from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
今年のセミの幼虫狩りには、初めて娘を連れて行きました。
去年はまだ娘は1才だったので、言葉もまったく通じなくて、セミの幼虫を見せても、それが何なのか分からない状態でした。
ただ、怖がる様子はなく、動いているのを目の前で見てニコニコしていました。
そして今年は、絵本でセミを見て「セミさん」と言えるようになったので、実際に外でつかまえる瞬間に立ち会わせたのです。
正直、僕は娘が幼虫を怖がると思っていました。
また、薄暗くなった草むらに入っていくことを拒むだろうなぁ・・・と予想していました。
そのため、だっこひもで包んで、安心感を与える状態で幼虫ハンティングに出かけました。
ところが、予想外の展開になりました。
まったく怖がらない
娘はまったく怖がらなかったのです。
僕が草むらに入っていっても、興味しんしんで見て回りました。
そして、いざ幼虫を見付けた瞬間も、
「ふーちゃんがやる!」
と言って、自ら手を出したのです。
僕が身体ごと娘を幼虫に近づけたら、むんず!とつかんで、手に乗せていました。
しかも、そんなに強くつかむわけでもなく、ほどよい力加減で持っています。
そんなスキルをいつ身に付けたのか?
と思ったのですが、おそらく保育園の公園活動の中で、何度もダンゴムシを捕まえていると報告を受けたので、そこで技を身に付けたのかもしれません。
連日のハンティングでも本領発揮
その後も、連日でセミの幼虫ハンティングに娘を連れて行きました。
すると、どんどん慣れてきて、抱っこひもから出て、自分の足で草むらにズンズン入っていくようになりました。
娘は視点が低いので、葉っぱの裏側に隠れているセミの幼虫も、めざとく見付けて、「見て!!いたよ!!」と叫びます。
僕より目が良いので、遠くにいるセミの幼虫にも気付きます。
そしてセミの幼虫だけではなく、抜け殻を見付けるたびに、興奮して次々に取っていきました。
草むらの植物の高さは僕の腰まで程度ですが、娘の身体のサイズで見た場合、自分と同じかそれ以上の高さのジャンルグルみたいなものでしょう。
その中にグイグイ入って行くのは、かなり勇気がいるはずです。
それでも、僕よりも先を歩いて、見付けた獲物をどんどん狩っていきました。
そして、僕の腰にたずさえた袋の中に入れていきました。
よく西洋では、動物ハンティングをする時に猟犬を一緒に連れて行くシーンを見ます。
今回のセミの幼虫ハンティングでは、僕は娘が猟犬に見えてきました。
妻のサヤはその姿を見て、ボソッと言いました。
「これはきっと、教育の成果だなぁ~。私たちがセミの幼虫を怖がらない姿を見てるから、この子にも恐怖がないんだろうね。」
と言いました。
たしかに、言われてみれば!と思いました。
娘は生まれた時から、夏になると僕がセミの幼虫を手から腕に向かってはわせる姿を見てきました。
また、サヤも僕の影響で、訓練してセミの幼虫が触れるようになりました。
両親がセミの幼虫を手に持っている姿を見ている娘にとっては、「セミの幼虫=安全」だという認識があるのでしょう。
その証拠に、娘はハチを恐れています。
それは、僕とサヤがハチが近づくと過剰反応しているからです。
僕は昔に1度アシナガバチに刺されているので、
「2度目刺されたら危ない!アレルギー反応で死ぬかも知れない」
という認識があります。
そのため、ハチを見かけるとつい声を出してしまったり、ダッシュで逃げるようにしています。
娘と散歩中にも、僕がハチを恐れる姿を見ているので、娘も自然とハチを恐れるようになったのです。
先入観がなければ、恐怖も生まれない
娘の反応を見ていると、人間にとって「先入観」がいかに恐怖心とつながっているか?を実感します。
その先入観は、親から子に引き継がれるのかもしれません。
「何を恐いと感じるかは、子どもの頃の体験とリンクしている。そして、子ども時代に感じた恐怖心は、大人になっても残り続ける」
と聞いたことがあります。
ということは、日本人の多くが「街中で外国人から話しかけられると恐怖を感じる」というのも、子ども時代の体験が影響しているのかもしれません。
たとえば、
・親が外国人に話しかけられて、たじろぐ姿を見た。
・「分からないこと」「できないこと」を、親や先生から責められた。
・失敗をしたことを、友達にからかわれた。
などの体験が、「外国語を理解できないことへの恐怖」につながっているのかもしれません。
さらに、大人になると「体験したことがないこと」も恐怖につながります。
人間は、子どもの頃は「未知の世界への好奇心」の方が上回りますが、中学生以上になると「未知への恐怖」の方が大きくなると聞いたことがあります。
これは命を守るために必要な本能だそうです。
日本に住んでいると、外国人と話す機会は多くありません。
そのため、街中で突然外国人に話しかけられると、「未知への恐怖」の本能が自動的に働いてしまうのかもしれません。
ちなみに、ネイティブの先生から聞いた話によると、
「日本人は英語で話しかけると、焦ってすごく困った表情をするか、早足で逃げてしまうことが多い。でもイスラエルで現地人に英語で話しかけると、『俺に話しかけるな!あっちへ行け!』と追い払われる。僕は日本人の反応の方がいいなぁ・・・」
と言っていました。
恐怖に対する反応も、国民性が出るのかも知れませんね。
英語に先入観をなくす
僕は今回のセミの一件を見て、決めたことがあります。
それは、「僕が英語で外国人と話す姿を、できるだけ娘に見せておこう」ということです。
「外国人と話すのが当たり前」という先入観があれば、英語でコミュニケーションを取ることに抵抗がなくなるかもしれません。
僕は今のところ、娘に英語教育をする予定はありません。(自分から英語を勉強したいと言ってこない限りは)
それよりも先に、「外国人とコミュニケーションを取ることは、当たり前なんだ」という先入観を持ってもらうことが大事かな、と感じています。
セミの幼虫をグイグイ捕まえるのと同じように、外国人に向かってもグイグイとコミュニケーションを取りに行くマインドが身に付けば、英語のスキルは後から付いてくる気がするからです。
そして、大人になってからでも新しいマインドを身に付けることは、できると思っています。
これからも、ブログやYouTubeで、英語学習者に新しいマインドを身に付けてもらえるような情報を発信していこう!
と改めて思いました。
(セミの幼虫の話:完)
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