from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
ひとりごと自由英作文は、瞬間英作文トレーニングの第1ステージを終えた人にとっては効果的なトレーニング法です。
実際に、子どもが母国語を習得する過程でも、このひとりごと英作文を自然に毎日やっていることを発見しました。
僕の娘は、僕と一緒にいる時だけではなく、1人でベビーサークルの中にいる時にも、ぬいぐるみを使って自由日本語作文をしています。
パンダとキリンのぬいぐるみを2つ並べて、
「パンダさん、○○だよ~!」
「キリンさん、○○だね~!」
みたいに、人形劇を演じているのです。
ちょっとしたすきま時間でも、常に自由日本語作文で話し続けているのがスゴいです。
確かに、これだけ圧倒的な時間を割いたら、言語が発達するのは当たり前かもしれません。
よく「子どもは自然に言語を学ぶ」と言われることがありますが、そのウラには、圧倒的な練習量があると思います。
もし、僕たち英語学習者が、子どもと同じ練習量で「ひとりごと自由英作文」を毎日続けたら、英語をアドリブで話す力が1~2年で一気に高まることは、間違いないでしょう。
その時間を捻出できるか、モチベーションが続くか、は別問題ですが・・・
ひとりごと自由英作文のデメリット
一方で、ひとりごと自由英作文にもデメリットがあります。
僕自身が自分のトレーニングに取り入れて毎日やっている時に、このデメリットに気付きました。
それは、「正解をその場で確認しづらい」ことです。
自由英作文には英語テキストのように「お手本の正解例」がないので、自分が作った英文が合っているのかどうか、瞬時に分かりません。
これがけっこうストレスなのです。
子どもであれば、間違っているかどうかなんて関係なく、とにかくしゃべりまくることもできるでしょう。
でも、大人になるとどうしても正解が気になってしまいます。
間違ったフレーズを覚えても意味が無いと思ってしまうからです。
1つの解決策として、「スマホに向かってしゃべって音声入力して、文法チェッカーやスペルチェッカーなどのアプリで確認する」という方法があります。
ただ、それでも通勤途中などで急いでいる時には、手間に感じてしまうでしょう。
かといって、調べないでそのまま放っておいて、後から時間がある時にチェックしようと思っていると、いざその時になったら「あれ?今朝作った英文て何だっけ?」と忘れてしまうことがよくあります。
辞書で英単語を調べても、正しいかどうか分かりづらい
またもう1つ、実際にやってみて分かったことは、
「英単語が正しいかどうか分かりづらい」
ことです。
一応、辞書で調べれば一発で英単語は出てくるのですが、本当にそれが会話で通じるナチュラルな英単語なのかは、分かりません。
辞書の日本語訳が合っているからといって、それがそのまま英会話で通じるかどうかは、また別問題です。
実際に僕は、自分が辞書で調べて覚えた英単語がネイティブ相手に通じない、という経験を何度もしました。
スペルチェッカーや文法チェッカーのアプリでは、さすがに「この英単語が会話で使われるかどうか」までは教えてくれません。
調べるにはネットで検索して、「似ている英単語のニュアンスの違い」とか、「ネイティブに通じる英単語 VS 通じない英単語」みたいな記事を探し当てて調べることはできます。
でも、毎回そこまでやっていては、足止めを食らってしまい、瞬間英作文トレーニングで大事な「スピードとリズム」を作り出すことができないのです。
だから僕は、自分がひとりごと英作文をやっている時には「自分の作文が合っているかどうかは別として、とりあえず次へ進む」という優先順位でやっていました。
どうしても気になって、知りたい英単語だけは、後から調べていました。
というように、ひとりごと英作文は効果が高い反面、続けづらいというデメリットもあります。
実際、僕も続けたれたのはトータル3ヶ月程度でした。
子どもが母国語を学ぶ環境はパーフェクト
一方で、子どもが自由作文で日本語を練習する時には、この欠点がすべてクリアされています。
日本語のネイティブである大人がいつもそばにいて、正しい単語を教えてくれるからです。
さらに、正しい発音も何度も教えてくれます。
実際に、娘の練習風景を観察していると、このようなステップで進んでいきます。
①娘が風景の中で気になるものを見付けたら、「あれ何?」と聞く。
②僕が「あれはセミだよ。」と教える。
③娘は「セミがいるね!」と言う。
④僕が「そうだね~」と言う。僕のリアクションで、娘は自分の作文が正解であることを知る。
⑤また娘は別の虫を指さしながら、「あれ何?」と聞く。
⑥僕は「あれはカナブンだよ」と教える。
⑦娘は発音がムズカしい時には、同じことを繰り返す。
「あれ何?」「カナブン」
「あれ何?」「カナブン」
「あれ何?」「カナブン」
「あれ何?」「カナブン」
「カ~ナーブン?」「そう!カナブン!よく言えたね~!」
みたいなやりとりを通じて、何度も僕にネイティブ発音させる。
⑧同じ要領で、文法も確認してくる。
⑨僕は、今の娘の言語レベルで言えそうな範囲内で、最も自然に聞こえる文章を短く発音して聞かせる。
⑩娘は何度も僕にリピートさせながら、正しい構文をマネして発音する。
⑪1度覚えた構文は、何度も何度も使ってくる。
⑫使うたびに、僕と妻のサヤから「スゴいねー!」とホメられる。
⑬嬉しくて何度も使うから、さらに覚える。
という流れです。
この素晴らしい学習環境が、24時間265日続くのです。
こんな恵まれた環境を実現できるのは、やはり母国語だからでしょう。
・・・つづく。
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