from 師範代Shinya
(→前回の続き)
※最近、新しく出たばかりの人気本のレビューの続きです。
これは、「英語の学び方の全体像」を知るための本です。
英語がぜんぜん話せない状態から、自由に話せるようになるまでの道筋が見えるように書かれているのです。
僕も今まで、たくさんの英語学習法の本を読んできました。
色んな先生が色んなことを言っていて、どれも理に適っています。
ただ、1つ問題があって、
「初中級レベルの学習者目線からは、みんなそれぞれ違うことを言っているように聞こえるので、混乱する」
ということです。
「シャドーイングは効果バツグン!すべての英語学習者にオススメ!」
という内容の本や動画を出している先生もいれば、
「いやシャドーイングはやらなくていい。その時間でこっちをやりなさい。」
という本や動画を出している先生もいたり。
たくさんの本を読めば読むほど、相反する知識が増えていって、混乱してしまうというデメリットがあります。
色んな違う意見が出る理由
なぜそうなるかというと、ほとんどの英語学習本は、先生の個人的な体験をベースに書かれていることが多いからです。
先生個人が英語を身につけた方法と、その先生の生徒さんたちが英語を身につけた方法をベースに書かれていることがほとんどです。
もちろん、それは悪いことではありません。実際に効果があった人たちがいることは間違いないメソッドなわけです。
ただ、他の人に効果があったからといって、必ずしもあなたに100%当てはまるとは言い切れません。
多くの勉強法の本や動画は、「全体の中の一部を切り取って解説しているもの」が多いからです。
たとえば、英語が話せるようになるために必要な要素が4つあるとします。
A,B,C,Dの要素です。(たとえばの話なので、シンプルにします)
世の中にある本の多くは、A~Dの中の1つを伸ばすメソッドを1冊の本にまとめていることが多いのです。
たとえば、Dだけに特化して書かれた本など。
確かに、それは間違いなく効果があるメソッドでしょう。でも、それ単体で効果を感じられる人は、たまたまDだけが欠けていて、他のA~Cの部分は足りている人なわけです。
だから、効果に個人差が出てくるのです。
これには、出版事情もあると思います。
A~Dまですべてを網羅した本は分厚くなってしまいます。
また、1つに特化した方が「英語を話せるようになりたかったら、○○をやりなさい」のように、インパクトのあるタイトルにできるので、出版社としては売りやすくなります。
全体像が見えないと、迷子になる
でも、英語学習者目線では、この4つの全体像が見えていないと、色んな教材やメソッドを行ったり来たりして、迷子になってしまうわけです。
新しい勉強法の本を読む度に、これまで自分がやってきたことが否定された気分になったり、ムダに思えて、ヘコむわけです。
これが、色んな英語勉強法を知るデメリットとも言えます。
そこで、今回の本が役に立ちます。
この本は、英語が話せるようになるまでに必要な全体像を見せてくれる本です。
しかも、著者の個人的体験ベースで書かれた本ではありません。もちろん、あゆみ先生と生徒さんたちの体験談も載ってはいますが、それはあくまで補足的な位置づけです。
第二言語習得論をベースにした本
この本のベースは、「第二言語の習得論」です。これまで世界中の学者たちが、
「人はどうやって母国語以外の言葉を身につけるのか?」
というテーマで、何十年も研究し続けてきたジャンルが、第二言語習得論なのです。
「人間の脳の作りの研究」とも言えます。
研究というのは、個人の体験ベースではなく、色んなサンプルを使って実験を繰り返しながら、共通点を見つけていく作業です。
世界中にいる学者たちが生涯をかけて研究し続けた内容を蓄積しながら、その知識や知恵を、次の世代に伝えていく。
それが、研究や学問のすごいところですよね。
ただ実は、僕たち日本の英語学習者や学校の先生が、この第二言語習得論を知る機会というのは、すごく少ないです。
第二言語論が日本で知られていない理由
なぜなら、世界の研究論文は、ほとんどが英語で書かれているからです。
日本語に翻訳されたものでも、専門用語が多すぎたり、言い回しが堅苦しかったりして、読みづらいものが多いんですね。
そこで、そんな状況を打開するために、最近新しく登場したのが、今回の本です。
「科学的に実証された1万以上の論文を基にした」
という部分が、画期的です。
世界中の第二言語習得論の論文の中から、日本人が英語を学ぶ時に関係のあるものだけを抽出して、さらにその内容を、ふつうの英語学習者が読んで理解しやすいようにまとめた本。
この、気の遠くなるような作業をやってのけたのが、著者の川崎あゆみ先生なわけです。
僕は今回、出版社からサンプルを1冊お送りいただいたので、最後まで読みました。
感想を一言で表すと、かなり骨太な内容を、うまくかみ砕いて読みやすくまとまっていると感じます。
次回からは、この本の一部のエッセンスをご紹介します。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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