From 師範代Shinya(新村真也)
・「日本人は、学校で文法ばっかり勉強してるから、ちっとも英語がしゃべれるようにならないんだ。」
・「英語は、勉強するもんじゃない。ひたすら使って慣れるものだ。」
・「毎日英語のシャワーを浴びていれば、いつか英語が自然に口をついて出てくるようになる。」
こんなフレーズが、日本の英語学習の世界にはあふれています。
特に、英会話スクールや英語教材の中には、こういったフレーズを使うことで、お客さんを引きつけているものがあります。
実際、これらの言葉は初心者の耳にはもっともらしく聞こえます。
そして、なんとなく「ラクして楽しく英語をマスターできる」みたいな響きがあるので、魅力的です。
僕も最初は、これらのフレーズを信じて、文法や英単語の学習は一切していませんでした。
代わりに、外国人の集まるバーに週3回通い、ネイティブの先生のいる英会話スクールに週1回通いました。
毎日英語のシャワーを浴びまくり、英語を話しまくる生活をしていました。
でも、1年経った時に気づきました。
「この生活をあと1年続けても、あんまり変わる気がしない・・・」
と。
文法は何のために生まれたのか?
前回の記事でもお伝えしたとおり、文法というのは、
「大人が英語を身につけるスピードと効率をアップするために発明された学習ツール」
です。
その効率アップは、圧倒的です!!
でも、学校教育が必要以上に「ルールの丸暗記」にこだわって、「文法知識だけ」を試すようなテストで生徒の英語力をジャッジしています。
だから、しゃべれるようにならないのです。
決して、文法が悪いわけではありません。
それなのに、「日本人は文法をやり過ぎてしゃべれない」とかいう、訳の分からない説が定着してしまっています。
ネイティブは文法を意識していない
文法の重要性を伝えると、必ず言われることがあります。
それは、
「ネイティブは文法を意識しないでしゃべれるじゃないか!」
「私たち日本人だって、日本語の文法を意識していないけど、ちゃんとしゃべれているじゃないか!」
という、「事実」です。
たしかに、僕ら日本人は、日本語の文法を知りません。でも、日本語を普通に使えます。
ネイティブも英語の文法を知りません。でも、英語を普通に使えます。
この事実を見る限りでは、文法なんて学ばなくても英語をマスターできそうな気がしますね。
たしかに、文法をやらなくても、英語を習得する道はあると思います。
では、赤ちゃんが小学生になるくらいまでの期間に母国語に触れる時間は、どのらいでしょうか?
赤ちゃんの学び方
赤ちゃんは、生まれてすぐに言葉の英才教育を受け始めます。
毎日、親や周りの大人達から母国語を聞かされます。
ちょっと自分でも言葉がしゃべれるようになると、大人達からものすごい褒められて、モチベーションが上がります。
朝起きてから夜寝るまでの間は、ずっと母国語に触れています。
その結果、小学生になる6才の頃には、大人と普通に会話できるくらいの言語レベルになっています。
6年間の修行
この「6年間」だけを切り取って見て、
「日本人は中学と高校で6年間も英語を勉強するのに、英会話力はネイティブの小学生レベルにも達しない」
なんて批判する声もあります。
でも、同じ6年間でも赤ちゃんと中高生では、その「濃さ」が違います。
赤ちゃんは、毎日毎日休みなく母国語に触れているのです。
もし仮に、1日に寝る時間が8時間だとしたら、残りの16時間は常に母国語のトレーニングをしていることになります。
1日16時間×365日=5,840時間
1年で5,840時間のトレーニングをしている計算になります。
それを6年間続けたら・・・
35,040時間です。
少なくとも、3万5,000時間、英語を聞きまくってしゃべりまくっていれば、僕ら大人も文法なしでも英語をマスターできるかもしれません。
では、もし仮に1日3時間英語の勉強に充てられるとして、3万5,000時間を達成するには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?
大人が文法学習なしで英語をマスターするのにかかる時間
35,000時間÷3時間=11,666
毎日3時間勉強して、1万1,666日かかります。
これを、1年365日で割ると・・・
11,666 ÷ 365 = 31.9
約32年です!!
32年間も英語学習を続けて、やっとネイティブの小学生レベルになれるのです!!
これはさすがにキツいですね・・・
これだったら、他のジャンルの勉強をした方が良さそうです。
でも、もし文法を使えば、これよりずっと早くマスターできます。
次回は、大人が文法を使って学んだ場合にかかる時間がどのくらいか?を見てみましょう!
・・・つづく。
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