先日、娘と2人で朝ご飯のトーストを食べている時に、娘が僕に向かってこう言いました。
娘:「ダッドのパンは、カリカリだね。」
僕:「な、なにぃーーーー!!カリカリだとぉ!!」
僕は娘の口から「カリカリ」というオノマトペが飛び出したことに驚いて、叫んでしまいました。
というのも、実はちょうど、オンライン通学コースの生徒さんたちとの質疑応答コーナーの時間で、このオノマトペが話題になったからです。
オノマトペは、言語習得の中では最も難しい部類に入ると思います。
オノマトペとは、日本語では「擬音語」や「擬態語」と呼ばれるものです。
・擬音語とは、動物の鳴き声(ワンワン、ニャーニャー、など)のような、実際に出る音のことです。
・擬態語は、見た目や触った時の感覚から感じ取れるもの(納豆のネバネバ、トーストのカリカリ、星のキラキラなど)のことです。
擬音語は、英語にもあって、
犬の鳴き声=bowwow(バウワウ)
猫の鳴き声=meow (ミアゥ)
ウシの鳴き声=moo (ムー)
などです。
また、モノや人同士がぶつかり合う音で、
バン!=bang
などもよく英語のマンガで見かけます。
一方で、擬態語は、英語では形容詞で表すことが多いです。
サクサク = crunchy(クランチー)
ネバネバ = sticky(スティッキー)
ふわふわ = fluffy(フラッフィー)
などです。
日本語のオノマトペは、同じ言葉を2回リズミカルに繰り返すのに対して、英語の方は普通の形容詞っぽい発音になります。
だいぶ雰囲気が違いますよね。
口で説明しづらいオノマトペ
オノマトペは感覚的なものなので、言葉で表現しづらいです。
日本語を勉強中の外国人に、
「カリカリって何?」
と聞かれて、それに分かりやすく説明するのはすごく難しいです。
①堅いものに対して使う。
②特に食べ物で使われることが多い。
例:「カリカリのパン」「カリカリの食感」
③焼いて堅くなった部分に対して、使われる傾向がある。
例:「この焦げ目、カリカリしておいしい!」
④でも、食べ物以外でも使われることもある。
⑤堅い鉛筆の先が紙の上で動く時に、「カリカリ書く」などと表現されることもある。
⑥そこから派生して、「カリカリ勉強する」と言う表現もある。
⑦さらに⑥の意味を強めるために濁点を入れて、「ガリガリ勉強する」という言い回しもある。批判的に使われることもあり、「ガリ???」という言葉は、勉強ばかりしている人を軽蔑する時によく使われる表現。
例:「あいつは、ガリ勉だ。」
⑧でも、同じ堅いモノでも、金属や木材、ガラスなどに対しては使わない。
誤:「この窓、カリカリだね。」
⑨写真や動画の画質で、被写体の輪郭がクッキリしてシャープに見える時に、使われることもある。(業界用語かも)
例:「このカメラを使うと、カリカリの映像が撮れる」
このように、事例と用法を並べていくことぐらいしかできません。
この感覚を、子どもはいったい何才ぐらいでマスターできるのか?
それを知りたいと思っていた矢先に、2才の娘が「カリカリだね」と言ってきたので、僕は驚いたわけです。
娘は、他の子に比べて言語習得が早い方というわけではないので、おそらく一般的に2~3才ぐらいからオノマトペを理解し始めると思われます。
英文法も同じだったのでは?
これはおそらく、以前の英文法の勉強も、同じだったと思われます。
昔は得体の知れない言語だった英語というジャンルを説明しようと思ったら、上記のように「用法の暗記」でしか覚えられなかったと思います。
それが、今の学校英語の教育にも脈々と受け継がれているのでしょう。
でも最近は、英文法も「ネイティブのイメージ」を使うことで、用法の丸暗記ではなく「核になるニュアンス」を覚えることで、感覚的に使いこなせるようになってきています。
きっと、オノマトペにもその「核になるニュアンス」があるはずです。
でも日本語ネイティブである僕には、そのニュアンスを言語化したり、イラスト化するのがとても難しく感じます。
副詞的な使い方
さらに日本語が難しいのは、オノマトペを動詞と組み合わせて副詞っぽく使う部分です。
たとえば、「見る」という基本動詞に合体させて、
・チラチラ見る
・ジロジロ見する
・キョロキョロ見る
など、組み合わせ次第で色んなバリエーションができます。
これは、英語では別の動詞を使って再現します。
・チラチラ見る = glance
・ジロジロ見する = stare
・キョロキョロ見る = look around
などです。
そう考えると、日本語と英語は同じことを言い表すのにも、システムがだいぶ違いますよね。
実は、日本語のオノマトペは、世界で最も種類が多く、用法が複雑らしいのです。
・・・つづく。
p.s.ちなみにネイティブのように「暗記ではなく『核になるニュアンス(イメージ)』で覚える」とはどんな感じなのか?&おすすめのテキストをこちらで紹介しています↓↓↓
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From 師範代Shinya(新村真也)
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