from 師範代Shinya
「何かついてるよ。」
2才の娘を風呂に入れている最中に、カベを指さしながら僕に言ってきたセリフです。
確かに、目をこらすとカベに小さな黒いものが見えます。
よく見ると、蚊ぐらいの大きさの小さな汚れでした。
(よくこんな小さいのが見えるなぁ~。そして、よく気付くな~!)
子どもの目の良さと注意力に驚きつつ、僕は娘の言語能力の発達にも驚きました。
「何かついてるよ」
という言い方は、英語にすれば、
There is something (on the wall).
です。
「カベに」の部分を言わなかったとしても、文章としては完全です。
抜けている部分がありません。
①「何か」で対象物をボカして、
②「ある」ではなく「ついてる」でカベにくっついている感を出し、
③「~よ」で僕に対して呼びかけて、反応を促す。
という3つの要素が、このセリフの中に入っています。
このセリフを娘がどういう感覚で使っているのか?分かりません。
上記①~③を意識して組み合わせているとは思えませんが、少なくとも口から出てきた構文はカンペキです。
(まあ、きっと保育園で他の年上の子がしゃべっているのをマネしてしゃべっているんだろう。呪文を覚えるように、音でフレーズを丸暗記したんだろうな。もし主語や時制が変わっても、同じ言い方をするに違いない。)
と思っていました。
汚れを取った後の、娘の一言
僕は最初は「何かついているね~」と同意するだけでしたが、娘は何度も何度も、「何かつているよ!」「パパ!何かついてるよ!」と連発してきました。
つまり娘は僕に同意を求めているのではなく、
「近くに行ってチェックしてこい。そして、原因を突き止めたら、対処せよ。」
という命令をしていると分かりました。
僕はしぶしぶ娘の背中を洗う手を止めて、ティッシュを片手に取りました。
ティッシュを少しお湯に濡らしてから、カベに付いている黒い汚れを拭き取りました。
色が真っ黒かったので、カビだったのかもしれません。
ティッシュを丸めていったん浴室の外のゴミ箱に捨てるために出ました。
すると、後ろから娘が僕の背中に向かって言いました。
「何がついてたの?」
「な!なにぃーーーー!!!」
僕は衝撃を受けました。
過去形を使いこなしているじゃないかぁーーー!!
他の部分は一切変えずに、「ついて『る』」の部分を、「ついて『た』」に変えて発話したのです。
これには驚きました。
僕は娘の質問内容そっちのけで、すぐに振り向いて質問し返しました。
僕:「もう一度言ってみて!」
娘:「え?」
僕:「今のセリフもう一度言ってみて!」
娘:「え?」
僕のセリフは通じていないようです。
僕:「どこでそんなフレーズ習ったの?」
娘:「え?」
やはり会話は成り立ちません。
それなのに、先ほどの発話内容は文法的にちゃんと合っています。
娘の頭の中で、どういう風に今のフレーズをひねり出したのか?僕は気になって仕方ありませんでした。
考えられるパターンは2つ。
①瞬間英作文のように、一部を変えて過去形だと認識しながら作文した。
②フレーズ丸暗記で覚えたセリフをそのまま口に出した。
確率としては②の方が高そうです。
ただ、もし②だったとしても、終わったことに対して使うという選択ができることが、すでに過去形の使い方を知っているということになります。
僕にとっては、けっこう衝撃でした。
今回、たまたま偶然、娘の口から出たセリフが過去形で当たっていたのか?
それとも、娘は今すでに過去形の使い方をマスターしているのか?
そこまでは分かりません。
でも、僕が英語の過去形を覚えた時には、瞬間英作文トレーニングで何度も何度も刷り込んで、型を身体に入れました。
無意識レベルでとっさに過去形が使えるようになったのは、瞬間英作文トレーニングを始めて1年以上経ってからです。
ところが、わずか2才半の娘が日本語の過去形をカンペキに使いこなしたのです。
もちろん、どの程度の精度かは今後も観察を続けないと分かりませんが、とにかく僕は驚きました。
2つの疑問
僕の疑問は、
・どこでどうやって、そのフレーズを身に付けたのか?(保育園の先生、クラスメイトなど)
・しゃべっている時には、どういう感覚なのか?瞬間英作文的に、部分だけ入れ替えてしゃべっている感覚なのか?それとも、呪文を覚えるように意味を意識せず、音で覚えてしゃべっている感覚なのか?
この2つの疑問に対する答えを見付ける方法は、娘が僕の質問に答えられる場合だけです。
でも、残念ながら僕と娘は会話が成立しません。
「○○したいの?」
「うん。」
というように、Yes / No 疑問文には答えられます。
でも、
「どうやって○○したの?」
「何を○○してるの?」
といった、WH疑問文には答えられません。
子どもの言語習得は、観察すればするほど、謎が深まるばかりです。
現時点でハッキリしたことは、母国語の習得と第2言語の習得は、明らかに違うルートを通っていることぐらいです。
もう少し観察を進めて、何か新しい気付きがあれば、またシェアしますね。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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娘さんの言語習得力、凄いですね!
これは本にしてほしいくらいです。
ウチの下の3歳と4ヶ月の孫は、よくママにねだってLINEテレビ電話してきます。
よく喋り、自作の歌を歌い、踊り、プリキュアの映画もみんなと映画館で観て楽しんでます。
子どもの成長には、いつも驚かされるけれど、1〜3歳の言語能力の発達速度は、『どうなってるの?』と聞いてみたいくらい凄いものがありますね。
ありがとうございます!
お孫さんがLINEテレビ電話してくるなんて、可愛いですね!
自作の歌を歌えるようになっているのは、スゴいですね!!
プリキュアの映画もみんなと映画館で観れるなんて、かなり高い言語処理能力の証です。
本当に、1〜3歳の言語能力の発達速度には、驚かされます!