【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編160】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
つなぎの仕事のつもりで選んだ、イトーヨーカドーのパートの仕事の面白さにすっかりハマッてしまった僕は、週5日の出勤日が楽しくて仕方なくなりました。
 
 
学生の頃~鉄工場の仕事をしていた頃は「休みの日を心待ちにする生活」でした。
 
 
休みを心待ちにする考え方だと、週の大半をガマンしなが過ごしているような気分になります。
 
 
でも、何となくそれが当たり前だと思っていました。
 
 
みんなそうやって生きているんだと思っていたのです。
 
でも、イトーヨーカードで働き始めてから、「仕事を楽しんでいる先輩達」を目の前で見ることができました。
 
 
そして、その雰囲気の中で働くことで、僕も仕事を楽しいと感じるようになってきたのです。
 
 
そしてこれは、僕だけではないようでした。
 
 
同じ職場に僕と同い年ぐらいのパート社員の同僚が何人かいたのですが、彼らは休みの日にも売り場に顔を出すのです。
 
 
そこで社員さんや僕らパート仲間とちょこっと話してから帰っていきます。
 
 
もちろん、仕事のジャマをするようなことはなく、ほんのひと言ふた言声をかけてから、満足して帰っていくのです。
 
 
つまり、「皆の顔を見に来た」という状態です。
 
 
僕は家が少し遠かったので、さすがにわざわざ休みの日に来ることはありませんでしたが、彼らの気持ちはよく分かりました。
 
 
僕も家が近かったら、思わず顔を出したくなっていたでしょう。
 
 
学生アルバイトのメンバーでさえも、シフトが入ってない日に学校帰りに売り場に寄って僕らに会いに来ていました。
 
 
 

特殊な環境

僕は18才で高校を卒業して40才で独立するまでの間、業界の違う5社を渡り歩いてきました。
 
その経験の中で今思い返しても、「休みの日にスタッフが皆に会いに来るほど人間関係の良い職場」というのはここイトーヨーカドー以外にありませんでした。
 
 
僕は当時、かなり特殊な環境にいたのです。あのヨーカドー環境を数年間経験できたことは、僕にとって大きな価値観の変化をもらたしました。
 
 
それまでは「お金は苦労してガマンした対価としてもらうもの」というイメージがありました。
 
 
でも、ヨーカドーでは「楽しみながらお金を得る道がある」ことを知りました。
 
 
この経験から、「仕事は楽しんでも良い」「自分の好きなことを仕事にできる」という許可が、自分の中におりたのです。
 
 
僕はもともと「仕事を楽しむ生き方」を味わいたくてアクション俳優への道を模索し始めました。
 
 
でも意外なことに「つなぎの仕事」として選んだヨーカドーの職場で、仕事を楽しむ生き方を経験することになったのです。
 
 
これは予想外でしたが、ある意味「目的は達成できた」とも言えます。
 
 
 

反比例

そして、ヨーカドーの職場の楽しさと反比例するかのように、演技スクールのレッスンに対する情熱が、僕の中で薄れていきました。
 
 
以前、鉄工場で仕事をしていた時には、仕事中にも常に「演技スクールで習ったこと」を頭の中で復習していました。
 
 
でも今は逆です。演技スクールにいる時にヨーカドーでの仕事が思い浮かぶようになりました。
 
 
演技のレッスン中に、
 
 
「昨日売り場に新しく仕入れた例のバッグ、今日売れてるかなぁ?」
 
 
と気になってしまい、集中できないという現象が出てきました。
 
 
 

ダラダラ通うのはイヤ

このままダラダラと演技スクールに通い続けていても、クラスメイトの20年選手のK君&その取り巻きメンバーのようになってしまいます。
 
 
いつまでもデビューできないまま、「スクールのレッスン中だけ役者になった気分になる生活」を続けて年を重ねるのは、僕の望む生き方ではありません。
 
 
もちろん、演技を「趣味の習い事」として割り切るなら良いと思います。
 
 
でも役者業を仕事にしようとしているなら、やっぱり自分の中で期限を決めないと、ダラダラとレッスンを受ける生活だけを続けてしまう気がしました。
 
 
僕は決断をしなければならない時期が来たことを悟りました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 

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