【2年続けた音読テキストが、ついに終わりました⑨これまで感じた葛藤1】

from 師範代Shinya

(→前回のつづき)

※ネイティブ向けの2,000万部突破のベストセラー本「The 5 Love Languages」の原書を1冊丸ごと音読した感想の続きです。

2年間も1冊の本の音読を続けると、色々ありました。

それは決して平坦な道のりではありませんでした。

基本は淡々と続けているのですが、途中で色んな葛藤を感じたり、喜びを感じたりしました。

まず、葛藤のシェアから。

前回の記事でもお伝えしましたが、この本には聖書の引用や、ムズカシイ表現がたくさん出てきます。

そもそも、英語というのは、文法や英単語の中にキリスト教の要素が埋め込まれています。

感情が高ぶった時の定番のセリフ、

Oh, my god!

の god の部分は、キリスト教の神のことを表しています。

別れのあいさつの定番のセリフ、

Good bye!

は、「God be with you.(神よ、あなたと共にあれ)」が変形してできたものと言われています。

くしゃみをした人に向かって言う定番のセリフ、

Bless you.

も、「God bless you.(神よ、あなたにお恵みを与えたまえ)」の略です。

(西洋文化では、くしゃみをすると幸運が逃げると言われています。そのため、近くにいる人が神に祈りを捧げることで、逃げた幸運を補充するのです。ちなみに、「Bless you.」を言われた人は「Thank you!」と答えます)

日本語には、こういう宗教色を強く押し出した定番の表現があまりないので、なかなか理解しづらい部分があります。

そしてこの本には、もっと多くのキリスト教由来の表現がボンボン登場するのです。

引用ではなくても、著者のチャップマン博士は聖書っぽい文体をたまに使ってきます。

しかも、何の前置きもなく!

急に「ん?これはどういう意味?」と理解できない構文が登場するのです。

分からない文法を調べるのは大変

登場した聖書の引用文や、聖書っぽい雰囲気の言い回しをすべて文法的に分析しようとすると、膨大な時間がかかります。

そのため、最初はよほど気になるものでない限りは、無視していました。

でも、どうしても「この引用をしっかりしないと本の内容の理解に支障が出る」というものが出てきた場合は、ガッツリ分析せざるを得ません。

でもその過程が、けっこうしんどいことが多かったです。

Google検索で引っかからない

聖書の原文の文法を解説している記事はないものか?と毎回Google検索しても、なかなかヒットしません。

そもそも、聖書自体が日本ではマイナーな存在で、さらに聖書を原文で読んで英語を勉強しようとする人は、もっと少数派だと思います。

そのため、聖書の原文を文法的に解説するような記事を書いてもビュー数が伸びず、書く人にとってメリットがないと思われます。

日本にも信心深いクリスチャンは一定数いるはずなので、その人たちの中には聖書を原文で読破している強者もいるかもしれません。

でも、だからといって、その文法までを理解して、日本語で丁寧に解説するモチベーションは沸かないでしょう。

ということで、僕はこの本の中で聖書っぽい表現にかなり苦戦しました。
つまずくたびに、「またか!」と思いました。

(※ちなみに、最近登場したAI検索ツールの「Chat GPT」は、文法的な質問をオープンにできるので、聖書の分析にも割と使えます。もちろん、カンペキではありませんが、Googleよりは良いです。もっと早く登場して欲しかった!)

先生を見付けてから、葛藤が楽しみに変わった

その後、僕はオンライン英会話で聖書に関して文法的に解説できる先生を3人発掘しました。

それからは、つまずくたびにその先生たちに質問をぶつけて、レッスンのネタにしていきました。

この話題は、けっこう盛り上がりました。

ネイティブの人たちは子供の頃から「サンデースクール」と呼ばれる、教会での活動に参加させられることが多いらしく、その過程で聖書の有名な一節などを目にする機会があるそうです。

そのため、信心深くなくても聖書の言い回しは「聞き覚えがある」という人が多いようです。

そのため、文法的に現代では使われていなくても、内容の理解はできる人がほとんどです。

その中でもさらに、聖書の英文を文法的に解説できる人となると、希少性が増します。

僕は自分の中で聖書の引用や聖書っぽい雰囲気の言い回しを「チャップマン節」と名付けて、面白く感じるようになりました。

先生たちもレッスンが始まると、「今日の聖書の質問は何だい?」とニヤニヤしながら僕に聞くようになりました。

音読している範囲内でチャップマン節が登場しない時には、お互いに少し物足りない気分になるほどでした。

こうやってネタにするようになってからは、文法的に理解できない部分が出てきても、葛藤を感じなくなりました。

「自分には、まだまだ知らない文法がある。それは面白いことだ。」

と感じるようになったのです。

今だったら、僕は難関大学の受験問題を見ても、「こんなマニアックな文法や表現を覚えて、どんなメリットがあるって言うんだ!」と憤慨することはないでしょう。

パズルを解くような感覚で、好奇心を持って英文を眺められる気がします。

だからといって、それを「高校生が学ぶべきだ」とは、今でも思いませんが・・・

 

・・・つづく

 

The 5 Love Languagesの原作はこちら

ちょっと英語はハードルが高いな・・・と思った方へ。この本を翻訳した日本語版は「愛を伝える5つの方法」として出版されています

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