【娘の言語習得の観察日記:自然な表現を使うようになる①】

from 師範代Shinya

先日、3才の娘をベビーカーに乗せて、商店街に向かって歩いている時のこと。

商店街が見えてきた瞬間に、娘が短い指で商店街の方向を指しながら、こう言いました。

娘:「なんかこっち行きたーい!」

それを聞いた僕は度肝を抜かれて、自分の耳を疑いました。

僕:(な、なにぃーーー!!今、「なんか」って言ったぞ!信じられない!どこでそんな表現覚えたんだ?どうやって使いこなせるようになった?今までにそんな表現を一度も教えたことはないぞ!)

日本語で「なんか」というのは、自分にそういう気持ちや欲求があることをやんわり伝える表現、という認識が、僕の中であります。(辞書的な定義は、厳密には違うかもしれませんが)

・なんかカレー食べたくなってきた

・なんかウキウキする

・なんかこれ、キモい

といった感じで、ストレートな表現を避けて、すこしクッションをはさむようなニュアンスを感じます。

英語で言えば、kind of ~が近い気がします。

・I kind of want to eat curry.
(なんかカレー食べたくなってきた)

・I’m kind of excited.
(なんかウキウキする)

・This is kind of gross.
(なんかこれ、キモい)

というように、kind of をはさむことで、「なんか」に近いニュアンスを出すことができます。

そして、こういった「あいまい表現」を使いこなせるようになると、とたんに「ネイティブ感」が増すと感じます。自然な表現に聞こえるのです。

「なんかこっち行きたーい!」というたった一言で、娘の日本語は、どんどんネイティブレベルに近づいていると、僕は実感しました。

さらに度肝を抜かれるセリフで追い打ちを食らう

娘の短い指が指す方向に向かって進み、商店街に入ってしばらくすると、目の前に保険屋のお店が現れました。

そのお店の前には小さなテーブルが置いてあって、テーブルの上には、緑色のゾウのぬいぐるみが置いてあるのが見えました。

そのぬいぐるみは、丸い形をしていて、ゾウの顔から手足が生えているようなデザインになっています。

球体の顔に、超短い手足と、大きな耳、長い鼻、くりくりの丸い目がついている姿は、小さな子どもが描く絵に似ています。

(子どもは両親の似顔絵を描くときに、なぜか身体を描かずに「顔から手足が生えている」形で描くことが多いようです)

そのぬいぐるみはけっこう大きくて、大人が両手で抱えてギリギリ手が後ろまで回せるかどうかぐらいのサイズ感です。

サイズも色もデザインも、とにかく目立ちます。

すると娘は遠くからそのゾウのぬいぐるみを見つけて、また短い人差し指を伸ばしながら言いました。

娘:「あっ!エレファンチュのかわいいやつがいるよ。ちょっとこれ見たいんだけど。」

僕:(な、なにぃーーーーーーーー!!なんて自然な日本語を使うんだ!!信じられん!!)

僕は、うろたえました。

いったい、娘の脳内はどうなっているのか?

娘のしゃべり方や声の感じは、赤ちゃんに毛の生えたようなものです。

すごい「小さな子がしゃべっている感」が漂っています。

だからこそ、この自然な日本語の文法とボキャでしゃべってくることに、違和感を感じてしまうのです。

どの辺が自然に聞こえるのか?

先ほどの娘のセリフをもう一度分析してみましょう。

↓↓↓

娘:「あっ!エレファンチュのかわいいやつがいるよ。ちょっとこれ見たいんだけど。」

まず、ゾウのぬいぐるみを見て「エレファンチュ」と言ったのは、僕と妻のサヤが動物図鑑を読み聞かせる時に、日本語と英語の両方を発音しているからです。

もともと英語を教えるつもりはなかったのですが、娘が英語の存在を知ってからは、「ゾウさんは英語で何て言うの?」というように、毎回色んな動物や虫を、英語で何て言うのか聞いてくるようになりました。

聞かれたら答えるようにしていたら、自然に覚えていった感じです。

注目すべきは、日本語のセリフの中にある、

「やつ」「ちょっと」「~だけど」の3つです。

「やつ」は、日本語では代名詞として使われていて、同じ名詞を何度も言うのを避ける役割があります。

・このカレー甘いわ。もっと辛いやつが食べたい!

・おすすめの映画ある?見ててワクワクするやつ!

・こないだ本屋で見かけた、あの変なイラストの表紙のマンガ覚えてる?あのキモいやつ。

というように、名詞の重複を避ける時に使われます。

英語で言えば、one が近いでしょう。

以下のように英語で表現できます。

↓↓↓

1.This curry is sweet. I want to eat a spicier one!

(このカレー甘いわ。もっと辛いやつが食べたい!)

2.Do you have any movie recommendations? One that’s exciting to watch!

(おすすめの映画ある?見ててワクワクするやつ!)

3.Do you remember that manga I saw at the bookstore the other day? The one with the weird illustration on the cover? That gross one.

(こないだ本屋で見かけた、あの変なイラストの表紙のマンガ覚えてる?あのキモいやつ。)

という感じです。

英会話では、one が使いこなせるようになると、自然さがグッと増します。

さらに、娘が使ってきた表現はこれだけではないのです。

「ちょっと」「~だけど」という表現まで盛り込んでいるのです!

僕のここ数年の個人的研究(人間が母国語を習得するプロセスを、大人の英語学習に応用する手がかりを探すこと)が、大きく脅かされるほどの衝撃でした。

・・・つづく

 

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