from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
※2才の娘が日本語を習得する過程を観察した内容のシェアの続きです。
次に娘が習得したステップは、「所有格」でした。
僕の懐中電灯を指さしながら、
「これ、パパのだよ!これ、パパのだよ!」
と連発したり。
サヤのスマホを指さしながら、
「これ、ママの!ママの!」
と何度も言ってきます。
僕が「そうだよ、パパのだよ。」とか、「ママのだね~。」と返事するまでは、何度でも連発してくるのです。
正直、僕は最初、娘はただ言葉として言っているだけで、所有格の意味まで理解しているのか疑問でした。
でも、娘は「これ、パパのだよ!」と言ったアイテムには、決して触りませんでした。
自分のオモチャは自分の手元に集めて遊んでいますが、僕やサヤのアイテムには触らないのです。
気になるアイテムがあっても、眺めるだけで触りません。
(これはもしや、本当に所有格の意味を理解しているのか?)
と思って日々観察していたら、ある日、ついに僕の懐中電灯に手を伸ばしました。
(やっぱ、そうだよね~)
と思いながら見ていたら、懐中電灯を手に取ってからすぐに、自分でいじることなく、よちよちと歩きながらこっちにやって来ました。
そして、
「はい、どーぞ!これ、パパの。」
と言いながら僕に手渡してきたのです。
「おぉ!!所有格の意味を完全に理解しているのか!!」
僕は娘の理解力と自制心に感服しました。
僕の中にある幼児のイメージは、「何でも気になるモノに手を伸ばして、投げたり落としたりして壊すものだ」と思っていました。
なんとなく3才ぐらいまではそんな感じだろうと思っていたのです。
だから、カメラなどの衝撃に弱いガジェットは、娘の手の届かない高い棚の上に保管していました。
でも、今は安心して床やテーブルの上に置いておけます。
個人差はあるのかもしれませんが、2才の段階で所有格の意味が理解できて、その通りに行動できるとは、人間の知性の発達はスゴいなと思いました。
ついに完全な文章を習得
そしてついに、娘は「完全な文章」が言えるようになってきました。
SVOを全部入れた文章が言えるようになったのです。
「ジャム塗ってく~だ~さい!」
「ぬいぐるみ取ってく~だ~さい!」
「なんか聞こえる~!」
といったように、大人が使うのと遜色ない文章をたまに言えるようになってきました。
細かく見れば、ジャム「を」塗って~とか、何か「が」聞こえる、といったように、助詞が付いて初めて完璧な文と言えるのかもしれません。
でも、話し言葉では大人でも助詞を省略することはあります。
「ジャム取って!」
「なんか聞こえる。」
という言い回しは、大人でもよくします。
その意味では、娘は完全な文章が作れるようになってきたと言っても良い気がします。
急にブレイクスルーが訪れる
僕が今回注目したのが、娘の言語上達の「ペース」です。
娘が日本語を習得するペースは、一定ではありませんでした。
しばらく停滞が続いたと思ったら、ある日突然、新しい表現を使い出す。新しい表現を使い出したら、次の日になっても忘れることはなく、ちゃんと使える。
というシーンを何度も目撃しました。
てっきり赤ちゃんは、右肩上がりで少しずつ、日々新しい単語を覚えていくのかと思っていたので、このペースの不規則性は意外でした。
僕やサヤが娘に話しかけても、最初はまったく反応がなく、聞こえているのか?理解しているのかも、よく分かりませんでした。
でも、ある日突然、単語を正確にリピーティングし初めて、度肝を抜かれました。
さらに、それまで話しかけていた言葉も口から出すようになった時には、
「ちゃんと聞こえてたんだ!そして発音を脳内にストックしておいて、今出せるようになったのか!」
と驚きました。
この、デコボコした上達ペースは、僕たち大人が第2言語として英語を習得するペースにとても似ています。
英語も、「やっている割には伸びないなぁ~」と感じる時期がしばらく続き、突然「あれ?今、スムーズに英語をしゃべれたような?!俺、上達してる!」と感じる瞬間がやってきます。
このデコボコ感が、英語の習得ペースなのです。
もちろん、赤ちゃんが母国語を習得する時の方が、ペースは早いです。
大人の場合は年単位で停滞期を感じることもあります。
でも、続けていれば急に、ポン!と跳ねるのも事実です。
娘の早いサイクルでの日本語習得を観察しながら、
「言語能力は、デコボコしたペースで伸びる」
ということを、改めて感じました。
そしてさらに最近、「1度身に付けた言語能力が、著しく落ちる時」の共通点も発見したのです!
・・・つづく。
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