
From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
僕が最近読んで衝撃を受けた、「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか」というタイトルの本のレビューの続きです。
前回の記事では、この本が他の英語ハウツー本と決定的に違う点は、「ストーリー」にあるとお伝えしました。
「小説スタイル」という、英語教育界では斬新な手法で、「日本人が英語を話せない理由」と「じゃあ、どうすればいいの?」という答えを伝えています。
とはいえ、いくらストーリー形式で学ぶことが有効だからといっても、ストーリーそのものがイマイチだったら、世界観に入り込めませんよね?
でも、この「もしなる」は、想像以上に心を動かされました。
このストーリーは、誰も想像できないような流れで展開していきます。
いつの間にか引き込まれて、手に汗握り、気がついたら涙がじんわり
僕が初めてこの本の表紙のイラストを見た時、軽いタッチで若い女性向けのイメージを受けました。
本の帯には「爽快青春小説」と書いてあったので、よくある「学園恋愛ドラマ」かなと思ったのです。
でも、実際に読み始めてみたら、中身はこの表紙のイメージからは想像もつかないくらい、硬派な内容でした。恋愛の話は一切出てきません。
「硬派」と言っても、堅くてつまらないというわけではありません。
むしろ、ストーリーに引き込まれます。この先どうなるのか?先がまったく読めないし、何より心が動かされるのです。
落胆、ワクワク、怒り、友情、恐怖、悲しみ、希望、情熱
といった、僕ら人間が心を動かされる要素がすべて詰まっています。
性別、年齢関係なく、誰が読んでも心を動かされるストーリーです。
僕は読みながら、拳を堅く握りしめて、手に汗をかいていることがありました。
じんわり熱いものがこみ上げてきて、泣きそうになることもありました。
主人公の感じている「言い様のない絶望感」も一緒に味わいました。
読み終わるまでには、
「日本の英語教育を変えなければ!」
「自分も英語力を磨き続けなければ!」
という熱い衝動が何度もこみ上げてきました。
え?それってどんな話なの?と気になりますよね?
どんなストーリー?
ネタバレしない範囲でストーリーをお伝えすると、主人公は中学校の英語教師です。28才の独身女性で、2校目に
「学校の英語(読み書き)が得意だったので英語教師になったけれど、実際に英語を話すことは苦手」
という、日本人によくあるパターンで悩んでいます。同僚で同い年の女性が帰国子女で、英語がペラペラなので、なおさら自分の英語力に自信が持てずにいる感じです。
そんな主人公が、たまたま仕事帰りに見つけた小さな英語スクールで、「使うための英語」を学び始めます。
そのスクールには3人の講師がいます。
①超熱くて恐い、変わり者の学院長(30代女性:美人)
②物腰やわらかな、でも心の底に熱意を秘めた元塾生(20代男性:イケメン)
③ネイティブ講師1人(年配女性)
です。学院長と元塾生は、日本国内だけで英語力を高めたタイプで、とても流ちょうな英語を操ります。
主人公は「この2人のような英語が話せるようになりたい!」とトレーニングを始めるのですが・・・
「本当に成果の出る実戦的なトレーニング法」と、「中学校で自分が教えている方法」があまりに違うため、そのズレに悩み始めます。
自分が英語力が上がるにつれて、「その方法で生徒を教えられないもどかしさ」を感じ始めるのです。
そこで、主人公は思いきった行動に出ます。
新しいことを始めようとすると、必ず起こる「周りとの衝突」や「上からの圧力」がリアルに描かれています。
おそらく会社組織で働いたことのある人なら誰でも経験したことのあるであろう「無力感&やりきれなさ」が強烈によみがえります。
一方で、1人の情熱が伝染して、周りの人たちを動かしていくこともあります。
これ以上はネタバレになってしまうので、やめておきますが、年齢や性別に関係なく心を揺さぶられるストーリーです。
誰もが経験している「中学校」を舞台にしているので、学生時代の思い出と共に、世界観に入っていくことができます。
英語に対する熱い想い
この本全体に流れるのは、「英語教育に対する熱い想い」です。とても熱いのです!
こんなに熱い本は、英語学習本の中では出会ったことがありません。
英語学習法の表面的なテクニックを説いた本はたくさんあります。
もちろん、この本にも英語上達法がたくさん出てきます。
そのどれもが分かりやすく、「なるほど!」と納得するものばかりでした。
この本に書かれていることは、「日本国内で英語力をある一定レベルまで高めた人」しか知り得ないノウハウです。
世間にあふれる「ラクして短期間でペラペラ」という方法論をバッサリ切り捨て、「遠回りせずに確実に英語を伸ばすための方法」を余すところなく伝えています。
・英単語力
・文法力
・発音
・リスニング
・スピーキング
といった、スキル別の効果的な学習法が分かります。
でも、何よりもこの本で伝わってくることは、
「なぜ、僕ら日本人は『使える英語』を身につける必要があるのか?」
ということです。
この「なぜ?」の部分に、ここまで深くて熱い価値観を突きつけられたことは、今までにありませんでした。
・・・つづく。
コメントを残す