from 師範代Shinya
（→前回のつづき）
前回の機で時では、「海外旅行先で現地人の話す英語がどれぐらい聞き取れるか？」を決める４つの要素をお伝えしました。
①行く国の違い（各国のなまり）
②旅行慣れしているかの違い（背景知識）
③旅先で話す相手との相性（滑舌、性格など）
④その時の自分の体調（集中力）
これらは、直接あなたの英語力とは関係ありません。
今回の記事では、英語力と関係のある部分で、「ネイティブの生英語が聞き取れない理由」をお伝えします。
ネイティブ生英語が聞き取れない理由
ふだん、日本人向けの英語教材で勉強していて、たまにネイティブの生の英語を聞くと、全然聞き取れないことがあります。
そこには、この３つの要素が関係してきます。
↓↓↓
①発音がいいかげん
②使うフレーズが独特
③言葉を省略する
１つずつ解説します。
①発音がいいかげん
英語教材に付いているネイティブ音声は、最も聞き取りやすくなっています。
滑舌の良いプロのナレーターが、雑音の入らないスタジオで、最高品質の録音機材を使って収録しているからです。
しかも、音声データのビットレートは高いので、とてもクリアに聞き取りやすい音声になります。
教材の音声データは、お手本としてマネできるクオリティーになるように作られています。
そのため、ナレーターはしっかり細かい音まで発音します。
日本語でも、テレビの中でニュースキャスターが話すときの発音と、普通の人が友達と話す時の発音は、全然違いますよね。
英語も同じです。
英語教材のナレーターの発音は、まさにお手本として役立てるために訓練された発音なのです。
一方で、僕たちが海外旅行で話す相手の現地人のネイティブたちが話す英語は、いいかげんです。
日本語で言えば、「深夜のコンビニで、大学生アルバイト男子が、低いテンションで挨拶する時の発音」に近いです。
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
と、文字通りクッキリハッキリ発音するのではなく、
「っしゃいやせ～」
「あーざーした～」
というように、かなり崩して発音します。
特に、お店で働いている従業員は、１日日に何十回、何百回も同じフレーズを発音しています。
そのうち、崩れた発音が当たり前になってきて、正しい発音ができなくなっていくのです。
崩れた発音から戻れない
僕も英語を教える仕事に就く前には、ジーンズショップで働いていたので、この現象がよく分かります。
僕も、
「っしゃいやせ～」
「あーざーした～」
の言い回しを年間で何万回と言ううちに、それがデフォルトになってしまい、正しい発音で「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」が言えなくなりました。
本当に不思議なのですが、普通に「ありがとうございます」が言えなくなったのです。
舌が動かず、途中で詰まってしまうのです。
「ありがざました」
みたいに、途中で突っかかっておかしくなってしまいます。
僕は当時、自分が脳の病気になったのでは？と思って怖くなりました。
でも、「いらっしゃいませ」と「ありがとうございます」以外の言葉が発音できなくなる現象は起きませんでした。
また、他の店長仲間に相談したところ、
「実は俺も！」
「俺もだよ！」
とみんな口々に共感してきて、自分だけの問題ではないと気づきました。
たしかに、同じ店長仲間同士での会話の中でも、「あざす！」のような短縮形の発音が交わされていました。
ある日、新店応援で店長たちが集まった時の閉店後に、
「ありがとうございましたをしっかり言えるか合戦」
をやったことがあります。
店の片付けをしながら、順番に「ありがとうございました」を、いつもの声のボリュームとトーンで言っていくのです。
その結果、誰一人として正しい発音では言えませんでした。
「あざした～・・・あれ？ダメだ！」
「ありざました～・・・なにぃ～！ダメだ！」
「ありがとざました～・・・ぐぐっ！」
という感じで、全滅だったのです。
もし、僕らの挨拶を「日本語を勉強中の外国人」が聞いたら、
「ネイティブ発音早え～！！全然聞き取れない！」
と感じていたでしょう。
早いも何も、僕らは正しく「ありがとうございます」を発音出来ていなかったのだから当然です。
これと同じ現象が、海外の店員さんたちにも起きている可能性が高いと、僕は思っています。
（※ちなみに僕は、店長の仕事を辞めた後もしばらくは、「いらっしゃいませ＆ありがとうございますが正しく発音できない病」の症状が続きました。完治するまでに、トータル３年ぐらいかかった記憶があります。「繰り返し発音による刷り込み効果」の恐ろしさを、痛感しました。）
・・・つづく。
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