【中学校英語スピーキングテストの問題を解決する糸口⑤マイクの機能】

 from 師範代Shinya

(→前回の続き)

※混乱している中学校英語スピーキングテストのニュース分析の続きです。

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英語の「話す力」なぜ必要? スピーキングテストを入試に導入する東京外国語大が「しゃべって初めて分かる」と力説すること (msn.com)

前回の記事では、「受験者の耳に、他の受験者の声が入ってきて気になる問題」を解決する手段として、「ノイズキャンセリング機能付きのイヤホン」の導入を考えてみました。

でも、それだけでは足りません。

自分の耳に他の受験者の声が入ってこなくなっても、「自分の録音した声に、他人の声がかぶっていた」ら、正確なジャッジをしてもらえないからです。

今回、モメている大きな原因も、親たちが生徒の録音データの開示請求をしたら、「加工されてほとんど聞こえない録音データ」を公開されたことにあります。

この録音データは、「他の生徒たちの声がどれだけ入っていたか」を物語る証拠として、逆効果になってしまったようです。

音を後処理でノイズを消すデジタル技術はありますが、それでも限界があります。

周囲の車の音や、セミの鳴き声などの雑音はデジタル処理で消しやすいのですが、周りの人たちの声だけを消すのは難しいと聞いたことがあります。

他の人の声がかぶさっている状態でデジタル加工すると、本人の声も聞こえづらくなってしまうのです。

本人だけの声をクリアに録音するためには、録音時に工夫をする必要があります。

現状の受験者が使うマイクの問題点

今、中学校英語スピーキングテストで使われているガジェットは、タブレットとイヤホンです。

タブレットに内蔵されているマイクは、「全指向性」と言って、周囲のすべての方角の音をまんべんなく集音します。

全指向性のマイクは、雑音がある中で目の前の1人の声を録音するのには適していません。

では、タブレットに装着するイヤホンのマイクはどうか?というと、これもまた全指向性なのが普通です。

なぜなら、イヤホンのマイクはブラブラしているコードに付いているため向きが話ながら変わることがあるからです。

マイクの向きが変わっても、声の集音レベルを変えないためには、全指向性にするしかありません。

そのため、イヤホン内蔵のマイクを使っても、やはり周囲の人たちの声はバッチリ録音されてしまいます。

他の人の声を録音データに入れない2つの方法

そこで必要になるのが、「ノイズキャンセリング技術」です。

イヤホンと同じように、マイクにもノイキャン機能があります。

録音のノイキャン機能には、2パターンあります。

①マイク自体に備わったノイキャン機能で、他の人の声をかき消す。

②ソフトの機能で、録音と同時にデジタル処理する。

Zoomなどを使ってオンライン会議する時に、周囲の音を聞こえづらくする「背景音の抑制」という機能があります。この機能は、②になります。
録音する時点でノイズを消してしまう技術です。

この技術は日に日に進んでいて、最近は子どもの泣き声なども、隣の部屋であれば気にならないレベルまで消すことができるようになっています。

ただし、「背景音の抑制」のソフト処理を強くかければかけるほど、「本人の声もカサついて聞こえてしまう」というデメリットもあります。
カサつくとうのは感覚的な表現ですが、なんとなく乾いたような、AMラジオの音声のような雰囲気の声です。

Zoomの音声は、実際に生で話す時の声と違って聞こえることがあるのは、ノイズキャンセリング機能が理由です。

僕はふだん自分が行うZoomセミナーでは、Zoomのノイキャン機能は「低」に設定して、その代わりに外付けのライブ配信用マイクを使って、自分の声を聞きやすくする工夫をしています。

コールセンター用ヘッドマイク

一方で上記①の、「マイク自体に備わったノイキャン機能で、他の人の声をかき消す」ことも可能です。

僕が以前、ブログ記事やYouTube動画でご紹介した「Jabra Engage50」というヘッドセットは、その典型例です。

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(↑クリックすると、アマゾンの販売ページに行けます)

この「ジャブラ」というヨーロッパブランドのヘッドセットは、コールセンターで働くプロの人たちが使う用に作られています。

コールセンターでは、係の人たちが近い距離で隣合った状態で毎日電話を受けています。

両隣に仕切り板はあると思いますが、環境的には、学生の受験環境に近い状態です。

でも、コールセンターで他のお客さんとのやりとりの声が聞こえてはいけません。

そのため、コールセンター用に作られたジャブラのヘッドセットのマイクは、ものすごい高度なノイキャン機能が搭載されています。

その機能はすさまじく、口元にあるマイクをわずか10センチ離しただけで、自分の声が入らなくなるほどです。

当然、隣で離している人の声はほとんど入りません。

僕のオンライン通学コースの生徒さんたちの中には、このジャブラのヘッドセットを使っている人も何人かいます。

ジャブラを使っていると、レッスン中に旦那さんやお子さんなどが近くに来て話したり、近くでテレビがついていたとしても、僕の耳にはご本人の声しか聞こえません。

それでいながら、Zoomのノイキャン機能と違って、声がカサついて聞きづらくもなりません。

さすがコールセンターのプロ仕様!といった感じです。

ただネックなのは、「価格が高い」ことです。

マイク機能を良くするには、部品も良いモノを使う必要があります。当然、価格は上がります。

ジャブラのヘッドセットの価格は、2万円台です。

受験生1人あたりに、2万円台のマイクを配るのは、予算的にムリがあるでしょう。

となると、はやりZoomのように録音時にソフト処理するのが、一番現実的かもしれません。

マイク部品などの物理的なパーツと違って、ソフト処理はコストをかけずに、どんどん進化できる可能性を秘めています。

ただ、進化には年月が必要です。

いきなり一足飛びで、「他の受験者の声がまったく録音されなくなる」という現象は、起こらなさそうです。

現時点でできることとしては、「ノイキャン機能付きのマイクを使いながら、さらにソフト処理でノイキャンをかけつつ、録音する」というのが最も現実的だと思われます。

 

・・・つづく

 

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