From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※中学時代に僕が仲の良かったT君とK君との思い出話の続きです。
T君はある日の放課後、学校の下駄箱の前で、K君と僕のふたり(K&S)に、こんな話をしてきました。
T君「俺、実はおまえら二人にまだ見せたことのないゲーム機持ってるんだぜ。」
K&S「本当かよ?!俺たちがこなだいTの家に行った時には、何も言ってなかったじゃん。」
T君「あの時には、まだ見せられる段階じゃなかったんだ。極秘扱いのゲームだからね。」
K&S「何それ?極秘扱い?怪しいなぁ!どんなゲームだよ?」
T君「これは、ファミコンともPCエンジンとも違う。持ち運びできるミニゲーム機だよ。」
K&S「それって、ゲームボーイだろ?」
(当時、ちょうど初代ゲームボーイ(白黒画面)が一世を風靡していた時期でした)
T君「違うよ!俺のは海外からオヤジが特別に持ってきたやつなんだ。ゲームボーイよりずっと前に出てるんだぜ。」
K&S「ゲームボーイとどう違うの?」
T君「ゲームボーイは、画面が白黒だろ?俺のは、カラーなんだよ。」
K&S「えーー!!そんなバカな!!カラーだって??」
(当時は、まだカラー液晶の携帯型ゲーム機は1つもありませんでした)
T君「そうだよ。カラー液晶で、色んなゲームができるんだ。」
K&S「色んなゲームができるだって?ソフトは?」
T君「ソフトは中に内蔵されてて、最初に電源を入れたらどのゲームをプレイするかを選べるんだ。」
K&S「マジか?!本当にそんなものがあるのか?」
T君「本当さ!こんどやらせてやるよ。」
K&S「マジで!!やったー!!」
僕とK君は心の底からワクワクしました!
日本ではまだ誰にも知れられていない、海外のゲームをプレイできる!しかもそれは、携帯型のゲーム機で、画面がカラー液晶!
今でこそ、スマホの登場によってカラー液晶を見るのが日常化しましたが、当時は携帯電話どころかポケベルがやっと出てきたくらいの頃だったと思います。
そもそもカラー液晶画面を見る機会がないので、どんなものかワクワクしました!
夢のゲーム機
その後も、T君は帰る前に、下駄箱のすみで僕ら2人を集めて、このゲーム機に関するトークを何度もしました。
・画面のサイズはゲームボーイをちょっと大きくしたぐらい
・操作はよくある十字キーのパッドではなく、ゲーセンと同じジョイスティックの形をしている
・本体の見た目は、ゲーセンの筐体をそのまま小さくしたような作り
・本体に内蔵されている何種類ものゲームの中で、T君が一番気に入っているゲームの細かい解説(1面でこんなボスが出てきて、3面の水中バトルが難しくて・・・など)
・他にも入っているゲームのジャンルと細かい説明
などなど、本当に細かく説明されることで、T君の話はどんどん真実味を増していきました。
僕とK君は、T君の話に完全にとりつかれていきました。
毎日、T君の話を聞くのがワクワクしました。
異変に気付く
一方で、ちょっとおかしな面も気付き始めました。
T君は、僕らにそのゲームをやらせてあげると言っている割に、なかなか家に呼んでもらえないのです。
「最近、ゲームばっかりやり過ぎて親に怒られたから、しばらく家でゲームできなくなった」
とか、
「オヤジが怒ってゲーム機を取り上げられた」
とか、僕らを家に呼べない理由を並べるようになりました。
僕とK君は、「なんだよ~こんな時に限って!」と残念な気持ちになりましたが、待つしかありません。
その間も、ひたすらT君の「秘密のミニゲーム機」の話を聞いて盛り上がりました。
ところがあるとき、K君が言いました。
K君「シンヤ、俺思ったんだけどさ、Tの話、本当は作り話なんじゃないかな。」
僕:「え?マジ?!だって、あんなに細かく話してるのに??」
K君:「確かに本当っぽく聞こえるけどさ、俺たちまだそのゲーム機を見たこともないし、Tも一度も俺たちを家に呼ばないじゃん。」
僕:「でも、それは親がうるさいからじゃないの?」
K君:「そのタイミングも怪しいんだよなぁ・・・だって、そのゲーム機を日曜日に俺んちに持ってきて一緒にやればいいだけじゃん?それもできないっておなしくない?」
僕:「マジで??もしこれがウソだったらかなりショックだわ・・・」
K君:「俺もだよ。すっげー楽しみにしてたんだけどな。」
僕:「いくらTがホラ吹きキャラだからって、俺たちにまでそんなウソつかないっしょ?」
本当か?ウソか?
K君:「よし!じゃあ、確かめに行こう!今日、Tは先に帰っちゃったじゃん?帰りにTの家に寄って、ゲーム機を見せてもらおうぜ!」
僕:「でも、Tの親がダメって言ったら?」
K君:「大丈夫だよ。俺たち、Tの親友だってこと、向こうの親も分かってるじゃん。それに、前にお母さんに会ったとき、話しやすかったよ。
そのゲーム機の本体を一目見せてもらいたいです!プレイはしませんので!って、頼んでみようぜ。」
僕:「確かに、Tのお母さんは優しい雰囲気だったな。ゲーム本体を見せてもらうことぐらいはできるかもな。」
K君:「よし!今日、行こう!」
僕:「うん!行こう!」
そして、僕とK君は、その日の帰りにT君の家に寄ることにしました・・・
・・・つづく。
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