from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
前回、5つ目の理由として、「試験の内容と普段の勉強内容が一致していない」ことをお伝えしました。
最後の6つ目の理由は、これとは逆パターンになります。
つまり、「試験用の勉強だけをしている」です。
試験用の勉強と言っても、英単語や文法の勉強ではなく、あくまで「試験問題(過去問や予想問題集)を解くだけ」のパターンです。
実は、けっこうやってしまいがちです。
試験問題を解いて、その後に解答を確認する作業は、時間がかかります。
頭がフル回転して、エネルギーを消費します。
そのため、試験問題を解いていると、すごく勉強した気分になります。
「今日もたくさん勉強したぞ!」
という充実感が得られるのです。
さらに、試験本番と同じ気分を味わえるので、なおさらヤル気が上がります。
問題に正解すると、楽しくなってきます。
小さな成功体験を味わえるからです。
試験問題はひっかけ問題があったり、時間内に○○問解かなければならない、などのゲーム性が高いので、楽しくてハマってしまう人も多いです。
その結果、覚えてもすぐ忘れてしまう英単語学習や、時間のかかる文法学習、音読などの声出しトレーニングは後回しにして、1日の大半を「問題解き」に費やしてしまうのです。
問題解きだけやった場合の末路
1日の大半を問題解きに費やした場合、得られる結果は2パターンあります。
パターン①
練習問題では良い点が出ることもあるが、本番ではいつも点数が同じか、むしろ落ちることがある。
パターン②
本番の点数も上がっていくが、英会話力には変化がない。その結果、「TOEICの点数は高いけど、しゃべれない人」というレッテルが貼られる。
この2パターンのうち、どちらになるかは人によります。
大学時代に英語の知識(文法や英単語)を高めた人であれば、その時の余力で何とかパターン②に持ち込めることがあります。
また、僕が出会った英語学習者の中では、すごく勘が良くて、試験問題を解きまくるだけで点数を上げられる人も、たまにいました。
ただ、そういうタイプは20人中1人ぐらいです。
普通は、パターン①に落ち着きます。
また、パターン②になった人でも、英語が話せないので、途中でイヤになって英語学習自体をやめてしまうケースも多いです。
特に「会社から言われてTOEICの点数だけを取る場合」は、目標点数が取れた瞬間に、英語学習から離れる確率が高いのです。
試験問題を解きまくっても点数が伸びない理由
なぜ、試験問題を解きまくっても、点数が伸びないのでしょうか?
それは、試験問題は「知識のアウトプット」だからです。
元から入っている知識がどのぐらいか?を測るのが資格試験です。
試験問題を解くことで、知識が増えていくことはありません。
もちろん、ゼロではないのですが、効率が悪いのです。
「いや、そんなことはない!間違った問題はしっかり分析して、なぜ間違ったのかを理解する過程で、文法力や英単語力が上がっていく感じがしてるし!」
と思われるかも知れません。
もちろん、それは間違いないでしょう。
でも、効率という点で言うと、アウトプットの中でインプットをしようとするのは、かなりムリがあります。
試験問題を解いていると、不正解の問題は分析しますが、正解の問題は分析しません。
さらに、選択肢すべてに目を通して、100%理解できているかを確認する人は少ないです。
試験問題を解いている時には、たいてい制限時間内に解いているので、じっくりとすべての選択肢に目を通すヒマがありません。
後から見直すときにも、内容が膨大すぎて、正解した選択肢まで細かく分析する気にはなれないことが多いのです。
また、1度分析して「なるほど!」と思ったとしても、しばらくすると忘れてしまいます。
もし、試験問題を使ってインプットしようと思ったら、
「同じ問題文と選択肢の英文の全文を、トータル50回以上音読する」
ぐらいやる必要があります。
これはかなり大変です。
アウトプットだけでは伸びない
この記事を読んでくれているあなたは、「英会話だけを繰り返しても、自分の英語力は伸びない」ことは知っていると思います。
会話の中で登場する知らない英単語を、その場で一瞬で覚えることはできません。
外国人の先生にメモを残してもらったとしても、1度に登場する英単語はおそらく10個ぐらいでしょう。
それだったら、英単語帳を使って同じ時間勉強すれば、30個~50個ぐらいカバーすることができます。
しっかり覚えるためには、同じ英単語の勉強を50回~100回反復する必要があります。
それを英会話の中で行うのは現実的ではありません。
アウトプットだけでインプットを行おうとするのは、効率が悪すぎるのです。
だからこそ、インプットの時間とアウトプットの時間を分ける必要があります。
試験問題を解く作業=アウトプット
と覚えておくと、勉強メニューが偏るのを防ぐことができます。
・・・つづく。
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