カナダのバンクーバー留学の2ヶ月目が終わった頃。
学校のクラスメイトたちは、次々と「送別会」を開き始めました。
僕のクラスはビジネスクラスなので、みんな来月からは学校を飛び出して企業で働くようになります。そうなれば、お互いに顔を合わせることはなくなります。
みんなカナダにはいるけれど、生活はバラバラになるのです。
ちなみに、送別会は英語で「Farewell Party」と言います。発音は「フェアウェルパーティー」です。
Farewell = 良い旅
という意味で、「旅立つ友にエールを送る」というイメージです。
みんなホストファミリーの家にクラスメイトを招いて盛大なパーティーをやっていましたが、僕のホストファミリーのジョン&フローレンスは、50代後半の落ち着いたタイプの夫婦だったので、「家でのパーティー禁止」でした。
そんなジョン&フローレンスも、以前はラテン系の生徒を受け入れていたときにパーティーをしぶしぶOKしたことがあったそうですが、夜中に家でどんちゃん騒ぎをされて、近隣住民から通報されて警察沙汰になって大変な思いをしたそうです。
それ以来、受け入れる留学生は「アジア人限定」にして、若い人が来ても、「家でのパーティー禁止ルール」を作ったと言っていました。
パーティーでの秘密兵器
そんな状態だったので、僕はパーティーを主催することはなく、もっぱら「呼ばれる側」でした。
でも僕は「マジック」という秘密兵器がありました。マジックは、コミュニケーションの道具としてはかなりのインパクトがあります。
どこの国の人だろうと関係なく、不思議な現象に対するリアクションは万国共通です。
パーティーを盛り上げたいラテン系の生徒たちから、僕はよく声をかけられました。
留学生活2ヶ月目の後半は、僕は連日、違うパーティーに足を運んでいました。そして、英語でマジックショーを披露しまくっていました。
やればやるほど、度胸がついていくのを感じました。
シークレットパーティー
そんなある日、僕にブラジル出身のクラスメイトのブルーノが声をかけてきました。
ブルーノ:「Hey, Shinya!こんど、俺が主催するパーティーがあるんだけど、いつものようにマジックショーで盛り上げてくれないか?場所は、俺がホームステイしている家だよ。」
僕:「もちろん!いいよ!」
ブルーノ:「ありがとう!実は、このパーティーはシークレットなんだ。絶対に他のクラスメイトにしゃべっちゃダメだぜ。このクラスの中でこのパーティーに誘ってるのはごくわずかな選ばれたメンバーなんだから。」
僕:「おぅ!大丈夫だよ。誰にも言わないから。」
なんだかすごくもったいつけた言い方だなぁ(笑)
まあ、ホストファミリーの家に入る人数は限られているだろうし、あんまりたくさん呼びたくないんだろうな。
そう思った僕は、誰にも言わずに、当日の夜、ブルーノの家に行きました。
ブルーノのホストファミリー
家のチャイムを鳴らすと、ブルーノのホストファーザーが出迎えてくれました。
ホストファーザーはお酒を片手にノリノリで、僕の手をガッチリと握手しながら言いました。
「Hey!ブルーノの友達かい?さあ、入って、入って!みんな盛り上がってるよ~!」
ずいぶん元気なホストファーザーだな!と思いました。僕の静かなホストファミリーとは雰囲気が大違いです。
ホストファーザーに連れられて中に入った僕は、ビックリしました!
中にいるメンバーは、みんな「美男美女」ばかりだったのです!!
イケてるグループ
女性は僕のいたクラスでヨーロッパ系の女性でルックスの良さがトップ3のメンバーが来ていました。
他にも、僕の知らない人がたくさんいました。ブルーノは彼らとどこで知り合ったのやら・・・
女性メンバーは、スラッとした長身に彫りの深い顔立ち&ブロンドヘアーの、いかにもモデル風のルックスの人たちです。
男性メンバーは、ほぼ全員身長180センチ以上の「長身&筋肉ムキムキ」か「長身&痩せマッチョ」で、これまたモデルのようなルックスです。
ちなみに、ブルーノ自身も身長は185センチくらいで、超ムキムキでプロレスラーのような逆三角形ボディーです。顔も目鼻立ちのクッキリしたイケメンです。
僕はこれまで、いろんな国の人たちが集まるパーティーにたくさん参加してきましたが、ここまでルックスのいい人たちだけを集めたパーティーに参加するのは初めてでした。
僕は、まるで海外の映画のワンシーンの中に入り込んだような気分になりました。
ちなみに、この中でアジア人は僕ひとりでした。僕はすごく場違いな雰囲気がしてきました。この中では絶対自分が一番イケてないじゃん!
でもまあ、せっかくだからこの状況を楽しもう!と開き直って、できるだけたくさんの人たちと交流してみることにしました。
内面はどうか?
僕は、パーティーにいる人たちとできるだけ交流してみるようにしました。
すると、あることに気づきました。みんな、飲み方が悪くないのです。
ベロベロに酔っぱらっている人はいないし、下品な会話をしたり、近所迷惑になるような騒ぎ方はしていないのです。
下世話な感じではなく、程良いノリで楽しんでいる感じでした。これは僕にとっては意外でした。
そういえば、ブルーノは見た目の割にインテリ系で、頭が良かったのを思い出しました。
ルックスと内面、どちらも兼ね備えた人たちが集まるこのパーティーには、明らかにブルーノの「意志」を感じました。
パーティーの種類
アメリカのドラマや映画などを見ていると、たまにこんなシーンが出てきます。
新しく入った大学の「イケてるサークル」のパーティーに呼ばれようと必死にがんばる主人公。
でも、ルックスや学歴、出身などで見下されて、そのサークルに入ることはできません。
悔しい思いをしながら、イケてないグループのメンバーに入ります。でもそのうち、みんなをビックリさせるような偉業を成し遂げて、ついにそのイケてるグループに入る・・・あるいは、そのグループを見下してリベンジする・・・(←こっちのパターンの方が多いですが)みたいな流れです。
僕は、日本にいるときには「こんなあからさまな差別が本当にあるのか?」と思っていましたが、今回のブルーノのパーティーに参加することで、「あるんだな!」と実感しました。
そこにいる人たちは自分たちのイケてるっぷりを鼻にかけるようなイヤミな人たちではなかったのと、パーティー自体に品があって楽しかったので、僕は嫌な思いはしませんでしたが・・・
マジックの持つ力
この差別がいいか悪いか?の議論は置いておいて、僕がこのイケてるメンバーのパーティーに呼ばれた理由は、明らかにマジックのスキルが理由でしょう。
そうでなければ、僕に声がかかることはなかったはずです。
僕は、どんな種類のパーティーであろうと、学校の廊下であろうと、人の集まる場所であれば、マジックを見せて回ります。
なので、今回のパーティーでも、全力でマジックショーをやりました。そして、みんなから大きなリアクションをもらい、楽しい時間を過ごせました。
僕自身は、別にイケてるグループに入りたいと思わないし、そもそも個人行動が好きなタイプなので、今回のパーティーで特別な感情はわきませんでした。
でも、「マジックのスキルがなければ見られなかったであろう世界」を、カナダの学校生活の終わりに見れたことは、いい経験になったと思いました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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