From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
僕が空手道場に通い始めたとき、ひとつ疑問がありました。
僕の通っていた空手道場で教えていたのは、「極真空手」という流派でした。
空手の流派には、大きく2種類あります。
「伝統派」と「フルコンタクト派」です。
この2つは、試合スタイルが大きく違います。
「伝統派」空手は、試合をするときに次の2つの方法のうち、どちらかを使います。
①寸止め=技を当てずにギリギリで止める。
②防具付き=剣道のような防具をつけて、実際に当てる。
ここでは、「技のスピードや正確さ」を競います。
「もし、本当にここに突きや蹴りが入っていたら、相手は倒れていたであろう」という急所ポイントを先に取った方が勝ちです。
一方、「フルコンタクト派」空手の試合は、とてもシンプルなルールです。
①防具なしで実際に技を当て合う。
②倒れた方が負け。
です。
試合時間内に両方とも倒れなかった場合は、判定になります。
判定基準は、「相手にダメージをより多く与えた側の勝ち」になります。
極真空手は③のフルコンタクトの流派です。
なので、極真空手の構えや動きは、同じようなルールを採用している「キックボクシング」に似たものになります。
こんな感じです。
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道場での練習で感じた違和感
僕が極真空手の道場に通い始めたとき、違和感がありました。
それは、ふだんの練習では、伝統派空手と同じような「大きな動き」をしていたからです。
たとえば、右の突き(パンチ)を打つときには、左手は縮めて胸の横の位置までグッと引きます。
この「反対側の手を引く動作」のことを、「引き手」と呼びます。
相手の攻撃を受け流す技を練習するときにも、同じように引き手を取って大きく動きます。
でも、実際に組み手や試合になると、みんなそんな動きはしていないのです。
速い試合の流れの中では、引き手を取る動きは間に合いません。
それなのに、なぜふだんの練習では引き手を取る練習をするんだろう?
と僕は疑問に思っていました。
理由が分かった瞬間
でも、しばらくしてその理由が分かりました。
右パンチを打つときに、左手で「引き手」を取ると、自然に身体全体がねじれます。
引き手を取って身体全体の動きを大きくすることで、腰や肩などの身体全体を使ったパンチが自然に打てるようになるのです!
パンチは、腕の力を使っただけではたいした威力はありません。
腰~背中をひねって身体全体のパワーを拳に伝えた時に、初めて威力あるパンチが打てるようになるのです。
その時の「感覚」を初心者が身につけるには、「引き手」は最高の方法だったのです!
一度、「腰から打つパンチ」の感覚を覚えてしまえば、あとはモーションを小さくしても同じような威力のパンチは打てます。
本番の試合では動きは小さく
試合ではより速く動くために、パンチやキックを打つ時の動きは最小限に抑えます。
でも、身体がふだんの動きを覚えているので、小さい動きでも「しっかり腰を入れたパンチ」を打てるのです。
これが、試合の時とふだんの練習の時とで動きが違う理由です。
それが、僕が道場に入門した時に感じた違和感の正体でした。
英語の発音もまったく同じ
僕は、この時の体験から、「英語の発音」で感じていた違和感の正体が分かりました。
英語の発音練習は、口を大きく開けます。
口の中に指を3本も入れたりして、思い切り口を開くのです。
これによって、英語独特の「口の使い方」を身体に覚え込ませます。
大げさな口の動きをすることによって、英語らしい発音がしやすくなるのです。
大きな口の動きは、空手で言えば「引き手」にあたります。
これが、「練習用発音」です。
次に、慣れてきたら徐々に口の動きを小さくしながら、それでも同じ音が出せるようにしていきます。
これを繰り返していくと、最終的には口をほとんど動かさなくても、口を大きく開いていた時と同じような発音ができるようになります。
この状態が、「実戦の速い動きの中で使える」状態、つまり、「実戦用発音」です。
発音の種類によって練習も使い分ける
人によって得意な発音は違います。「L」と「R]の発音の違いが苦手な人は多いですが、そこは大丈夫だけど、「S」と「TH」の発音の違いが苦手な人もいます。
人によって、得意不得意はあります。
たとえば、あなたがLとRの発音が得意で、特に何もしなくてもキレイなネイティブ発音ができるなら、そこは無理に口を大きく開けるトレーニングをする必要はありません。
むしろ、口の動きを小さくしていくトレーニングをした方がいいかもしれません。
でも、たまに口を大きく使う練習をすると、改めて発音チェックができて良いと思います。
そして、一通り「大きな口でキレイな発音」ができるようになったら、本番の試合(ネイティブとの速いフリートーク)に備えて、徐々に口の動きを小さくしていくトレーニングを進めていきましょう。
※僕の「実戦発音」を聞いてみたい場合は、こちらの動画をご覧ください。
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