from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
※2才の娘が日本語を習得する過程を観察した内容のシェアの続きです。
娘のスピーキングスキルは、表面的に上達度合が分かりやすいです。
新しい単語を覚えて発音すると「おぉ!また新しい言葉を覚えた!!」と驚きます。
さらに、最初は単語しか発話できなかったのが、だんだん文章全体で話せるようになってくると、「上達してるなぁ~」と感じるものです。
でも、実はスピーキングのウラで密かに上達しているスキルがありました。
それが、リスニング力です。
リスニング力の上達は、本人にしか分かりません。
僕が娘に話しかけた時の理解度は、娘にしか分からないのです。
僕が娘のリスニング理解度をチェックする方法は、
・「これは何?」など疑問形にして話しかけて、正確な答えが返ってくるかどうか見る。
・「○○○して。」などの具体的な指示を出すことで、娘がその通りに行動するかどうかを見る。
といった手段があります。
でも、この方法には欠点があります。
それは、娘が僕の言葉を「聞き取れて理解しているけど、やらない。」のか、「聞き取れていないから、できない。」のか、その差が分からないことです。
特に今、娘は2才で「イヤイヤ期」です。
親の指示に反抗して、「イヤ!」と言いまくる時期に突入しています。
1度イヤイヤモードに突入すると、こちらが何を言っても「イヤだ!イヤだ!」を連発し、身体もぐにゃぐにゃさせてくるので、オムツを替えるのにも苦労する状態です。
ちなみに、英語にもイヤイヤ期を表現する言葉があって、
The terrible twos
(ヒドい2才)
と表現します。
イヤイヤ期は、万国共通のようです。
ちなみにこれは、人間の生存本能の中の1つ「自分で決める本能」が発達し始めることで起こる現象のようです。
僕は娘の反抗の言葉を毎日受けながら、「人間が生き残っていく上で必要な能力を育んでいる最中なんだ」と思いながら、耐えています。
わざと聞こえないフリも
また、娘はけっこうズルい手段も使ってくることがあります。
「本当は聞き取れているのに、理解できないフリをする」
というテクニックです。
たとえば、何か親を怒らせることをした時に、自分が何をしたのか分からないフリをすることがあります。
こちらが「○○しちゃダメでしょ!」と言ったり、「○○しなさい!」と言った時に、
・聞こえていないフリをして、普通にオモチャで遊び続ける。
・笑ったり歌ったりして、自分が怒られていることを理解していない赤ちゃんを演じる。
などです。
最初は本当に理解していないと思っていたのですが、後から「○○しちゃった。」などと自己申請してくることがあり、「あ!実は分かってたのか!」と驚くことが何度もありました。
自己申請する時には、反省している素振りを見せるのではなく、笑顔で言ってきたりするので、あくまで「悪いことだとは気付いてないよ」という部分はしっかり一貫性を見せてきます。
こんな高等テクニックが使えるということは、紛れもなく「リスニング力が高い」ことの証明です。
驚きのリスニング力
もう1つ、娘のリスニング力の高さを証明する現象がよく起こります。
それは、僕とサヤが娘のいたずらについて話している時です。
「今日、この子は○○してきて、床が水浸しになった。」
など、子ども向けではなく完全に大人に向けた話し方で会話をしている時に、娘はしっかり聞いています。
そして機嫌が悪くなって、ふてくされたりするのです。
その反応を見て僕は、「え?今の内容を聞き取れたの?」と驚くことがあります。
別に、娘の方を見ながら強い口調で話したわけではありません。
むしろ、笑顔で今日の出来事を振り返っているので、雰囲気や声のトーンからは感じ取れないはずです。
つまり、「言葉の内容」を理解しないと、娘は絶対にネガティブな反応ができないはずなのです。
他にも、僕がひとり言のように「○○して欲しいねぇ。」と言った言葉を聞いて、その通りに行動したるすることもあります。
「え?ちょっと待って!今の言い回しを理解したの?」
と驚くことがすごく多いのです。
僕の見立てでは、娘のスピーキング能力とリスニング力には、大きな差があります。
3:7ぐらいの比率で、リスニング力が高いと思われます。
英語も同じ
ちなみに、英語学習でもこの比率は同じぐらいです。
リスニングで理解できる内容と、スピーキングで表現できる内容には、大きな開きがあります。
「相手の言っていることは分かる。でも、自分でうまく言い返しができない。」
という悩みをよく聞きますが、この現象はどんなにレベルが上がっても、変わりません。
たとえば、先日僕は、眼科で定期検診を受けた直後に、英会話レッスンを受けました。
僕は過去に網膜のレーザー手術を受けているので、定期的に眼底検査で手術跡のチェックをしてもらいます。
眼底検査では、特殊な目薬で瞳を開くので、検査した後は数時間、とてもまぶしい状態が続きます。また、目の焦点も合いづらくなります。
その状況をネイティブの先生に英語で説明しようとしたら、あまりの言えなさに愕然としました。
知っている単語だけで何とか表現しようとしましたが、脳にモーレツに負荷がかかって、単数複数などの基本的な文法さえも、崩れているのが自分で分かりました。
それでも何とか言いたいことは伝わり、先生が「つまりこういうことね。」と文章をまとめてしゃべってくれましたが、リスニングは完璧にできました。
「あー!そうそう!それを言いたかった!やっぱり聞くことは100%できるなぁ・・・これを自分でパッと話せるようになりたい!」
と思ったのです。
練習すれば今回のトピックを英語で言える日が来ることは間違いありません。
でも、その時にはさらに複雑な内容のリスニングもできるようになっているでしょう。
このリスニングとスピーキングの差は、埋まることはないと思います。
ただ、差は埋まらなくても、リスニングとスピーキングの両方が同時に引き上がることで、話せる範囲が広がることに変わりはありません。
「差が埋まらないから諦める」のではなく、「差を利用して両方を引き上げる」という視点が大事だと感じています。
以上、娘の日本語上達の過程を観察した記録のシェアでした。
また今後、新しいデータがたまってきたら、まとめてシェアしたいと思います。
(完)
P.S.
※ちなみに、娘にはまだ英語を教えていません。もう少し成長して、英語に興味を持っているのが分かったら、イメージを使って英文法や英単語を子どもに教える実験をしてみようと考えています。
イメージ英文法&英単語は、大人にはとても有効な勉強法です。
もし初めて聞いた場合は、この動画セミナーでその威力を体感することができます。
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