from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
カブトムシの首のすきまに指の肉をはさまれて号泣した娘のご機嫌を直すため、
「世界最大のカブトムシ&世界で最も美しいクワガタ」
とのふれあい体験コーナーに向かいました。
ここに入るには、入場券に加えてさらに追加でチケットを購入する必要があります。
そのため、入場者数に比べてこのコーナーに並んでいる人の数は少なめでした。
よほどの虫マニアでない限り、追加でお金を払ってまで入ろうとは思わないでしょう。
ちなみに、このふれあいコーナーにいるのは、
「ヘラクレスオオカブト」と「ニジイロクワガタ」です。
ヘラクレスなんて、名前からしてカッコいいですよね。ギリシャ神話の英雄の名前をつけられているカブトムシなんて、他にいません。
ニジイロクワガタは、その名の通り虹色に光り輝くピカピカしたクワガタです。
日本で言えば、タマムシに近い色合いです。
どちらも図鑑でしか見たことがなかった珍しい昆虫ですが、それが目の前で触れて、手に持てるとなれば、興奮モノです!
1回4組×5分ごとの入れ替え制なので、列に並んでしばらく待っていました。
すると、僕たちより前のグループの人達の「昆虫交流タイム」が始まりました。
と同時に、録音された日本語と英語アナウンスが、スピーカーから聞こえてきたのです。
音声の感じから、日本語も英語も、どちらもAIによる合成音声だと感じました。
英語のアナウンス
それは、交流タイムの開始合図のアナウンスでした。
「今から体験のスタートです!Please start interacting with insects now. Please enjoy!」
このセリフを聞いて、僕は思わず笑ってしまいました。
おそらく外国人客向けに作られた英語アナウンスだと思いますが、外国人がこれを聞いたら、どう聞こえるんだろう?と考えたら、おかしくなってしまったのです。
確かに、日本語では「動物や昆虫とふれあう=交流する」という言い回しは、自然です。
そして、和英辞典で「交流する」と調べると、「interact」という言葉が出てきます。
おそらくAIは、文脈を読むのが苦手なので、日本語で「昆虫たちとの交流をお楽しみください」と書いた内容を、そのまま直訳したのでしょう。
でも、この文章は僕の耳にはすごく不自然・・・というか、逆に「日本人スゲー!!」と思われる要素が詰まっていると思いました。
interact の意味
interact の語源は、
inter = 間
act = 行動
です。
そこから、「お互いの間で行動し合う」というニュアンスがあります。
つまり、英語の interact には、「双方向のやりとり」というニュアンスがあるのです。
日本語でも、最近はカタカナ語で、
「インタラクティブ = interactive」
という形容詞が使われるようになりました。
このカタカナ語の使い方は正しくて、「一方通行ではない、双方向のやりとり」を指します。
たとえばパソコンなどのガジェットで、
「インタラクティブな機能を搭載!」
など、広告文で使われることが多いです。
これは、ユーザーが一方的に指示を出して、コンピューターがそれに従うという流れではなく、こちらの指示にコンピューターが反応して返事を返したり、向こうからも別のアイデアを提案してきたりする機能を指します。
「双方向」が、interact の基本イメージなのです。
昆虫と双方向のやりとり
それを知った上で、改めて、
「Please start interacting with insects now. Please enjoy!」
という英文を見ると、どう感じますか?
「昆虫との双方向のやりとりを始めてください、今すぐに!お楽しみください!」
と聞こえます。
まるで、テレパシーを使って、昆虫たちと人間がお互いに言葉を交わして意思疎通しているかのように聞こえるのです。
ちなみに interacting に加えてもう2つ、この英文がネイティブの耳には不自然に聞こえる部分があります。
どこだと思いますか?
もう一度、この英文をじっくり眺めて考えてみてください。
↓↓↓
Please start interacting with insects now. Please enjoy!
状況は、「会場に用意された昆虫たちを触って楽しむイベント」でのアナウンスです。
正解は、次回の記事でお伝えしますので、もし「これかな?」と思う部分が分かったら、この記事のコメント欄に書いてみてくださいね。
・・・つづく。
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