From 師範代Shinya(新村真也)
一度も海外旅行すら行ったことのない僕が、初めて日本を飛び出したのは、31歳の誕生日を目前に控えた頃のカナダへの留学でした。
それは、日本でも一番寒い1月の終わり頃でした。
ただでさえ寒い時期に、さらに寒いカナダに行くことになるとは!!
とはいえ、カナダの中でも一番暖かいと言われるバンクーバーです。たぶん大丈夫だろう!と思いつつ、スーツケースの中には厚手の靴下やらユニクロのヒートテックを、これでもかと詰め込んでいきました。
詰め込み過ぎて飛行機の積み込み重量オーバーになってしまい、追加料金1万円払うか、中身を減らしてそのまま乗せるかの選択に迫られました・・・
結局、大きめのリュックに重い物を詰め換えて、手荷物として飛行機に乗り込むことで、ギリギリセーフでした。
(今思い返せば、あんなに持って行かなくても、靴下とか色んな服は現地でたくさん売ってました)
13年ぶりの飛行機
僕は、高校を卒業して社会に出てから、一度も海外旅行に行ったことはありませんでした。
海外どころか、国内の長期旅行にすら行ったことはありません。なので、飛行機に乗った経験は、高校のときに一度だけでした。
修学旅行で、北海道に行ったのですが、行きは寝台車で、帰りだけ飛行機に乗りました。が、もうその時の感覚はすっかり忘れていました。
なので、感覚としては「初めて」のようなものです。
しかも今回は、夜の便です。フライトは約9時間。飛行機の中で寝ることになります。
ドキドキしながら「エアーカナダ」の飛行機に乗り込むと、僕の席は通路側でした。
「あぁ、残念!窓側の席で飛び立つところを見たかったなぁ・・・夜景とか見えそうだし。」
そんなことを思いながらふと横の席に目をやると・・・窓際の席には身体の大きな50代後半~60代くらいの男性(たぶんカナダ人)が、にっこりと微笑みかけてきました。
(おっ!来たな!さすが欧米!なんてフレンドリーなんだ!よし!さっそく英語でコミュニケーションだ!)
僕も笑顔であいさつし、自分から自己紹介しながら話しかけてみました。自分にとって初めての海外であること、仕事を辞めて一大決心で留学を決めたことなどを話しました。
コミュニケーションの力
そしたら・・・なんと!!
「だったら、ぜひ窓際の席で飛び立つ瞬間を味わった方がいいよ!席を替わってあげるよ。」
と言ってくれたのです!!
なんていい人なんだー!!
おかげで僕は、窓際の席をゲットし、飛び立つ瞬間を存分に味わうことができました。
ジェットコースターのようにフワッと身体が浮き上がる感覚と共に、下の飛行場がどんどん小さくなっていきます・・・
光がキラキラゆらめいている地上が、どんどん遠ざかっていきます。
こんな高いところから地上を見下ろしたのは初めてです!
あぁ、キレイだな・・・
ひとりで感動しながらずっと窓から外の景色を見つめていました。
どのくらいたったでしょうか?
外も真っ暗で何も見えなくなってきたので、そろそろ隣のカナダ人のおじさんと話をしよう!と思いつきました。
さっきは自分の話ばっかりだったから、今度は彼が何者かをいろいろ聞いてみよう!!
と思いながら隣を見ると・・・
寝てる!!
ぐっすり寝てる!!
早ッ!!
結局、そのおじさんの素性は分からないまま、僕も寝ることにしました。
とはいえ、飛行機に慣れていない僕は、興奮してしまい、どうにもこうにも寝付けず・・・ほとんど寝られないまま、飛行機はカナダに到着し、着陸態勢に入りました。
カナダに到着!
到着時刻は朝でした。下を見ると、地図でしか見たことないような形をした陸が見えます。
「おぉー!!あそこに着陸するのか!!これが外国かぁ!!」
日本から一歩も出たことのない田舎者の僕にとって、飛行機の窓から見えるこの景色は感動でした!!
そして、隣のカナダ人男性がすごく良い人だったことで、すでに僕の中でカナダは良い国だ!というイメージが出来上がっていました。
・・・つづく。
コミュニケーションの持つパワー
今回の一件で僕は、改めて英語でコミュニケーションが取れることのメリットを実感しました。
もし、僕が隣の外国人男性を怖がって目をそらしたり、話しかけていなければ・・・僕は窓際の席をゲットすることはなかったでしょう。
僕にとって初めての海外への飛行機を存分に楽しめたのは、最初に英語でコミュニケーションを取ったからです。
僕は窓際の景色を見て、感動しました。
そして何より、僕に席を譲ってくれたカナダ人のおじさんが、すごく嬉しそうにしているのが印象的でした。
飛行機が離陸した後に、一度彼と顔を見合わせたのですが、窓際で感動のため息をついている僕を見て、彼はすごく満足げで優しい表情で僕を見つめていました。
その目はまるで、「孫が初めて体験ではしゃぐのを見守る祖父」のような雰囲気でした(笑)
僕らはふたりとも、幸せな時間を過ごせたのです。
旅の一番の醍醐味
旅行の一番の醍醐味は、「出会い」だと僕は思います。
たとえそれが、その場限りの出会いだったとしても、お互いの心に残る出会いというものはあると思います。
こうして8年たった今でも、僕はそのカナダ人の優しいおじさんのことをハッキリと覚えています。
お互い名前も連絡先も知らないまま別れましたが、僕の記憶の中で、彼は生き続けているのです。そしてこの先も一生、忘れることはないでしょう。
きっとあなたも、旅先でのトラブルの時に話した相手のことは、今でも覚えているのではないでしょうか?
僕はこの体験以来、日本で外国人に話しかけられたとき、
「もしかして自分との会話が、彼の記憶に一生残ることになるかもしれない」
という気持ちで接するようになりました。
そして、日本人である僕らの言動が、相手にとっての「日本の印象」になることは、よくあります。
僕らが日本で外国人観光客と話すとき、僕らは「日本代表」なのです!
そういう意味で、僕は小さな出会いも大事にしたいと思っています。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(英語の達人養成ジム 師範代)
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