from 師範代Shinya
(→前回の続き)
次に娘が新しい日本語文法を習得したのは、わずか1ヶ月後でした。
それは、朝に僕が娘の朝食の準備をしている時に起こりました。
その時は僕のお腹が減っている状態だったので、「グ~」と鳴りました。
それを聞いた娘が、
「あ!お腹の音が聞こえる」
と言いました。カンペキな文法です。
現在進行形でしっかり表現しています。
僕はこの時点で感心しながら、「子どもは時制をどういう感覚で身に付けていくんだろう?」と不思議に思いながら、ボーッと作業していました。
すると、反応のない僕に対して、娘がもう一度、同じ事を言ってきました。
娘:「パパのお腹の音が聞こえた。」
僕:「な、なにぃーーー!!」
僕は度肝を抜かれました。
娘は、時制を一瞬で過去形に切り替えてきたのです。
驚く僕の表情を見ながら、娘はさらに続けて言いました。
娘:「パパのお腹が鳴ってたよ。」
僕:「な、な、なんだとぉーーーー!!」
こんどは過去進行形を使ってきました。
驚きです!!
いったいどうやって、状況に合わせて時制を使い分けているのでしょうか?
これが、母国語の力ってやつか?
僕は驚きすぎて、どうしても娘の脳内で何が起きているのか、知りたくなりました。
僕:「ふーやん、今、いったいどうやって時制を使い分けたの?」
娘:「???」
僕:「何で今、言い方を変えたの?どういう感覚で使い分けたの?」
娘:「???」
僕:「やっぱムリか・・・質問を変えよう。今のフレーズは、どこで習ったの?保育園?」
娘:「わかんない。」
僕:「だよね~・・・」
このやりとりは、もちろん、僕はスマホに記録しました。
時制を使い分ける
僕は、ますます混乱してきました。
いったい娘は、どうやって時制の使い分け方を覚えているのでしょう?
僕が英語をこれまで教えてきた中でけっこうよく聞かれることが、
「過去形と過去進行形の違い」
です。
・He did ○○.(彼は~した)
・He was doing ○○.(彼は~していた)
どちらも、彼が過去にしたことを言っています。
だからどっちも同じように使える気がします。
でも、ネイティブは明らかに使い分けるのです。
過去進行形を使う時には、
When I visited him, (私が彼を訪ねた時に)
When I called him, (私が彼に電話した時に)
のように、「何か同時にしたこと」を持ってくることが多いです。
When I called him, he was taking a bath.
(私が彼に電話した時に、彼は風呂に入っていた)
という感じです。
このように、過去進行形と過去形を使い分けられるようになるためには、、しっかり説明をする必要があります。
でも、娘はそんな説明は理解できないでしょう。
おそらく、感覚で日本語を使っていると思われます。
これが、母国語のパワーなのか・・・
とてもじゃありませんが、第2言語の英語では、この領域に到達できません。
大人の英語学習と、子どもの母国語習得には、大きな違いがあることが、改めて分かりました。
ただ一方で、娘が今年3月に発した言葉を聞いて、「おぉ!これは英会話と一緒じゃないか!応用できるぞ!」と感じました。
次回の記事でシェアしますね。
・・・つづく。
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