
from 師範代Shinya
「聞き流すだけで英語が口から出る!」
「1日5分でネイティブみたいに話せる!」
こういうフレーズを見ると、つい目が止まってしまうことがあります。
冷静に考えれば、そんなに簡単ではないことは分かります。
でも、それでも気になってしまう。
広告をクリックしたくなる。
体験談を読み込んでしまう。
「もしかしたら、自分にもできるかも」と期待してしまう。
これは、英語学習者の意志が弱いからではないと思います。
それだけ英語を話せるようになりたい気持ちが強いからこそ、こういう言葉に反応してしまうのだと思います。
「早く変わりたい」という気持ちは自然なもの
英語学習を始める人の多くは、すでに何かしらの不満や焦りを持っています。
海外旅行で英語が出てこなかった。
外国人に話しかけられて固まってしまった。
TOEICや英検の勉強をしているのに、なかなか伸びない。
長年英語に苦手意識がある。
そういう状態で、「3ヶ月で英語ペラペラ!」という言葉を見ると、心が動くのは自然です。
今の自分から早く抜け出したい。
もう英語で悩みたくない。
遠回りしたくない。
できれば最短で結果を出したい。
この気持ちは、決して悪いものではありません。
むしろ、英語を本気で何とかしたいと思っている証拠です。
ただ、その気持ちが強いほど、「ラクに変われる方法」に引き寄せられやすくなります。
僕も聞き流し教材に引きつけられた
正直に言うと、僕もやり直し英語を始めた最初の1年目は、そういう広告に目を奪われまくっていました。
当時の僕は、英語を話せるようになりたい気持ちは強かったのですが、何をどう勉強すればいいのか、まだよく分かっていませんでした。
本屋に行けば、英語教材が山ほど並んでいる。
ネットを見れば、いろんな教材の広告が出てくる。
どれも魅力的に見える。
その中でも特に気になったのが、「聞き流すだけで英語が身につく」というタイプの教材でした。
仕事をしながらでもできる。
移動中でもできる。
机に向かわなくてもいい。
努力している感覚がなくても、英語が自然に入ってくる。
当時の僕には、ものすごく魅力的に見えました。
さらに広告の中では、「普通の商店街を背景に、店主として紹介された50〜60代ぐらいの男女」が、外国人を相手にペラペラと話しているシーンの動画が出てくるのです。
ジョークも交えながら英語で談笑しています。
当時の僕はこの誘惑に負けて、その聞き流し教材を試したこともあります。
最初はワクワクしました。
これで英語が話せるようになったら最高だなと思いました。
でも、しばらくやってみて気づきました。
ただ聞いているだけでは、僕の口から英語は出てこなかったのです。
同時に同じ教材で始めた友だちも、効果は感じられないと言っていました。
英語の音に慣れる効果はあるかもしれません。
でも、「自分で英文を作って口から出す力」は、聞き流しているだけでは育ちにくいと感じました。
ちなみにその数年後、英語講師になった僕は、僕が試したのと同じ聞き流し教材を買って使ったことがある人たちと話すことが何度もありました。それだけ売れていたということでしょう。
でも、聞き流しだけであの広告の店主たちようにペラペラになった人に実際に出会ったことは、いまだにありません。
今振り返ると、「あの店主たちは何者だったんだろう?」という疑問が湧き上がってきます。
本当に聞き流しだけで話せるようになった、レアな人たち?
事前に英語のセリフを仕込まれた役者?
長年の鍛錬を積んだ英語猛者?
