僕が小学生の頃、日本に「ビリヤードブーム」がやってきました。
当時、「ハスラー」というタイトルの映画が大ヒットした影響で、ビリヤードにハマる人が急増したのです。
子供のおもちゃ売場にも、ビリヤードのミニ版みたいなものがたくさん並びました。
小学生の僕が当時買うことができたのは、スーパーの小さなおもちゃコーナーに売っている、15センチ×25センチくらいの、超ミニチュアのビリヤード台でした。
玉の直径は1センチくらい。玉を突く棒は、鉛筆くらいの細さです。
(写真は、ユーチューバーのMasuoさんのレビュー動画からキャプチャーさせていただきました)
当然、本物のビリヤードのように、玉がいろんなところに跳ね返って穴に落ちる・・・なんてことは起こりません。
棒で突かれた白い玉が、勢いがつき過ぎて他の玉をぜんぶ飛び越えて、ソファーの下のすき間に消えていく・・・なんてことはしょっちゅうでした。
それが僕にとって最初で最後のビリヤードだったので、大人になってから本物をプレイする日が来るとは、思いもしませんでした・・・しかも、本場カナダ人と一緒に!!
(ビリヤードの本場がカナダかどうかはわかりませんが、一応、西洋文化のゲームってことで)
初めての本物ビリヤード
ネイティブの先生との居酒屋に行くイベントが終わって、しばらくした頃のこと。
こんどは、彼の方から誘いがありました!
「Let’s play pool!」
と言われたのです。
「ん??プール?まだ肌寒いぞ?温水プールか?」
と思っていたら、どうやら「pool」というのは、「ビリヤード」のことでした。
カナダではプールと呼ぶらしいのです。
前回の居酒屋トークの経験から、僕はまだ一対一で何時間も会話することはできないと思い知ったので、こんどはこっちから、
「こないだ一緒に飲み行ったメンバーにも声をかけよう!」
と提案しました。
そして、英語ペラペラメンバーと初心者の僕で、一緒にビリヤードに行くことになりました。
大人の空間
ビリヤード場について扉を開けると、独特の空間が広がっていました。
すこし薄暗い空間に、重厚感あふれる台がいくつも並んでいます。
その後ろには、いろんな種類のお酒が並んだバーカウンターが見えます。
お酒が飲めない僕は、いわゆる「バー」と呼ばれる場所に来ること自体が初めてでした。
他のグループの人たちが、玉を突く音が店内にこだましています。
なんか、すっごく「大人の空間」て感じがしました。
慣れない雰囲気に、だんだん緊張してきました。
カナダ人の彼は、何度かこの店にきたことがあるらしく、慣れた手つきで店内を歩きながら、僕に玉を突く棒(キュー)を渡してきました。
ずっしりした重さと、高級な木の質感が、手に伝わってきます。
「おぉっ!これが、子供の頃に憧れた、本物のビリヤードの棒か!!こりゃ、買ったら相当高そうだな!」
そう感じながら、まじまじとキューを眺めていたら、カナダ人の彼が僕にレクチャーを始めました。
もちろん、ビリヤード関連の英単語は僕には理解できません。
でも、道具を使ってジェスチャーを入れながら説明してくれるため、それをマネしていればいいので、すごくラクです。
青い目にヒゲモジャの風貌の男から、ビリヤードの手ほどきを受けている自分・・・
おぉ!!これはまさに、僕が子供の頃に憧れた世界ではないか!
まるで、映画のワンシーンの中に入り込んだ気分です!
このとき、僕は自分が子供の頃に西洋文化に憧れていた時期があったことを思い出しました。
カナダ人の彼は、自分から誘っただけあって、腕前はかなりのものでした。
僕はまったくの初めてでしたが、場の雰囲気が気に入ったので、その場にいるだけで楽しく感じました。人のやるのを見ているのも面白くて、あっという間に時間が過ぎていきました・・・
すごくラク!!
前回の居酒屋決戦に比べて、今回はなんだかすごくラクに感じました。
なぜか?それは、僕らのメイン活動が「会話」に集中していなかったからです。
飲み会や食事の時は、会話がメインの活動になります。逃げ場はありません。
しかし、ビリヤードをやっているときは、みんなが主に「動き」に集中しているため、会話が途切れても不自然にはなりません。
その他にも・・・
・会話の内容が絞られます。ある程度ビリヤード関連のボキャブラリーが分かってくれば、みんなの会話についていけます。
・ジェスチャーを交えた動きがあると、聞き取れない単語があっても、相手の言いたいことが分かります。自分がしゃべるときも、ジェスチャーを駆使すれば、けっこう伝わります。
・うまくいきそうでいかなかった時に、「おしい!」って英語で何て言うんだろう?とか、テキストでは出てこないようなシーンの一言英語フレーズを気にするようになります。
今回のビリヤードは彼からの提案でしたが、なかなかナイスアイデアだな!と思いました。
やはり、英会話初心者がネイティブを誘って遊ぶときは、まずは、こういった「動き」を伴うゲーム的なもので、
「会話がメインじゃない集まり」
の方が、お互いにとって気が楽だと学びました。
自分の土壌にネイティブを引き込む
今回はビリヤードでしたが、何人かでできるアクティビティーなら、種類は何でもいいと思います。あなたが得意で詳しいものなら、さらに良いです。
僕はその後、応用編として、ネイティブとのダーツやカラオケに挑戦するようになりました。
そのうちに、
「自分の土俵に相手を引き込むことで、話題を制限して、自分の聞ける単語だけで相手に話させる」
という英会話戦略の原型を見つけることができました。
これは、その後もずっと役立ち、この日から数年後に受けることになった英検1級の二次試験(面接)の時にも、大きな威力を発揮しました。
・・・つづく。
From Shinya
(英語の達人養成ジム 師範代)
※もくじは、こちら
自己紹介は、こちら
P.S.
僕がネイティブを自分の土俵に引き込んだ「秘密兵器」は、こちら。
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