From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
その日の夜、僕が寝る部屋は、ジェフが実家にいた頃に使っていた部屋でした。
二階の部屋の中に入ると、大きな窓から遠くの景色が見えました。
このエリアは住宅街のようで、背の高いビルはひとつも見当たりません。
建物は屋根が低いので見通しがよく、一つ一つの家の前には広い庭があり、緑の芝生や木々が広がっています。
窓を開けてみました。
ひんやりとした空気が入ってきて、顔に当たって気持ちいいです。4月とはいえ、この気温はさすがカナダです。
耳を澄ましても、何も聞こえません。
外はすごく静かです。
見たことのない景色
家の前の広い庭から通路が延びていて、その先に道路があり、向かいに隣の家が見えます。
家と家の間がすごく離れているので、隣の家の明かりがすごく遠くに見えます。
おそらく、ここに住んでいる人たちにとっては、この光景は、何の変哲もない日常風景でしょう。
でも、僕にとっては最高な光景です!
日本では見たことのない美しい景色に感動しました。
この景色が見れるだけでも、ここへ来た価値があります。
トロントの観光地では決して見ることのできない、「人々の生活」が見える気がしました。
赤ちゃんの写真
窓を閉めた後は、ジェフの部屋を見回しました。
「そっかぁ、ジェフはここで大きくなったんだなぁ!」
ふとカベを見ると、たくさんの写真が飾ってありました。
どの写真も古くて味があります。
金髪の子供達と両親が幸せそうに写っている写真がありました。家族の集合ショットでしょうか。
その写真たちの中に、僕の目を引くものを発見しました!
すごく小さな赤ちゃんの写真です!
ぽっちゃりした白いホッペタに、青いクリクリの目がこっちを見ています。
超ニコニコ笑顔です。
めっちゃかわいいです!!
僕は、それを見た瞬間、
「トビーや!!」
と叫んでしまいました。
トビー
僕は子供の頃、大好きで何度も見返していた映画がありました。
それは、「ラビリンス」という映画です。
ジェニファー・コネリーとデビッド・ボウイという2大スターが共演している映画で、この2人以外は全員、「ゴブリン」と呼ばれるモンスターです。
デビッド・ボウイは「ゴブリン国の王」で、ジェニファー・コネリーは「夢見がちな高校生」という役でした。
主人公のジェニファー・コネリーが、悪役のデビッド・ボウイをやっつけに、魔王の城に乗り込む・・・というストーリーです。
当時はまだCG技術もなかったので、ゴブリンたちはすべて人形でした。
このゴブリン人形たちがものすごいよくできていて、生きているみたいにリアルに動くので、感動モノでした!
そして、実はもうひとり、この映画の中で生身の人間が出演しています。
それがトビーなのです。
超かわいい赤ちゃん
トビーは、「ジェニファーの父親の再婚相手との間に生まれた赤ちゃん」という設定でした。
なので、ジェニファーにとっては年が離れた弟になります。
そのトビーを、魔王のデビッド・ボウイが誘拐して自分の城に連れ去り、ジェニファーはトビーを助けに行く・・・というストーリーです。
映画の中でのトビーのセリフは、「アイ、アイ、アイ」くらいでした。
当時のトビーは1~2歳くらいだったのではないでしょうか?
このトビーが、ものすごく可愛らしいのです!
クリクリとカールしたブロンドヘアーに、白いホッペタ、タプタプの二重あご、青くてパッチリした目と、無邪気な笑顔。
そして、トビーの何よりのトレードマークが、「全身がすっぽり入る赤ちゃん用の全身タイツ的な服」でした。
トビー・スーツ
その全身タイツは赤と白のボーダーで、ものすごく目立ちます。
僕らはこの全身タイツを、「トビー・スーツ」と名付けました。
僕は、小学生だった当時、弟と一緒にこのトビーのシーンを何度も巻き戻して見ていました。
そして、大人になって弟が結婚して子供が生まれた時も、弟がどこかで見つけて買ってきたトビー・スーツにそっくりなやつを自分の子供に着せて、「トビー風写真」を撮りました。
僕ら兄弟にとって「トビー」は、かわいい赤ちゃんの象徴なのです。
まさかの再会
ジェフの部屋に飾ってある写真の中の赤ちゃん(ジェフ本人の幼少期)は、まさにこの「トビー」そのものだったのです!
着ている服は赤と白のボーダー全身タイツでした!!
これって、欧米の赤ちゃんはみんな着ている定番服なんでしょうか?
それに、トビー・スーツだけでなく、顔の作りもトビーにそっくりです。すごく似ています!
昔大好きだった映画の登場キャラにここで再会することになるとは!
しかも、よく見たらトビーの写真がまだたくさんあります。
きっと、両親にとっても自慢の写真だったに違いありません。
トビーの写真が何枚か続いた後、徐々に成長する姿が見える写真の配列になっていました。
小学生
↓
中学生
↓
高校生
↓
大学生
くらいまでの写真が飾ってありました。最初はトビーの状態から、だんだん今の「ひげもじゃジェフ」に近づいていく感じです。
あぁ、こんなにかわいいトビーが今や、身長2メートルのひげもじゃ男になってしまうとは・・・
僕はその夜は、ジェフの成長の歴史を見ながら、眠りにつきました・・・
・・・つづく。
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