真相は分かりません。
さすがにこれは不自然だと思った広告
以前、3ヶ月でペラペラ系の広告で、思わず「え?いやいや、これはやり過ぎでしょ!(笑)」と感じるものがありました。
英語の先生仲間と一緒に見ていたのですが、途中で思わず笑ってしまいました。
その広告では、受講生のBefore & Afterの音声が流れていました。
顔出しはなし。
声だけで、英語がどれだけ変わったかを見せるタイプの広告です。
でも、そのBeforeの時点で、僕にはかなり違和感がありました。
明らかにネイティブが、わざとゆっくり話しているように聞こえたのです。
ものすごくゆっくりしたスピード。
出だしから何度もつっかえている。
でも、発音だけは良すぎる。
しかも、使っている文法が妙に高度なのです。
たとえば、
I have been studying English 〜
のような、現在完了進行形を普通に使っている。
それなのに、なぜか他のどうでもいいところで不自然につまずいている。
本当に初級者がつまずいている感じではなく、「英語が苦手な人っぽく演じている感じ」に聞こえました。
そしてAfterになると、今度はネイティブの全力スピードの英語で、完全に映画のセリフのようなペラペラ状態です。
あまりにもBeforeとAfterの見せ方が極端で、僕たちは「これはさすがに不自然だよね」と話していました。
念のため、ネイティブの先生にも聞いてもらいました。
すると、その先生も笑いながら、
「こりゃ Before も After もネイティブの声だね」
と言っていました。
もちろん、すべての広告がそうだと言いたいわけではありません。
短期間で伸びる人もいます。
良い教材や良いスクールもたくさんあります。
でも、強い広告ほど、「本当にその変化は自然なのか?」という目は持っておいた方がいいと思います。
強い広告が刺さる本当の理由
「3ヶ月で英語ペラペラ!」という言葉が刺さる理由は、単にラクをしたいからではありません。
その裏には、もっと深い気持ちがあります。
自分にもまだ可能性があると思いたい。
英語ができない自分を早く卒業したい。
過去の挫折を取り戻したい。
これまでの努力が報われてほしい。
そういう気持ちがあるからこそ、強い言葉に反応します。
だから、そういう広告に引きつけられた自分を責めなくていいと思います。
僕も通ってきた道です。
むしろ、「自分はそれだけ英語を話せるようになりたいんだな」と受け止めればいい。
ただし、そこから先は冷静に見る必要があります。
本当に自分の英語力を伸ばしてくれる方法なのか。
気持ちよく夢を見せてくれるだけなのか。
この見極めは大事です。
結局、口を動かした分だけ話せるようになる
英語を話せるようになりたいなら、やはり口を動かす練習は外せません。
僕が最終的に効果を感じたのは、音読と瞬間英作文でした。
音読は、英文を見ながら声に出す練習です。
英単語の意味。
文法の形。
語順。
発音。
リズム。
音のつながり。
これらを一度に身体に入れていくことができます。
一方で、瞬間英作文は、日本語を見て瞬時に英語に変える練習です。
これは、頭の中で英文を組み立てる力を鍛えてくれます。
英会話で止まりやすい人は、単語を知らないというより、語順を作るスピードが追いついていないことが多いです。
その部分を鍛えるには、瞬間英作文はとても相性がいいです。
もちろん、最初は地味です。
派手な広告のようなワクワク感は少ないかもしれません。
でも、確実に積み上がります。
昨日より少しスムーズに読める。
前より英語の語順に慣れてくる。
口が英語の形を覚えてくる。
この感覚が出てくると、英語学習は少しずつ楽しくなっていきます。
魔法ではなく、積み上げで英語は変わる
僕は、「3ヶ月で英語ペラペラ!」という言葉そのものを全否定したいわけではありません。
短期間で集中して伸びる人もいます。
環境が変われば、一気にスイッチが入ることもあります。
ただ、多くの大人の英語学習者にとって、本当に必要なのは魔法のような方法ではなく、続けられる仕組みです。
そして、続けた分だけ確実に力になる練習です。
その意味で、音読と瞬間英作文はとても強いです。
派手さはありません。
でも、裏切りにくい。
英語を聞き流すだけではなく、自分の口を使う。
英文を眺めるだけではなく、声に出す。
知識として分かるだけではなく、身体に落とし込む。
この積み重ねが、英会話の土台になっていきます。
広告の強い言葉に引きつけられてしまうのは、自然なことです。
僕もそうでした。
でも、そこから一歩進んで、
「本当に自分の口から英語が出るようになる練習は何か?」
と考えてみる。
その答えの1つが、音読と瞬間英作文だと思います。
英語は、魔法のように突然ペラペラになるものではありません。
でも、正しい方向にコツコツ積み上げれば、昨日の自分より確実に前に進めます。
そして、その小さな前進の積み重ねこそが、大人の英語学習では一番強いのです。
P.S.
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