from 師範代Shinya
※以前、YouTube動画でアップして反響があった、一問一答コーナーの内容を、改めてブログ記事で詳しくご紹介します。
(→前回の続き)
「○○年後には、アメリカのドラマを字幕なしで理解できるようになりたい!」
「○○年英語を勉強したら、オンライン英会話のネイティブの先生と対等に渡り合える会話力が身に付くはず!」
そんな期待値が、英語学習者の中にはあると思います。
そして、それらの基準の多くは無意識のうちに刷り込まれた、
「本やネット記事などから得た情報」
を元に構築されている可能性が高いです。
さらに、周りの英語学習者の伸びのペースと自分を比べてしまうことも、よくあります。
僕自身も、同じことを味わったことがあります。
僕が最初に影響されたのは、今でも忘れません。
当時、英会話スクール業界で知名度&売上ナンバー1だったNOVAの広告です。
僕が定期購読していたNHKの英語テキストの裏表紙に、毎回NOVAの広告が入っていて、そこには、
「英語を学ぶには、ネイティブが一番!」
「英語のシャワーを浴びていれば、英語は自然に話せるようになる」
というようなメッセージがありました。
何度も目にしているうちに、
「やっぱり英語は、英語のネイティブから教わって、さらに英語のシャワーを浴び続ければ、自分でも気付かないうちに英語力が上がるんだろう」
という期待値が出来上がっていきました。
そこで僕は、週1回の英会話スクールのレッスンに加えて、週3回ペースで外国人が集まるバーに顔を出すようになりました。
「1回行ったら2時間は粘る」ことを徹底していました。
その生活を1年ぐらい続けたら、きっといつの間にか英語が聞き取れるようになって、自分の口からも英語が飛び出すに違いない!
と期待していたのです。
1年後の自分への期待
この1年という期間も、どこで基準ができたのか分かりませんが、たしか当時のNOVAの広告の中にあった生徒さんの声で「1年後には口から英語が出てくるようになりました!」的な内容があったような記憶があります。
確かに、中には1年続けて英語が口から出てくるようになる人もいるでしょう。
でも、その人と僕はバックグラウンドが違います。
僕は受験勉強も経験したことがないし、まったくのゼロからやり直し英語を始めたタイプです。
このコメントの人のバックグランドが分からないまま、「自分にも同じ結果が得られるはずだ」と思うのは、今考えると単純すぎました。
でも、当時の僕はNOVAの広告に影響されていました。
通っていた英会話スクールはNOVAではありませんでしたが、外国人バーで知り合ったNOVAティーチャー達と仲良くなりました。
当時の僕は英語をほとんど話せませんでしたが、身振り手振りと電子辞書を駆使することで、それなりにコミュニケーションはできました。
さらに僕は、趣味であるマジック(手品)を武器に、言葉と文化のカベを超えて、ネイティブ友達を増やせました。
NOVAティーチャーだけが集まるホームパーティーに呼ばれたり、NOVAティーチャーの送別会などにも呼ばれるようになり、まさに英語のシャワーを浴びまくる環境が手に入ったのです。
その結果、僕は英語のシャワーを1年間、浴び続けることができました。
おそらく、NOVAの英会話レッスンに通うよりも、濃い英語シャワーを長時間浴び続けられたと思います。
これは後から分かったのですが、NOVAはネイティブ講師と生徒がプライベートで会うと、講師がクビになるルールだったそうです。
だから、NOVA生徒ではない僕は、NOVAティーチャーたちのホームパーティーに呼ばれたのでしょう。
そして、そのパーティーには毎回、日本人が誰もいなかった理由もうなずけます。
NOVAティーチャー達にとって、僕は唯一プライベートで一緒に遊べる日本人だった可能性が高いです。
そんなラッキーな環境で英語のシャワーを浴び続けた僕の1年後の英語力は・・・
ほとんど変わりませんでした・・・
自分でもビックリするぐらい、変わらなかったのです。
相変わらず、英語は口から出て来ないし、友達の話す英語も聞き取れません。
身振り手振りなしでは通じないし、電子辞書は英会話の最中に手放せないツールになっていました。
自分の中での期待値に遠く及ばない現実に、愕然としました。
言いようのない絶望感
ここまでやってダメなら、自分には才能も素質もないのでは?
と思いました。
もう、英語を辞めようかな・・・と思うところまで、追い詰められたのです。
この時の絶望感は、今でもハッキリと思い出すことができます。
だから、英語学習に挫折してやめたくなる人の気持ちも、痛いほど分かります。
当時の僕は、「1年後の自分はこうなっていて欲しい」という漠然とした期待を、手放せずにいたのです。
そう考えると、僕が一番最初に伸び悩みを感じたのは、最初の1年目と言えるかもしれません。
・・・つづく。
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