【カナダの起業家と対談】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
僕の留学先でのカナダのビジネスクラスの授業は、「机に座ってお勉強スタイル」は少なくて、バリエーションがたくさんありました。その中に、変わったコーナーがありました。
 
それは、「ビジネス遠足」です。
 
ビジネス遠足という名前は勝手に僕が名付けましたが、文字通り遠足みたいにみんなで外へ行くアクティビティーです。
 
そして、その行き先と目的は「お仕事見学」です。
 
バンクーバーのビジネス界で実際に現役でバリバリ働いている「成功者」と直接会って話を聞いたり、質問できるという、ナイスな企画でした!
 
こういうのは、学校のコネクションと信頼があるからこそできることです。個人レベルでは絶対に知り合えないジャンルの人たちです。
 
その中で僕が印象に残っている「成功者」3人と会ったときの話をあなたとシェアしたいと思います。
 
 
 

成功者ひとり目:起業家

1人目は、バンクーバーで超有名なコーヒーチェーン店の創始者でした。
 
彼はひとりでコーヒー店を始めて一代で富を築いたらしく、今ではバンクーバーのいたるところに彼のお店があって、大繁盛しているとのことでした。
 
同じようなコーヒーチェーンで強力なライバルのスタバがあるにも関わらず、彼のコーヒー店は変わらず根強い人気を誇っているそうです。
 
スゴい!!大企業にも負けないパワー!!
 
 
 

起業家のイメージ

僕は行く前に、「起業家」に対してこんなイメージを抱いていました。
 
ビシッと高級スーツを着こなし、背筋がピンと伸びて、エネルギーに満ちあふれ、ハキハキしゃべり、目力があって、ギラギラした眼光を放っている。
カピカに磨かれた靴をはき、腕にはロレックスの時計が光っている・・・
 
そんな人物像です。そんな人に会えるのか!これは楽しみだ!とワクワクしました。
 
店内に入ると、僕らはドキドキしながら彼を待ちました。
 
時間になっても彼は現れませんでした。先生が店長らしき人と話に行きます。どうやら、オーナーはまだ店に来ていないらしく、僕らはコーヒーを飲みながらのんびり待つことにしました。
 
この辺の時間のルーズさは、文化的なものなのか?それとも、起業家だからか?
 
そんなことを考えながら僕らはコーヒーを飲んでいました。実は僕はコーヒーが苦手なので、ミルクとシュガーを多めに入れて、カフェオレみたくして飲みました。
 
 
 

オーナー登場!!

だいぶ長く待たされて、このままコーヒーだけ飲んで帰ることになりそうだな・・・と思っていると、突然、僕らの前に身体の大きな男性がニコニコしながら現れました。
 
「あれ?他のお客さんかな?」
 
と思いながらみんなで顔を見合わすと、先生が言いました。
 
「こちらが、オーナーの○○さんですよ。」
 
えーーーー!!
 
この人が??
 
僕がその人をお客さんだと思ったのは、彼があまりにも「らしくない外見」をしていたからです。
 
上はカジュアルな柄の薄いテロテロのシャツを着て、下は冬なのにショートパンツです。(寒くないのか?)長く伸びたヒゲ面に、ちょこんと乗った小さなメガネ。お腹はかなり出ています。
 
毛むくじゃらの腕を見ると、ロレックスどころか、時計すらしてません。
 
年齢は50代~60代くらいでしょうか。
 
どう見ても、「一代で富を築いた成功者」のオーラはありません。ものすごいラフな感じです。
 
僕は自分の抱いていたイメージとのあまりのギャップに、しばらくこの光景が信じられませんでした。
 
 
 

インタビュー

先生がオーナーにいろいろと質問し始めました。すると、彼はニコニコしながらあれこれ答えてくれました。
 
しかし!よく聞き取れません!!
 
ただでさえ他のお客さんでにぎわうコーヒー店内は、ザワザワしています。
 
加えて、オーナーのしゃべり方はなんだか雑な感じで、先生みたくハッキリしっかり発音してくれません。
 
声はデカいのですが、スピードが速いのに加えて滑舌が悪く、テキトーに流しながら話している感じです。とても「ハキハキしゃべる」とはほど遠いです。
 
ぬぉ~!聞き取れん!!
 
なんとか分かったことは、
 
・オーナーは最初はひとりで小さな店から始めたこと。
 
・その後、人を雇って店をたくさん作るアイデアを思いついたこと。
 
・今はほとんど店の経営にはノータッチなこと。
 
 
でした。今は、自分なしでも店が回るようになっているので、あまり働かずに趣味の釣りを楽しんでいるようです。
 
 
 

カジュアルな雰囲気

オーナーの話の内容は詳しく理解できなかったものの、僕は彼の持つ「雰囲気」に興味を引かれました。
 
ものすごくカジュアルな感じで、本当にどこにでもいそうなオジサンなのです。後日、街ですれ違っても絶対に気づけないでしょう。
 
こんなぞんざいなしゃべり方をして、いい加減な性格に見える人が、この街でもトップクラスに入る成功者だなんて!!
 
僕の中で、「成功者」のイメージが大きく変わるのを感じました。
 
 
 

太っ腹

その後、質問コーナーに入りました。僕はなんとか質問しようと思いましたが、彼の話した内容の半分以下しか理解できていなかったので、質問内容が浮かびませんでした・・・
 
他の生徒たちも、あまり聞き取れていなかったようで、いつもの授業中のような積極性がなくなっています。
 
スペインとブラジル出身の生徒がコーヒーの作り方について何か質問していましたが、それ以外に特にビジネスの確信を突くような質問をする人はいませんでした。
 
最後に、オーナーは僕らが飲んだコーヒー代金をタダにしてくれました。そして最後にこう言いました。
 
「君たちの中から、未来の起業家が生まれることを願ってるよ。困ったときはいつでも私に相談に来てくれ。私が知っていることは何でも話そう。」
 
おぉーー!!なんて太っ腹な!!たとえリップサービスだったとしても、懐の深さを感じる言葉を残して、彼は笑顔で去っていきました。
 
 

起業家という人種

僕はこのとき、生まれて初めて「起業家」という人種を目の前で見ました。

僕はそれまで、「社長」と「起業家」の違いを知りませんでした。
 
組織の中で一番えらい人=社長=経営者=起業家
 
というシンプルな図式が頭の中にありました。社長と経営者と起業家がみんな同じ人だと思っていたのです。
 
みんな、血のにじむような努力して、組織の中で勝ち上がり、会社に身を捧げ、その代償として地位と名誉を手に入れている・・・そんなイメージでした。そして、会社をゼロから作った人は、雲の上のような存在で、一般社員は直接会う機会すらない・・・みたいな感じです。
 
でも、今日会ったオーナーからは、そんな雰囲気はまったく伝わってきませんでした。
 
若い頃は今とは違っていたのかもしれませんが、それでもあのオーナーがそんなにバリバリやっている姿は想像できません。
 
この日を境に、僕の中で「起業家」に対する興味がわいてきました。
 
そして、次に僕が会ったふたり目の成功者=大企業のCEOの人と今回のオーナーとのギャップが、より大きなインパクトを与えました・・・
 
・・・つづく。
 

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From  師範代Shinya(新村真也)

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