたら、この会社のどの部署でどんな仕事をこなしていきたいですか?」
 
といった感じの質問です。
 
ここで感じたことは、欧米の面接試験で問われるのは、「超積極的な態度」と、「超具体的なプレゼン力」だということでした。
 
この内容は、カバーレターに書いた時にある程度まとめて頭の中が整理されていたので、割とスムーズに答えることができました。
 
 
 

日本の就職面接との違い

ふと、高校3年の時に担任の先生がひとりずつ就職面接の練習をしてくたのを思い出しました。
 
僕の卒業した高校は商業科です。進学クラスではなかったので、クラスメイトの9割が就職していきました。僕もそのひとりでした。
 
僕は当時、自分がやりたい仕事もわからず、とりあえずお金がもらえて休みがあるならそれでいい、という、ありがちな10代の学生の考え方でした。
 
担任の先生が面接試験練習で言った言葉は今でも忘れません。
 
「いいか、君がこの会社でやりたいことは何か?と面接官に聞かれたら、すかさず『何でもやります!』と答えるんだ。
 
 
そうすれば、まず落ちることはない。社会へ出たら、わがままを言わず、上から言われたことは何でもやります!っていう姿勢のやつが高く評価されるんだ。
 
運動部の出身者が高く評価されるのは、それが理由だ。運動部は上下関係が厳しいからな。それに3年間耐えたやつは、会社でも同じように従えるってことだ。」
 
 
この時の先生の「まず落ちることはい」というセリフは、今となっては非現実的ですが、当時は、まだバブルが弾けたばかりで、世間の人々が認識し始める前だったので、面接合格率はほぼ100%という状態だったようです。
 
 
「就活」なんて言葉もこの時にはありませんでした。 だから、先生は「まず落ちることはない」と言ったんだと思います。
 
 
 

運動部の苦い思い出

ちなみに僕は、この直後の1社目の面接本番に落ちました。そして、代わりに一緒に受けた野球部のキャプテンが合格していました。
 
 
僕は1年生の時には剣道部でしたが、厳し過ぎる上下関係と先輩からの「ヤキ入れ」などの暴力的な文化に疑問を抱き、2年生になってからすぐに退部しました。
 
 
「やはり先生の言った通り、運動部出身者が有利なのか。ってことは、上下関係の話も真実なんだろうなぁ・・・あのツラさが社会に出ても続くのか?あぁ~せっかく抜け出したと思ったのに・・・」
 
 
と気分が落ち込んだのを今でも覚えています。
 
 
 

ビジネス文化の違い

ここで注目すべきは、日本と欧米のビジネス文化の違いです。

欧米の就職面接試験では、「言われたことは何でもやります!」なんて言ったら、ソッコーで落とされます。
 
「自主性がない」
「具体的なビジョンが描けない」
「自信を持っている専門スキルがない」
 
と判断されて、「使えないやつ」というレッテルを貼られてしまいます。
 
 
転職歴は「キャリアアップの意識の高さ」と判断されます。
 
でも、日本では真逆です。入社前に自分がやりたいことをガンガンプレゼンしてくる人は、
 
「こいつは先輩の言うことを聞かなそうだな」
「上の命令に従わないタイプだな」
「職場の和を乱しそうだ」
 
と判断され、「使えないやつ」というレッテルを貼られてしまいます。
 
 
転職歴のある人は「耐える根性がない」という精神論で片づけられます。(最近は転職もそれほどネガティブイメージではなくなりましたが)
 
最近就活中の大学生に聞いた話では、今の企業の就職試験はだんだん欧米化してきているようで、僕がカナダで学んだような積極的な自己プレゼン力が求められるらしいです。
 
でも僕の予想では、それは建前だけで、組織の中はそんなに変わってないと思います。小さなベンチャー企業でもない限り、面接試験で希望した通りの仕事内容をやらせてもらえるなんてことはめったにないと思います。
 
今でも日本の職場では、「言われたことは文句言わずに何でもやる人」が重宝されるような気がしています。
 
 
 
 

僕が知りたかったこと 

面接練習は無事終了し、面接官役の女性からは「まあ大丈夫でしょう!」という評価をいただきました。
 
僕は思いました。
 
「面接ではこんな感じで積極性が求められるけど、実際の職場はどうなんだろう?ここで言った希望が本当に通るんだろうか?もし入社後に自分が積極的に自主性を持って動いたら、先輩たちにウザがられるんではないか?上司から押さえつけられるんじゃないか?」
 
と半信半疑でした。なぜなら、僕はこれまでに何度もそういう目に遭ってきたからです。
 
「余計なことはするな!」
「勝手なマネすんじゃねー!」
「文句言わずに言われたことだけやってろ!」
 
こんなセリフを上司や先輩から浴びせられた経験が何度もある僕には、欧米の「自主性」を重んじる文化が信じられませんでした。
 
だからこそ、僕はここカナダで働いてみたいと思ったのです。「本音とタテマエ」の違いを見極めるために・・・
 
・・・つづく
 
 

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