from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
※先日アニメ「鬼滅の刃」の最新シリーズの最終回を見た体験から学んだことの続きです。
前回の記事では、日本のアニメを英語字幕で見た時に僕が感じた違和感についてお伝えしました。
英語字幕だと、ストレートすぎて日本語本来のニュアンスが伝わりづらいのです。
日本語のニュアンスを、余すところなく全部英語で伝えようとすると、セリフが異様に長くなり、とても字幕では収まりきれません。
そこで、最も日本語のニュアンスに近い英語の短い言い回しを選ぶことになります。
僕が今、自分の音読トレーニング用の教材として使っている、横山カズ先生著の「日本語のように話せるキレッキレ英語」というテキストには、この手法が詰まっています。
たとえば、「筋を通す」という日本語を短い英語で表す場合、2通りの言い回しが載っています。
「筋を通す」の2つの言い回し
① not got back on my word
「自分の言ったことに後戻りしない」
というニュアンスで、筋を通すのニュアンスを表現できます。(本の279ページから引用)
② go through the proper channels
proper = 適正な
channel = 経路
「しかるべきところに話を通して」ものごとを進めるイメージの言い回しです。(こちらも本の279ページから引用)
どちらを使った方がいいかは、文脈によって変わります。
このように、英語でも短い言い回しで日本語を表現すること自体は可能だということが、この「キレッキレ英語」のテキストを読んで
実感しています。
翻訳エンジンやAIは、こういった文脈を読んで細かいニュアンスをくみ取るのが苦手です。
どうしても、人間の力が必要になります。
しかも日本語と英語、両方に精通している人が必要です。
この「キレッキレ英語」の本も、著者の横山カズ先生が十年以上かけてためてきた個人コレクションの一部を書籍化したものです。
この「日本語のニュアンスまで余すところなく英語のする」という高レベルの翻訳作業には、膨大な時間がかかります。
マンガやゲームの英語版が手に入るのは、数年後
これはアメリカ人の友人から聞いたのですが、日本のアニメ、マンガ、ゲームなどの新作が発売された後、アメリカで英語版が発売されるまでには、かなりのタイムラグがあるそうです。翻訳作業にめちゃ時間がかかるからです。
そのアメリカ人の彼いわく、以前アメリカのTVゲーム業界では、有名な「ゲームの日英翻訳に特化した専門の企業」が1社あったそうです。
日本のロールプレイングゲームなどの「ストーリー重視ゲーム」の日本語セリフを、その会社が英語に訳すと、原作に忠実なストーリーが楽しめる!そしてアメリカ人も感動で涙を流せる!と評判だったそうです。
ところが、この翻訳作業が膨大で時間がかかるので、日本の発売日から3年経ってようやくアメリカで発売!みたいなことがざらにあったそうです。
アメリカ人のゲームマニア達は、「日本語が理解できたら!3年早くこのゲームをプレイできたのに!」と悔しがったそうです。
ゲーム専門の日英翻訳会社が倒産した結果
その後、その翻訳会社が倒産してしまいました。
正確には、他の業界の大企業が買い取って吸収してしまったらしいのですが、その後は翻訳事業を辞めてしまったそうです。
その後、アメリカに入ってきた日本のTVゲームの英文がつまらなくなってしまいました。
明らかに変な訳が増えたそうです。
そしてアメリカ人のゲームマニア達は、
「日本語が理解できたら!もっとこのゲームで感動できたのに!」
と悔しがったそうです。
中には本気で日本語を学び、細かいニュアンスを英語で短く言えるようにまで熟練し、自分の考えた日本語訳を、ネットで無料公開する者まで現れました。
それを見たアメリカのゲームマニア達は次々と日本を猛勉強し、同じように翻訳作業に協力して、みんなで1つのゲームを短期間で英訳するチームがネット上に出来上がったそうです。しかも、無償のボランティアで!
最終的には、日本のゲームをプレイしていたアメリカ人ゲーマーたちが、自力で日本語を身に付けて、倒産した翻訳会社の代わりを務めたわけです。
ものすごい熱意と執念ですよね!(笑)
そのぐらい、エンタメ市場には熱があるのです。
日本語と英語の両方ができるから、スゴい
そういう話を聞いた後、こうして「鬼滅の刃」で感動の涙を流している今、僕は改めて「日本語と英語の両方が理解できるメリット」を感じています。
英語のメリットは、「世界で通用すること」です。
ネット上で読める&聞けるコンテンツの量では、英語の方が圧倒的に有利です。
でも、アニメやマンガ、ゲームなどのエンタメのクオリティーでは、まだまだ日本語が有利なんだな、ということを、実感しました。
世界をリードするエンタメを100%楽しむためには、日本語ができる必要があります。
そして、エンタメで元気になり、人生の目的を学ぶこともあります。
特に「鬼滅の刃」では、「主人公とその仲間が鍛錬して少しずつ技を身に付けていく姿」を描いているので、英語学習へのモチベーションが上がります。
そこで得たモチベーションは、仕事にも活かせます。
僕はこれまで、エンタメをナメていました。
でも、考え方が変わりました。
「英語ができるからスゴいんじゃない。英語と日本語の両方ができるからスゴいんだ!」
ということを、改めて実感した瞬間でした。
これからも、自分の中で「日本語と英語の境目がなくなる状態」まで鍛錬を積んでいく覚悟を決めました。
一緒にガンバりましょう!
(完)
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