from 師範代Shinya
(→前回の続き)
前回の記事では、発音が英会話で大事になりやすい理由をお伝えしました。
相手の外国人がこちらの話す英語の上手さをジャッジする基準に、発音はかなり大きな要素を占めています。
一方で、発音は文法や英単語に比べて上達が難しいジャンルでもあります。
今回は、その理由について探っていきます。
発音は子供の頃からやらないとダメ?
理由を探る前に、まず大前提として、
「発音は大人になってからではカンペキに身に付けることはできない」
という理論について考えてみましょう。
子供の頃から練習していないと、本当のネイティブ発音は身に付かない、という考え方です。
確かにそれも間違いないことだとは思いますが、
「発音は子供の頃からやらないとダメです。私たち大人はもう遅いです。以上!」
では解決にはなりません。
それに、大人になってから発音がネイティブ並みになる人も、一定数います。
僕は、発音も文法や英単語と同じく、訓練でカバーできると思っています。
ただ、文法や英単語とはちょっと性質が違うため、みんな練習法が分からなかったり、やり方が分かっても練習へのモチベーションが続かなかったり、後回しになりがちになってしまうのではないでしょうか。
だからこそ、ここで理由を分析しておくことは価値があると思っています。
僕が考える「発音が上達しづらい理由」は、5つあります。
1つずつ解説します。
理由①公式テストがほとんどない
理由の1つ目は、発音には公式なテストがほとんどないことです。
英検やTOEICのような、英語学習者の間で広く認知されているテストがあれば、そこへ向けて発音の練習モチベーションが上がるでしょう。
でも、英検やTOEICなどのテストで測るのは、主に文法や英単語力などがメインです。
もちろん、英検には二次面接試験があります。
TOEICにもスピーキングとライティング力を測るSWテストがあります。
でも、英検の二次面接は発音がメインというより、構文力や自分の意見をしっかり言えるかなど、総合的なスピーキング力がジャッジされます。
TOEICのSWも同じです。
発音だけに特化してジャッジする公式テストがほとんどありません。
「ほとんど」と書いたのは、ゼロではないからです。
僕はこの記事を書く前に、念のため「英語発音検定」というキーワードでGoogleで調べてみたところ、EPTという発音テストが存在することが分かりました。
English(英語)
Pronunciation(発音)
Test(テスト)
の略で、まさに発音テストですね。
このテストは「国際英語発音協会」という機関が実施しています。
正直、僕はこのテストの存在を知りませんでした。
英検やTOEICなどの歴史の長いテストと比べると、どうしても認知度は低いようです。
発音テストの難しさ
気になったので、このEPTの発音テストの詳細を調べてみました。
AIではなく、生身の人間の試験官がジャッジしているそうです。
しかも、1人だと偏りが生じるので、複数の人が1人の受験者をジャッジする仕組みのようです。
実際に受けた人の体験談ブログなどを読んでみました。
やり方は、最初はアルファベットや短い会話文の読み上げから始まり、後半は長文の音読をします。
長文には事前に読んでおける「課題文」と、当日になるまで分からない「初見英文」の2種類があり、どちらも発音に特化してジャッジされるそうです。
この長文の内容がけっこう難しいらしく、特に初見の英文は黙読時間が30秒しかない中で全部読み切るためには、ネイティブ並みのリーディングスピードが必要とのことでした。
読み上げ英文の中に知らない英単語が入っていたり、文法が理解できずに棒読みになったり、変なところで区切ってしまった場合は、当然減点の対象になります。
そういう点では、このテストは発音だけではなく文法力と英単語力全般を問われるテストのように感じる・・・と書いてありました。
こういう体験談を読んでいると、改めて「発音だけのスキルをジャッジするテスト作りの難しさ」を実感します。
確かに英検の2次試験の音読パートも、知らない英単語が入っているだけで、焦ってリズムがボロボロになることはよくあります。
純粋に発音だけのテストをするなら、初見の英文をなくして全部事前練習OKにして、さらに中学英語の文法と英単語の範囲内だけで書かれた英文を読み上げるしかない気がします。
それでも、純粋に発音だけを測れるのか?は分かりません。
とにかく、テスト問題作りの難しさから、発音には公式テストがほとんどないのです。
その結果、英語学習者にとっては、
「来年までに発音検定の準1級を目指してガンバる!」
みたいな目標が立てづらく、練習へのモチベーションが上がりづらいのではないでしょうか?
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
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