from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
前回の記事では、ネイティブ同士の会話についていけない2つ目の理由「文化の要素」をお伝えしました。
欧米文化が組み込まれたフレーズは、
①西洋人なら誰でも知ってる有名なテレビ番組&マンガ
②そのテレビ番組やマンガに登場する人物(リアル人名&架空のキャラ名)
③西洋の昔話、おとぎ話
④西洋で大ヒットした商品&企業名
⑤西洋人ならみんな知ってる食べ物
⑥西洋人はみんな子どもの頃に学校で習う、歴史上の人物
⑦宗教(聖書の引用など)
⑧有名な場所の地名&建物名
といったものです。
これらは、日本語にも存在します。
「うちの上司は、ジャイアンみたいなキャラなんだよ。」
「彼は、のび太君ぽい雰囲気でさ。」
「彼女は、クラスの中ではしずかちゃん的な存在だったんだよね。」
といったセリフは、ドラえもんを知っている人でないと通じません。
他にも、
「彼は去年結婚したんだけど、マスオさん状態らしいよ。」
という表現もあります。これは、サザエさんを見ていた人ならなんとなくピンとくるかも知れません。
「婿入りまではしてないけど、奥さんの両親と同居している男性」
のことを、マスオさんと呼びます。
また、マンガのキャラではなく実在する人物でも、
「彼女どんな人?」
「見た目も性格も、和田アキ子っぽい感じ。」
と言われたら、日本人ならピンとくるはずです。
マンガでなく政治の世界でも、ニュースキャスターが
「今日の永田町は、平穏な空気が流れています」
「永田町かいわいでは、○○なウワサが飛び交っています。」
と言った場合、永田町は「政治の中心」という意味で使われています。
このように、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも、文化や歴史や土地に根付いた、特有の言い回しがあるわけです。
日本で生まれ育った僕たちなら、聞けば分かります。
でも、日本で生まれ育っていない外国人が、モーレツに日本語を勉強して、文法や単語をたくさん覚えても、これらのフレーズを理解することはできないでしょう。
「ジャイアンて何?辞書で調べたけど載ってないよ。」
と聞かれたら、僕らはまず、「ドラえもんのストーリーやキャラ設定」を1から説明しなければなりません。
そこまでして初めて、「なるほど!そういうことか!」と分かるわけです。
前回の記事でクイズを出したフレーズは、こういった文化的な表現が盛り込まれています。
聖書が元なった表現
① He called me at the eleventh hour.
(彼は土壇場になって私に電話してきた)
解説:このフレーズは、聖書「マタイ伝」からの引用です。ブドウ園で働く人たちの中で、朝早くから来た人たちと、遅刻してきた人たちがいました。
中でも、タイムリミットギリギリで最後に来た人も土壇場で間に合って、朝早く来た人と同じ報酬をもらえた・・・というストーリーから出た言葉らしいです。
午後11時は日付が変わる1時間前なので、そこから「ギリギリ、土壇場」という言葉が生まれました。
ボードゲームが元になった表現
② Now I’m back to square one.
(今、振り出しに戻っちゃったよ)
解説:ボードゲームから生まれた言葉です。チェスの盤上で、最初のコマの「四角いスペースに戻る」というところから、ゼロからやり直すイメージが生まれました。
日本語の「振り出しに戻る」も、ボードゲームのすごろくから来ているので、おなじ語源なのが面白いところです。
動物のイメージが元になった表現
③ The company has gone to the dogs.
(その会社は落ちぶれた)
解説:英米人にとって、イヌは人間に最も忠実な伴侶というイメージがある一方で、「人間以下のもの」というネガティブなイメージもあるらしいです。
そのため、「go to the dogs = イヌの世界に落ちていく」というニュアンスで、落ちぶれる感じを出します。
マンガが元になった表現
④ He is keeping up with the Joneses.
(彼は負けず嫌いだ)
解説:これは、アメリカで有名なマンガから来ています。
「ジョーンズ家に負けるな」というタイトルのマンガで、隣人のジョーンズ家と張り合って、新しい芝刈り機や車を買う家族の姿をこっけいに描いて、大ヒットしました。
その後、映画化やミュージカル化もして、アメリカ人の間では定番のストーリーになているらしいです。
TVドラマが元になった表現
⑤ She is living the life of Riley.
(彼女は気楽でぜいたくな暮らしをしている)
解説:Riley は、アメリカの有名なTVドラマ「陽気なライリー」のキャラクター。内容は、航空機会社の工員が主人公のフィミリーコメディーだそうです。
そのドラマに登場するRiley(ライリー)は、何に対してもその場しのぎで済ませようとして、結果うまく切り抜けてしまうというストーリー。そこから転じて、「気楽でぜいたく」というニュアンスが生まれたそうです。
ネイティブ英語のカベを超えるためのテキスト
いかがでしょうか?
「こんなの、説明されないと分からないよ!」
と叫びたくなりますよね?
これが、ネイティブ英語のカベなのです。
数あるカベの中でも、最も分厚いカベと言っても過言ではないでしょう。
僕は以前、このカベを乗り越えるべく、ある1冊のテキストを音読で仕上げた経験があります。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
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