
from 師範代Shinya
(→前回の続き)
TOEIC900点以上持ってることは、確実に英語の土台の力があることの証明だと、前回までの記事でお伝えしました。
ただ、「英語を話す」となると、とたんに詰まってしまう人もいることも事実です。
その理由として、TOEICテスト(リスニング&リーディング)で測れるのが、ごく一部のスキルの値だからです。
英語を話す時の流れは、
①相手の英語を聞き取って理解する
②聞き取った内容を元に、自分が言いたい内容が頭に浮かぶ(自分の言いたい内容は日本語で浮かぶのが普通)
③言いたい内容を、英語化する(ボキャ&文法)
④英語化した文章を、実際に口を動かしながら発音する。
⑤相手に自分の発音が通じれば、反応があって①~④が繰り返される。
というステップを踏みます。
この5ステップのうち、TOEICテスト(リスニング&リーディングテスト)で測れるのは、①と③の部分だけです。
正確に言うと、③の部分も内容を英語化する力を直接測るわけではありません。
あくまで、文法とボキャの「知識があるかどうかだけ」を見ます。
でも、実際に自分で英語を話す時には、ゼロから英文を自作しなければなりません。
自作英文の精度とスピードを上げるためには、ある程度の訓練が必要になります。
ここを解消するのが、有名な「瞬間英作文トレーニング」です。
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そして実は、英語と関係ない②のステップでつっかえるパターンも多いのです。
日本人はそもそも、意見を言うこと自体に慣れていない
僕たちに日本人は、小さい頃から「自分の言いたいことを言わない方が得する」という文化で生まれ育っています。
ことわざにも、「口は災いの元」という言い回しがあるぐらいです。
一方で西洋では、聖書に「Ask, and you shall receive.(求めよ、さらば与えられん)」という一節があるように、「言わないと、助けも機会も得られない」という考え方が根底にあります。
そのため、西洋では小さい頃から学校の授業でディスカッションやディベートなど、「自分の意見を人前で言う訓練」があるそうです。
一方で日本の学校では、先生の授業を一方的に聞いて、ノートを取るのがメインです。
また、発表するにしても、「先生が用意した正解を知っているかどうか?」だけを問うパターンが主流です。
先生:「はい、この問題を解けますか?」
生徒:「はい!ここには○○が入ります。」
先生:「正解です!次!」
みたいな流れです。
絶対的な正解があって、その知識を問われたら答える、というのが日本式の発表です。(もちろん例外パターンもありますが、あくまで全体の傾向として)
そのため、僕たちは「人前で自分の意見を言う」という作業に慣れていません。
たまに自分の意見を言おうものなら、徹底的に叩かれることもあります。
「それってあなたの感想ですよね?」が流行った理由
数年前からネット上ですごく流行った言葉があります。
「それってあなたの感想ですよね?」という表現です。
これは、今最もネット上で影響力のある、ひろゆき氏のセリフをみんなが使い出したことで、日本中に広まりました。
特に若い人達の間で使われるようになったことが、日本の学校教育と密接にリンクしているのではと思われます。
ひろゆき氏が番組内で誰かとディベートをしている最中に、
「それってあなたの感想ですよね?」
と言うことで、相手を黙らせる、という流れです。
それ以降、YouTubeのコメント欄などで誰かが自分の意見を書くと、「それってあなたの感想ですよね。」というコメントが付く現象が起こるようになりました。
それに対して「僕の感想ですが、書いちゃダメなんですか?」と返信すると、「あなたの感想なんて、誰も聞いてない」と返ってくるのが定例パターンです。
実は、もともとこのセリフを言ったひろゆき氏は、「意見と事実をごっちゃにせずに、切り分けて話しましょう。」という意味合いだったそうです。
それに、そんなにこのセリフを多用していないそうです。
でも、ネット上でこのフレーズだけ切り取られて、注目されて、一人歩きしてしまったそうです。
その理由は、元々あった日本文化の価値観に、ひろゆき氏の言葉がビシッとハマったからだと思います。
ひろゆき氏が新しい価値観を作り出したのではなく、みんなの中にある価値観を言語化した、と言った方が良いでしょう。
ネイティブの反応
「それって、あなたの感想ですよね。」
というのを、ニュアンスまで含めて英語にすると、
It’s just your opinion, right?
(それは、ただのあなたの意見ですよね?)
です。
ここには、「あなた個人の意見には価値がないし、誰も求めていない」という含みがあります。
でも、僕が試しに英語でこのセリフを言ってどう感じるか聞くと、ネイティブの人達からは、
「え?個人の意見以上に価値のある情報なんてあるの?相手の意見を聞いたり、自分の意見を伝えたいから、人は話し合うんでしょ?
事実なんて、Googleで調べればすぐ出てくるじゃん。
大事なのは、今お互いが何を考えているかでしょ?そのために、人は言葉を交わすんだよ。」
という反応が返ってきます。
西洋の人達は、「自分の意見を言うことが、コミュニケーションの目的で、それこそが人生を切り開くカギになる」と考えているのです。
これだけ、「言葉の持つ意味や役割」が、日本と西洋で違うのです。
日本:口を慎めば、身を守れる
英語:口を開かないと、チャンスを失う
これは西洋と日本のどっちが良い悪いの問題ではなく、ただ「言葉の持つ意味が正反対」ということです。
西洋の言語である英語を「流ちょうに話せるようになりたい」と思ったら、日本文化をいったん横に置いておく必要があります。
そして、「僕たちは自分の意見を言い慣れていないだけだ」と認識して、自分の英語力と意見発信力を、別物として切り分けて考える必要があると思います。(これも僕個人の意見です)
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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