from 師範代Shinya
最近、2才の娘が僕のベルトのバックルを指さして、
「エーベーセー!」
と言いました。
最初は何を言っているのか分からなかったのですが、自分のベルトのバックルと娘のセリフの「エーベーセー」を照らし合わせていくうちに、ついに分かりました。
僕がその時にしていたベルトのバックルは、「AIX」と文字の形をしていました。
このAIXベルトは、僕がカナダにビジネス留学していた頃に、バンクーバーの「メトロタウン」という名前のショッピングエリアで買ったものです。
僕は当時、メトロタウンにある会社で働いていたので、仕事帰りに見付けて「カッコいい!」と思って一目惚れしました。
あれから15年、まだ使い続けています。
当時はAIXが何を意味するのか分からなかったのですが、後から調べたら、「アルマーニ・エクスチェンジ」というブランド名だと分かりました。
高いブランドのアルマーニが若者向けに作った、価格帯が安いラインだそうです。
その15年前のベルトのバックルを指さしながら、娘が「エーベーセー」と言っているのです。
もしや!?
「AIX」を「ABC」だと思って発音しているのでは?
と思いました。
そこで僕は、iPadのメモアプリに手書きで「ABC」と書いて見せてみました。
すると、同じように指さして、ニコニコしながら、
「エーベーセー!」
と言いました。
やっぱり!!
どうやら娘は、「AIX」を「ABC」と認識して発音しているようです。
「な、なにぃ~!!なぜ?いつの間に??」
僕は驚きました。
というのも、僕は娘に英語を一切教えていないからです。
以前の記事にも書いたとおり、僕は娘が英語に興味を持って自分から「勉強したい」と言ってきたら教えようかな、ぐらいに思っています。
そのため、当然ABCなどのアルファベットも見せていません。
強いて言えば、娘のお気に入りの絵本の中に、いただきものの英語の絵本が1冊入っているぐらいです。
たまに妻のサヤがその英語の絵本を読み聞かせていますが、ABCという発音を教えているわけではありません。
(ちなみに、以前僕がアマゾンで買ってレビュー記事を書いた「モンスター」の英語の絵本は、娘がイラストを怖がるのに加え、僕が知らないキッズ向け英単語が連発して読み聞かせづらいので、一時的に封印中です)
ABCの発音を、いったいどこで覚えてきたんだろう?
謎でした。
ABCの歌
「エーベーセー」と発音して僕らを驚かせた娘は、しばらくしてからいつものお気に入りソングを歌い始めました。
「きーらーきーらーひーかーる~、おそらのほしよ~♪」
サビの部分は日本語でカンペキに発音しながら歌えるようになってきた娘の歌声を聞いて、僕はふと気付きました。
「あれ?お星様の歌って、メロディーがABCの歌と同じじゃない?」
僕はこの時、初めてこの2つが同じメロディーであることに気付きました。
キッズ英会話を教えている先生や、子どもがキッズ英会話教室に通っている親だったら、「そんなの当たり前じゃん!」と思われるでしょう。
でも、僕は28才になってから英語を学び直して、英語講師になった後も大人専門で教え続けています。
だから、こういった童謡のような英語の歌をあまり聞く機会がありませんでした。
娘は保育園で、お星様の歌を学びました。
ということは、おそらく保育園で、ABCの歌も聞いたのかもしれません。
もちろん、娘はABCの歌を歌うことはできません。
でも、「エーベーセー」と言った後に、お星様の歌を歌い出すので、おそらくこの2つの曲のメロディーが同じであることは、分かっていると思われます。
娘に「どこでその歌を知ったの?」と質問しても、質問内容を理解して答えられるほどの日本語力は、まだありません。
だから予想することしかできませんが、僕は保育園以外にないと思っています。
ちなみに、娘の「エーベーセー」の発音は、完全に日本語発音の「え、べ、せ」を伸ばした形で、英語といようよりフランス語っぽく聞こえます。
ファミレスで見付けた英単語
その後、娘をファミレスに連れて行った時に、また大きな声で「エーベーセー!」と言いました。
そして、僕のベルトのバックルを指さした後に、店内の天井に近いあたりを指さして、「エーベーセー!」と叫びました。
よく見ると、「Coffee」と書いたカンバンがありました。
ベルトの「AIX」なら、まだ「ABC」に近く見えます。
でも、「Coffee」は、「ABC」とはだいぶ見た目が違います。
それでも、娘は英語だと認識して「エーベーセー!」と発音したのです。
つまり、娘の中では「英語=エーベーセー」のようです。
ABCとは形が似ていない英単語を、英語と認識したのです。
どうやって英語を認識しているのか?
さらに、それだけではありません。
娘がいつも持ち歩いて自分の顔にすりつけているバスタオルにも、イラストと共に英単語が書かれています。
それを見付けて、僕の前に出しながら「エーベーセー」と言うようになりました。
日本語の文字を見ても、エーベーセーと言うことは一度もありません。
ということは、娘の脳は「アルファベットと日本語を区別して認識している」ということです。
誰が教えたわけでもないのに、2つの言語の文字の形の違いを識別できるというのは、僕にとってかなり驚きでした。
娘の目には、アルファベットと日本語の文字は、まったく違って見えているということです。
どうやって認識しているのか?までは分かりませんが、とても不思議です。
僕は、人間の脳の持つポテンシャルを改めて感じました。
もし僕がふだんから娘に英語を教えていたら、「きっと自分が教えているから、英語と日本語が区別できるんだろうな」と思ったでしょう。
意図的に英語を教えていないからこそ、今回のように人間の脳の潜在力を、目の当たりにできたのかもしれません。
この「アルファベットの識別現象」がすべての子どもに起こるのかは分かりませんが、とても不思議な人間の脳の力を目撃した気分になりました。
また何か気付いたら、シェアしますね。
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毎回、楽しく読んでいます。
姪っ子が2歳の頃、HONDAという字を見て、『オンダ』と言って周囲を驚かせた事を思い出しました。兄夫婦も驚いていたので、教え込んだわけではなかったのだと思います。
なんと!!それはビックリですね!
2才でHONDAを「オンダ」と読めるのは、スゴ過ぎです!
どこで覚えたんでしょうね。
子供の言語習得は身近で見ていても、謎が多いです。