
from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
何となく「センス」や「感性」「雰囲気」のような、ボヤッとした言葉で表現されがちなファッションの世界。
僕がジーンズショップの店長をやっていた頃には、そのボヤッとした部分が苦手でした。
「いったい、何をもってオシャレと認定されるのか?」の答えが、ファッション雑誌を毎月2〜3冊購読を7年間続けても、僕には見つかりませんでした。
言語化できないと思っていたファッションの世界に、ガチガチの理論と言語化のアプローチを持ち込んだのが、ユーチューバーのMBさんです。
MBさんは、僕と年代が近い40代で、学生時代からファッションにハマって、オシャレなセレクトショップの販売員の仕事や、バイヤーなどを経て、今は自分のブランドを立ち上げて販売しています。
MBさんは、「何をもって人はオシャレだと感じるのか?」の定義を発見し、徹底的に言語化しています。
そのスタイルが、僕の興味にバッチリはまって、今はもう服飾と関係ない仕事をしているのに、ついつい見てしまうYouTubeチャンネルになっています。
MBさんはファッションを「理論」で説明する
MBさんの理論では、大人の男性がオシャレに見えるために必要な服の要素は、
ドレス7 対 カジュアル3
の割合だと言っています。
ドレスというのは、キレイめでフォーマルなイメージを持つ服のことです。
たとえば、男性はビシッとしたスーツやタキシードなどを着て革靴を履くと、ドレス100%の比率になります。
反対に、上がパーカーに、下は色落ちしたジーンズなどを着ると、カジュアル100%の比率になります。
この比率を7:3に保つことで、どんな服を合わせてもオシャレに見せることができるそうです。
さらに、このドレス寄りの服の特徴として、どんな素材やシルエットがフォーマルな印象を与えるかも、すごく細かく言語化しています。
・素材的には、表面にツヤがあったり、ツルッとして見える素材は、ドレス寄り。
・反対に、ツヤがなくて表面がデコボコしているものは、カジュアル寄り。
・シルエット的には、身体に対して服のサイズがピッタリしていると、ドレス寄り。
・反対に、身体にフィットせずにゆったりしていると、カジュアル寄り。
というように、細かく言語化しています。
動画の中では、もっと細かく「具体的な素材の種類と名前、シルエットのバリエーション(Yライン、Aライン、Iライン)」などを、詳しく解説してくれます。
また、色に関しても、
・黒や白、グレーなどのモノトーンは、ドレス寄り。
・赤や青などの原色は、カジュアル寄り。
という分け方です。
僕が習ったカラーコーディネートの世界よりも、シンプルで誰にでも分かりやすく、イメージしやすいです。
こうした考え方を使って、ファッションをロジックで説明しているのです。
そして驚いたのが、人間の見た目(肌などの印象)も、ドレスとカジュアルがあるということです。
人間の見た目の分け方
人間は、若い頃には肌にハリと水分があり、表面がすべすべツヤツヤしています。
確かに僕の娘を見ていると、2歳と5歳の彼女たちのホッペタは、まさにツルスベです。
髪も若いうちはサラサラで、ツヤツヤしています。
これは、ファッション的に見ると、「ドレス寄りの要素」です。
そして年を重ねるにつれて、だんだん肌の表面がざらざらしてきて、しわができて、均一ではなくなってきます。
髪も水分が減ってパサパサしてきます。
これは、ファッション的に見ると、「カジュアル寄り」です。
つまり、人間の見た目は若いうちは「ドレス寄り」で、年齢を重ねることで、「カジュアル寄り」になっていくのです。
この発想は、とても面白いと思いました。
服を選ぶ時には、この自分の見た目のドレス度やカジュアル度を計算に入れないと、バランスが崩れるということなのです。
これにより、いわゆる「おじさん見えするファッション」と、「イケオジ見えするファッション」の違いが生まれるそうです。
「おじさんはパーカー着るな事件」が炎上した理由
ちょっと前にネットの世界で炎上したテーマがあります。
有名なYouTubeチャンネルに出演した、20代の辛口女性ユーチューバーが、「おじさんはパーカー着ちゃダメ!ダサい!」と発言し、世の中年男性たちから猛反発のコメントの嵐を受けて、炎上しました。
これだけ炎上したということは、おそらくパーカーを着ている男性たちの中で、奥さんや娘さんなど周りの女性達から「ダサい認定」を受けてきた人が多かったのではないかと思います。
人間は心理的に、これまで受けてきた痛みに触れられると、大きな怒りがこみ上げてきます。
ふだんパーカーを着て周りからオシャレ認定されている人が、1人のユーチューバーの発言で怒り狂うことはないでしょう。
炎上した事実を元に分析すると、パーカーを着ている中年男性の多くが、これまでに周りから「ダサい認定」を受けた経験があり、そこに対して心の傷がある、という仮説が立てられます。
女性ユーチューバーの言い方の是非は置いておいて、この発言には、先ほどのカジュアル or ドレスの理論が当てはまります。
人は何をもって「ダサい」と感じるのか?
その女性は直感で、「おじさんがパーカーを着るとダサく見える」と感じたのですが、その理由はカジュアルとドレスの比率です。
若い男性の場合、肌や髪がつるつるしているので、ドレス寄りです。
ドレス寄りの顔や身体を持つ若者が、カジュアル度の高いパーカーを着ると、カジュアルとドレスの比率バランスが取れるので、似合って見えます。
ぶっちゃけ、若いうちは100%カジュアル寄りの服を着ても、身体のドレス度が打ち消して、バランスを取ってしまうのです。
対して、中年男性の場合は、すでに肌や髪のツヤがないので、身体のカジュアル度が高くなっています。
そこにカジュアル度100%のパーカーを着ると、身体と服を合わせた見た目全体が「100%カジュアル寄り」になってしまうので、バランスが悪くなるのです。
その結果、周りの人たちの目からは「ダサい」と認定されます。
つまり、なんとなく感性で語られがちな「ダサい」の定義は、「ドレスとカジュアルの比率バランスが悪くなった状態」のことを言うのです。
これが分かると、バランスの取り方が分かってきます。
身体が加齢でカジュアル寄りになることは、避けられません。
なので、服の方をドレス寄りにすることで、バランスを取ることができます。
その解決策が、先ほどの「ドレス7:カジュアル3」の黄金比なのです。
僕はこの理論をMBさんから聞いた時、思わず「なるほど!」と叫んでしまいました。
・・・つづく。
P.S.
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