from 師範代Shinya
2才の娘の「言葉の習得ペース」が最近、急に早まりました。
どんな言葉を覚えたか関しては、また別の記事で書くことにして、今回は僕自身の「心境の変化」についてシェアしたいと思います。
娘が生まれる前、僕は正直、ワクワクよりも恐怖の方が上回っていました。
「自分が父親になんて、なれるんだろうか?まったくピンとこない・・・」
「父親としての自覚が全然持てないまま赤子が生まれても、いいのか?」
と思っていたのです。
娘が生まれた時にも、産婦人科で看護師さんたちに「パパ」と呼ばれることが何度かありましたが、自分のことを呼ばれているとは気付かず、まったく反応できませんでした。
お宮参りの時にも、神主さんに「お父様はこちらへ」と座る席を案内された時にも、「お父様?!あ、そうか!自分のことか!」と気付くまでに数秒かかりました。
その後、半年経ち、1年経っても、いまいち自分の中で「父親」というアイデンティティーが芽生えず、どうしたものか・・・と困っていました。
テレビに出てくる子煩悩パパ像
よく、テレビなどに出てくる子煩悩パパは、初めての赤ちゃんが生まれた瞬間に感動の涙を流し、メロメロの表情で「パパでちゅよ~」とか言いながらだっこして、あやしているシーンが描かれます。
赤ちゃんが女の子だった場合は、生まれたばかりの赤ちゃんを見ながら、「この子は絶対に嫁にやらん!」とか言って、妻から「まだそんなこと言うの早いよ~」とか突っ込まれるシーンを見たことがあります。
そういうシーンがドラマの中だったか、ドキュメンタリーだったか忘れましたが、そんな風に「赤子が生まれた瞬間に父親モード全開になる男の姿」が、僕の頭の中に焼き付いていました。
自分にはムリ
僕は正直、「こんな風にリアクションできる男いるの?いきなり父親気分になれるものなの?」と疑問に思っていました。
少なくとも、僕自身は娘が生まれた時に、そんなリアクションはできませんでした。
僕も病院で涙を流しましたが、それは赤子が生まれたことへの感動ではありません。
サヤが出産直後に出血多量で救急病院に搬送された後、輸血で一命を取り留めた時に、安心して涙があふれてきました。
その後は、いつまで経っても自分が父親になったことが実感できないまま、1年が過ぎました。
ところが、ある日突然、娘が「パパ」と声を発したのです!
呼ばれ続けることで芽生える自覚
最初の頃、娘はただ「パパ」と発音するだけで、自分が呼ばれている実感はありませんでした。
でも、だんだん成長するたびに娘は僕のことを「パパ」だと認識するようになり、発音する時にも明らかに「呼びかけている感」が出るようになりました。
ちなみに、僕は自分ことを日本式に「パパ」と呼ばせるか、欧米式に「Dad」と呼ばせるか迷っていました。
とりあえず、僕は娘の前で自分の顔を指さしながら、「パパ」と言った直後に「Dad」と言う作業を繰り返しました。
そしたら、なぜか娘は家の中では僕のことを「パパ」と呼び、公園などの屋外では「ダッド」と呼び分けるようになりました。
そうやって繰り返し呼ばれているうちに、僕はだんだん「自分は父親なんだ」という気分になってきたのです。
この記事を書いている今は、すでに自分が父親だという自覚が100%になったと感じたので、こうして記録することにしました。
ここまで、2年4ヶ月かかりました。
僕は、娘に何度も「パパ」や「Dad」と年中呼びかけられることによって、少しずつ父親の自覚が植え付けられていったのです。
「新しい自分」を受け入れるには年単位かかる
これは英語学習にも通じる部分があるのでは?と思います。
僕が新しく英語学習を始めた頃には、まだ自分が英語をペラペラ話している姿は想像できませんでした。
そうなったらいいなぁ~という希望はありましたが、実感がなかったのです。
当時の僕にとって、「英語が話せる自分」「外国人と楽しくおしゃべりする自分」というのは、父親になるのと同じぐらい、リアルに想像できない自分の姿でした。
当時は外国人の先生とちょっと挨拶程度のやりとりをしただけで、緊張して汗をかきました。
この頃の自分にとっては、「英語をやっている自分」には特別感があったのです。
その後、毎日英文を音読し続けているうちに、だんだん特別感が薄れてきて、「英語を勉強する自分」のキャラが普通の状態になってきました。
外国人バーに通い始めたばかりの頃は、青い目をした外国人と目が合うだけでも自体に緊張して、冷や汗をかいていました。
自分のつたない英語が通じない経験を何度もしながら、1年、2年と通い続けるうちに、だんだん、「外国人と話す自分」がデフォルト状態になってきました。
外国人が英語で僕に話しかけてくることが、特別に感じられなくなったのです。
そうなるまでに、2年半かかりました。
ちょうど今、自分が父親の自覚を感じるようになるまでにかかった期間と同じです。
人間は、「新しい自分」を受け入れられるようになるまでには、年単位かかるようです。
急に生まれ変わるわけではなく、徐々に変化していくので、自分では気付かないうちに順応している感じです。
準備が整う前に始める
僕は、娘が生まれた時にはまったく心の準備ができていませんでした。
でも、強制的に環境が変わり、何度も「パパ」「Dad」と呼ばれるうちに、父親としてのアイデンティティーが芽生えてきました。
英語学習も、心の準備が整うまで待つ必要はないと思います。
「いつか英会話を始めてみようかなぁ~」
と思っているなら、今すぐ始めてみるのです。
今は何も話せずにボロボロ状態で悔しい思いをしても、2年半後には、「外国人と話す自分」がデフォルト状態になっているでしょう。
英会話だけではありません。
「いつか日常会話以上の難しいボキャを身に付けてみたいな~」
と思っているなら、今すぐ、少し背伸びしたテキストに手を出してみましょう。
それであまりに負荷が高いようなら、途中でまた元のレベルの本に戻ればいいだけです。
大人の英語学習は、学生時代よりもずっと自由です。
「いつか英検準1級に合格したいなぁ~」
と思っているなら、いきなり過去問を解いてみるのも良いアイデアです。
全問ミスしても大丈夫です。
1度経験すれば、「このぐらいのレベル感か!」ということが分かります。
そのレベルに向けて少しずつ音読テキストのレベルを上げていくうちに、だんだん「英検準1級を目指す自分」がデフォルト状態になってきます。
自分の中で「特別感」が薄れてきたときに、それができる自分が当たり前になっているのです。
僕も今では「英語を話せなかった頃の自分」の感覚が思い出せないぐらい、「英語ができる自分のキャラ」が自然になっています。
もし僕が、
・英語の勉強を始める前
・仕事を辞めてカナダに留学する前
・英会話スクール講師に転職する前
・英検1級にトライする前
のタイミングで、自分の心の準備が整うまで待っていたら・・・おそらく今の自分はなかったと思います。
「先に新しい環境に身を投じて、後から少しずつ慣れていく」
ことでしか、人間は新しい自分に生まれ変われない気がします。
そのことを最近、娘から教わりました。
p.s.準備が整う前に始めてみよう!「人前で自信を持って英語を話すための3つのステップ」はこちら
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