【3歳の娘が日本語を習得する過程の観察記録④英会話にも応用できるテクニック】

 from 師範代Shinya

(→前回の続き)

最近になって、娘が新しく体得した技法があります。これが、英会話にも役立つもので、「あっ!母国語もこうやって身に付けているんだな」と感心したことがありました。

それは先日、僕が窓際で絵本を上の娘に読み聞かせている時のことでした。

窓際に置いた加湿器の上から出てくる水蒸気が、窓ガラスにかかって、少しずつ曇り始めました。

その変化を目ざとく見付けた娘が、短い指を伸ばして、「あっ!」と言いました。

僕は思わず、「そうだね~曇ってきてるね」と言いそうになりましたが、ここはグッとこらえて、娘が何か言うかどうかを観察してみることにしました。

娘は最近、やたら「情景描写」をしてくるからです。

「テーブルの上にパパの時計があるよ!」

「あっ!パパのイスの下にティッシュが落ちたよ!」

など、アイテムの位置関係を描写する文章をやたら発するようになりました。

これはまさに、TOEICのリスニング問題パート1と同じです。

There is a watch on the table.

A tissue is under the chair.

(※ティッシュは可算名詞として使えるそうです)

みたいな描写問題ですね。

この場面描写問題は、TOEICのSWテスト(スピーキング&ライティングテスト)でも採用されているので、やはり言語習得のためには良い練習になるのでしょう。

娘はその場面描写練習を、日本語でやりながら話しかけてきます。

そのため、僕は窓が曇ってきている状況を、娘がどう表現するのか?

興味しんしんでした。

ムズカしい場面描写

しばらく窓が曇っている状況を眺めた後、娘は、いつも流れで場面描写し始めました。

娘:「あっ!ほら!見てみて!」

僕:「うん、そうだね~」

娘:「だんだん・・・え・・・と・・・だんだん・・・」

僕:(さぁ!娘よ!どう表現する?カモン!)

娘:「え・・・と・・・だんだん・・・」

僕:(言えるのか?「曇ってきてる」って言えるのか?)

娘:「だんだん水がついてきたよ。」

僕:「そう来たかぁーーー!!!」

娘:「え?何?」

僕:「いや、ナイスパラフレーズ!」

娘:「ナイスって何?」

僕:「ナイスって、いいねって意味だよ。」

娘:「ふ~ん」

僕:「ちなみに、別の言い回しとしては、これは曇ってきてるって言うんだよん。言ってごらん。曇ってきてる。」

娘:「くもって・・・」

僕:「きてる」

娘:「きてる」

僕:「曇ってきてる」

娘:「くもってきてる」

僕:「そう!でも、これを言えない時には、今の水がついてきてるって言えばちゃんと通じるからね。」

娘:「うん。」

僕はこのやりとりで、子どもが母国語を身に付ける過程では、

「決してあきらめずに、知っているボキャを総動員して言いたいことを表現する」

ことが分かりました。

きっと、この「伝えることを諦めない姿勢」こそが、僕ら大人の英語学習者にも必要な部分だと思います。

パラフレーズの技術

娘は、「だんだん曇ってきてる」が言えない代わりに、「だんだん水が付いてきてる」と言い換えました。

この言い換えを、英語で「パラフレーズ」と言います。

パラフレーズの技術は、英会話では欠かせません。

というのも、頭の中に思い浮かんだ「言いたい内容」を、そのままポンポン話せるのは、母国語だけだからです。

英会話になると、どうしても妥協する必要が出てきます。

「本当はこう言いたいけど、そのまま英語にできない。だから、自分が知っているボキャと文法の中では、こう言えば近いニュアンスで伝えられる」

という感じです。

それに、そもそも日本語のニュアンスを丸ごと英語にすることには、限界があります。

たとえば、

「疲れる」を英語にすると、tired です。

I’m tired. (私は疲れている)

という言い回しができます。

でも、日本語の「お疲れ様です」を、tired を使って表現しようとしても、ムリですよね。

日本語の「お疲れ様です」は、別に疲れている時に言うセリフではないからです。

「お疲れ様です」の使いどころは、

①1日の終わりに、職場の人たちへの別れの挨拶として使う

②日中であっても、職場の人とすれ違った時に挨拶として使う

③友人同士のグループ飲みの集合時に、最初に会った瞬間に「おー!お疲れ!」みたいに、単なるかけ声として使う

という感じです。

同じ機能を持つ言葉に言い換える

そうなると、英語では同じ機能を持つ言葉に言い換える必要があります。
上記①~③を英語にすると、

① See you!

② Hi!

③ Hey, you guys!

になるわけです。

結局、「お疲れ様です」は、英語では同じ機能を持つ言葉にパラフレーズせざるを得ません。

だから、本当の意味で「日本語をそのまま丸ごと英語にする」というのは限界があります。

ちなみに、この限界に挑戦した本が、「日本語のように話せるキレッキレ英語」です。僕はこの本を使って1周、瞬間英作文で回しました。

その結果、日本語の微妙な言い回しを英語化する発想を学びました。

その場合でも、やはり発想を転換して主語を変えたり、言い回しそのものを変えたりと、パラフレーズの発想が必要だと気付きました。

ということで、娘は今、毎日新しい日本語ボキャを覚えつつ、これまで覚えたボキャをフル稼働させながら、毎日パラフレーズの練習をしているのです。

僕ら大人も、英語でこれができたら、間違いなく英会話が上達するでしょう。

そしてもう1つ、娘を観察していて気付いたことがあります。

これは、僕ら大人の英語学習者にもバッチリ当てはまることです。

次回の記事でシェアしますね。

 

・・・つづく

 

—————————————

※このブログに読者登録をしていただくと、最新の記事を1日1回、メールでお届けします。読者登録はこちらをクリックしてください。
    ↓↓↓

 

 

From  師範代Shinya(新村真也)

やり直し英語達成道場 師範代)

※もくじは、こちら

自己紹介は、こちら

こちらですアップ

 

 

 

 

師範代Shinyaの書いた本

↓↓↓

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください