from 師範代Shinya
以前の記事で、僕が「人間電子辞書」になったお話をお伝えしました。
僕の娘(2才)が、目に入るものすべてに対して、
「これは?」
と聞いてくるようになったのです。
僕が、そのアイテム名を発音すると、リピートしてきます。
ホメてあげると、満足してすぐ次のアイテムを指さしながら、また「これは?」を連発してきます。
僕が答えないと、「これは?」を何度でも連発してくるのです。
それにより、僕は単語の発音をしまくる「人間電子辞書」になりました。
家にいる時にも「これは?」をこんなにたくさん連発するなら、きっと保育園でも1日中連発しているのでしょう。
おそらく、娘が1日に発する「これは?」の回数は、軽く100回を超えていると思われます。
そしてしばらく経った頃、娘の発音に変化が現れました。
「じじば」って何?
あるとき、僕に向かって、
「じじば?」
と言ってきたのです。
僕はてっきり、じーじ&ばーばーのことだと思って、「今日はじーじばーばの所には行かないんだよ。」と答えました。
ところが、娘はまた「じじば?」と言ってきます。
よく見ると、ムチムチの短い指でパンを指さしながら、「じじば?」と言っているのです。
(ん?これはもしや、発音を聞いているのか?)
そう思って、試しに「パン!」と答えてみました。
すると娘は、「パン!」とリピートしました。
満足してまた次のアイテムを指さしながら、「じじば?」と言います。
(あ!間違いない!「これは?」って言っているつもりなんだ!)
と僕は気付きました。
言い過ぎて逆に発音がくずれる
その後もよく観察していると、娘は「じじわ?」とか「いいば?」とか、違うバリエーションで発音しているのです。その中にたまに「これは?」と正しい発音も混じってきます。
おそらく、本人も発音が崩れていることに気付いてないのでしょう。
最初の方は毎回「これは?」としっかり良い発音で言えていたのに、何度も発音し過ぎて崩れてきたと思われます。
僕はこの現象を見て、自分がジーンズショップの店長をしていた頃を思い出しました。
お店で働く人たちが毎日声に出す、
「いらっしゃいませ~!」
「ありがとうございました~!」
この2つのセリフは、どんなタイプのお店でも使われるテッパンフレーズだと思います。
特に僕の働いていたお店のエリアでは、ボスが「気合いと根性」を重視する人だったので、1日中、大声で「いらっしゃいませ&ありがとうございました」を連発することを義務づけられていました。
売上が悪いと、「いらっしゃいませの声が足りない!」とハッパをかけられました。
そのため、店長たちはみんな怒鳴るような大声を出すのが当たり前になって、洋服屋さんと言うより、八百屋さんに近い雰囲気でした。
「さぁ、らっしゃいやせ~ぃ!」
みたいに、ねじりはちまきを巻いたおじさんのような雰囲気で声を出す人が、高く評価されていました。
僕も何度も何度も声を出していました。
その結果、3年目あたりから発音が崩れ始めました。
「っしゃせ~!」
「ありやっした~」
しか言えなくなってしまったのです。
これは本当です。
どんなにガンバってゆっくりしゃべろうとしても、
「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」というような発音ができなくなりました。
「あり」まで言うと、自動的に「やっした~」になってしまい、自分の意志ではコントロールできなくなったのです。
僕は、習慣の恐ろしさを身にしみて感じました。
その後、ちゃんと「ありがとうございました」が言えるようになったのは、お店で働く仕事を辞めてから数年経った頃でした。
母国語である日本語でも、同じフレーズを何度も声に出し過ぎると、自然に崩れてきて自己流発音になります。
その崩れ発音が習慣化すると、今度は正しく直せなくなるのです。
そしてこれは、英単語の発音練習も同じです。
英単語も発音し過ぎに注意!
ふだん音読トレーニングや瞬間英作文トレーニングをしていると、発音しづらい英単語に出会うことがあります。
何度発音しても、うまくいかない。
CDのお手本のようにできない。
電子辞書で英単語1つの発音を確認する。
それでもうまく発音できない。
何度も何度もリピート発音する。
ここまでは、上達のためには大事なステップです。
ただ、それでうまくできなかった場合、適当な所で切り上げて先へ進んだ方が良い場合もあります。
同じ英単語を何度も何度も発音し過ぎると、僕の「ありやっした~」
や、娘の「じじば?」のように変なクセがついてしまう可能性があります。
その時にはカンペキに言えなくても、とりあえず先へ進んで、後から戻ってきて練習し直すと、急に言えたりすることもあります。
別の英単語を発音しているうちに舌の筋肉が鍛えられて、発音できる音の幅が広がるからです。
もしあなたが「これは苦手だなぁ~」と感じる英単語に出会ったら、「こだわり過ぎずに先に進む」ということを思い出してくださいね。
僕はこの先、娘の「じじば?」が、いつ「これは?」に戻るのか?そのきっかけは何か?を観察し続けて、またシェアしたいと思います。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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