from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
僕が勉強し続けてる「セールスレター」というジャンルの文章スキルの中で、伝説として名を残す、アメリカ発の最強セールスレター。
そのレターを何種類かマネして書くことが、何よりも勉強になると言われています。
でも、僕はそれを英語の原文で読んだ時に、衝撃を受けました。
日本語訳との差が、あまりに大きかったからです。
たとえば、
Have you ever wondered, as I have, ~
訳:あなたも、私と同じように不思議に思ったことがありませんか?(~以下で内容説明)
という表現があるのですが、この英文の日本語訳は、どれも
「私と同じように(as I have)」
の部分がすっぽり抜け落ちているのです。
これを僕が初めて英語の原文で知った時には、衝撃的でした。
実はこの文章で一番大事なのは、「私と同じように(as I have)」という部分です。
これにより、読者と書き手の間にラポール(親密さ)を築いて、読んでいる人がすんなり入っていけるように作られています。
①あなたも、私と同じように不思議に思ったことがありませんか?
②あなたは不思議に思ったことはありませんか?
読み比べたら、ちょっとした違いに聞こえるかもしれません。
でも、この「私と同じように」という一節が入っていることで、読者の目には自分と同じタイプの人が書いているように思えてくるのです。
こういう小さな工夫の言い回しが積み重なって、読み終わるまでの読者の心境が大きく変わります。
僕は日本語訳を読んだ時の印象と、英語の原文を読んだ時の印象が大きく変わることに気付きました。
日本語文は、どうも自慢げに聞こえるというか、なんか読んでいて上から目線に見える印象があったのです。
特に、このセールスレターは、「ウォールストリート・ジャーナル」という、金融関係のビジネス雑誌の宣伝目的なので、なおさらそう感じたのかもしれません。
金融街のエリートが、
「私は頭が良いから、何も知らない君に教えてやっている」
みたいなトーンで語りかけているように感じたのです。
でも、英語の原文で読んだら、まったくそんな印象は持ちませんでした。
むしろ、読者に寄り添って、
「私も以前は何も知らなかった。でも、この雑誌に書いてあるようなことを知って、変わったんだ。あなたにもきっと、役立つと思う。」
というような勧め方をしていたのです。
この違いは、衝撃的でした。
翻訳でこんなにニュアンスが変わってしまうとは!
文化の違いも大きい
もう1つ、僕が別の最強セールスレターの英語の原文を読んでいて「あれ?」と思ったのが、「entertain」という英単語の意味です。
これは、「人を楽しませる、おもてなしする」という意味の動詞です。
でも、日本語訳の方では、「エンターテイメント」と名詞バージョンで訳されていました。
entertain と、entertainment
動詞と名詞の違いだけだと思いきや、実はだいぶニュアンスが変わってきます。
entertainment は日本語のエンタメと同じく、自分が楽しむためのテレビ、映画、コンサート、ゲームなどの娯楽です。
他人をもてなす entertain と、自分が楽しむ entertainment。
この2つが与える印象は、だいぶ変わってきます。
ちなみにこの英単語は、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスのセールスレターで使われているものです。
「このクレジットカードは、どういう人のためにあるのか?」
を説明する文章の中で、
・他人をもてなすことを習慣にしている人
・自分が楽しむことを習慣にしている人
では、受ける印象がだいぶ変わってきますよね。
アメリカ文化では、ホームパーティーなどで友達や近所の人たちを家に呼んでもてなす文化があります。
自分が楽しむだけではなく、人を楽しませる度量のある人が、成功者の証し!みたいに思われているのです。
そういった文化で生まれ育ったアメリカ人のプライドを刺激する言葉が、「entertain」に込められているのです。
ここを知らずに、ただ日本文化でホームパーティーが一般的ではないからといって、「エンターテイメント」と名詞に訳してしまうのは、このレターの本質を見落としていることになります。
もし、本当の意味で日本文化になじませるとしたら、
「大切な人の誕生日や記念日に、プレゼントを贈るのが大好きな人」
というように、エンタメとはまったく違う語彙にする必要があると思うのです。
でも、そこまで翻訳できていないのには、理由があります。
・・・つづく。
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