
from 師範代Shinya
(→前回の続き)
僕が大手英会話スクールで講師としてTOEIC対策コースを教えていた時に、「TOEICと英会話は別物」と考えている生徒さんがとても多くいました。
・英会話レッスンは楽しいけど、そろそろTOEICのスコアを会社に提出ないとならないので、いったんTOEIC対策コースに専念する。
・最初から英会話レッスンは1つも受けずに、TOEIC対策コースだけを個別で受けて、目標の点数が達成できたら、スパッと英語学習から離れる。
そういうケースをたくさん見てきました。
僕個人としては、「英会話スキルを磨く過程でのレベルチェック」ぐらいの位置づけでTOEICを受けた方がいいのになぁ~と思っていました。
でも、大企業がTOEICを昇進の条件として採用している以上、このような受け方になってしまうのも理解できます。
「今年中にTOEICで○○点を超えないと、来年から年収が100万円落ちてしまうんです!だから、今年中になんとか点数を取らないといけないんです!」
と言われて、「いえいえ、まずはじっくり英会話からやらないと!」なんて返せません。
実際に、それで目標点数を達成して生徒さんが喜ぶ顔を見れるのは、僕の講師としてのやりがいにもつながっていました。
また、最初はイヤイヤながら始めたTOEICの点数が上がり始めると、そのゲーム的な面白さにハマってしまい、会社が要求する600点をはるかに超え、900点を超えてもまだ試験対策勉強を続けている人も、一定数います。
どちらのケースでも、「TOEICテストのための英語」になっているのが現状です。
TOEIC協会が本当に目指しているところ
でも今回、千田先生がセミナーで繰り返しおっしゃっていた内容は、そんなTOEICの一般イメージとは大きく違うものでした。
「TOEICはコミュニケーション力を測るテストです。コミュニケーションとは、人との対話です。
TOEICは、ある程度の点数になったら、もうやらなくていいんです。
問題集を解く時間があったら、外国人と話して欲しい。コミュニケーションができて初めて、英語を学ぶ意味があるんです。」
というメッセージです。
人間関係より、関係代名詞?!
あと千田先生の言葉で、僕の記憶に残った面白いフレーズがあります。
「日本には、『関係代名詞は大好きだけど、人間関係は大キラい』という学習者がけっこう多い。TOEICテストを受ける人たちには、そうはならないで欲しい。」
というものです。
確かに!と思わず笑ってしまいました。
僕の経験上でも、TOEICにハマッて高得点を連続で叩き出している人の中には、「英会話の練習は全然やっていません」というケースはけっこう多いです。
1日の勉強時間のほとんどを、TOEIC問題を解くことに費やしている人が、連続で高得点を取れる傾向があるからです。
でも、千田先生はこの傾向はTOEICの創業時の理念とは真逆の方向だとおっしゃっていました。
TOEICが生まれた経緯は、創業者の北岡さんと千田先生が共に、
「日本の企業が英語でコミュニケーションを取れる人材を求めている。
だけど、『英語ができる』という言葉の意味が曖昧で、全員が共有できる基準がない。
だから、誰が聞いても分かる『英語コミュニケーション力のモノサシ』としてのテストを開発しよう!」
という問題解決意識からスタートしたそうです。
「英語コミュニケーション力を測るためのテスト」という位置づけは、今、多くの人達が抱いているTOEICテスト(特にLR)のイメージとは、だいぶ違うのではないでしょうか?
また、千田先生がもう1つ嘆いていたのが、僕がこれまで何度も現場で目撃してきたケースです。
「TOEICの目標スコアを取ったら、英語学習を辞めてしまう人が多い。TOEICが英語学習から離れるきっかけになってしまっている。
それは私たちの本意ではないんです。
英語学習を続けてもらうために作ったテストなのに、悲しい。」
と、千田先生はおっしゃっていました。
そして今後は、TOEICの原点である「英語コミュニケーション力を測るテスト」という位置づけを、もっと打ち出していかなければならない。
そのための一歩として、作り手である自分たちの声を届けなくてはならない。
そのサポートを、ここにいるインフルエンサーの方々にしてもらえたら嬉しい、というメッセージでした。
それを聞いて、僕は自分がなぜ今回招待されたのか分かった気がしました。
TOEICテストを神格化せず、あくまで「英語コミュニケーションスキルを測るモノサシとして位置づける」とうのは、僕のコンセプトでもあります。
TOEIC900点はゴールではなく、自由に世界へ出て、色んな英語に触れていく下地が整ったことを意味するスタート地点だと位置づけています。
実際に、僕自身も自分の英語学習の中ではそういうスタンスでTOEICテストと向き合ってきました。
今回の千田先生のセミナー内容は、そんな僕にとって共感するポイントがとても多く、「このメッセージを発信したい!」という気持ちにさせられました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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