from 師範代Shinya
※最近、新しく出た人気本のレビューの続きです。
英語学習の世界でよく言われる2つの極論があります。
「日本人は文法をカリカリ勉強しているから、いつまで経っても英語が話せるようにならないんだ!英語をシャワーを浴び続ければ、自然に聞けて話せるようになるんだから、勉強なんてしなくていい!」
「文法が分からなければ、いつまで経っても聞き取れるようにもならないし、話せるようにもならない。話せたとしても、ブロークンイングリッシュのまま。文法は絶対必要!」
といった2極化した意見です。
この本の中では、第二言語論の視点から、この論争に対する答えも書いてあります。
第二言語論では、意識的な学び(文法などを勉強すること)と、無意識的な学び(習うより慣れろ的な練習)の2つの、どちらかが良いとかではなく、「どちらも必要」と書いてあります。
大事なのはバランスで、どちらに偏り過ぎても、英語は身に付きません。
ただ、比重で言うと、日本人は意識的な学びが多くなりがちです。
でも、英語を話せるようになるためには、無意識的な学びをメインに据えて、補助的に意識的な学びを入れると良いと書いてありました。
僕自身も、やり直し英語を始めた最初の1年間は、ひたすら無意識的な学びの場(外国人バー)に身を投じていました。
でも、1年経っても聞けない、話せない状態に愕然としました。
意識的な学びをまったくやっていなかったからです。
ただ、今この本を読んで、最初の1年間がまったくムダではなかったことに、改めて気づきました。
当時は「場慣れするのに役だった」ぐらいに思っていたのですが、今こうして第二言語論の視点で振り返ると、外国人を目の前にして、自分の言いたいことを必死で考える「概念化」の訓練をガッツリしていたことになるからです。
英語を話す時の3つのステップ
第二言語論では、僕たち日本人が英語を話す時には、必ず3つのステップを通るそうです。
ステップ1.概念化(言いたいことを考える)
ステップ2.文章化(英語でどう言うかを考える)
ステップ3.音声化(言ってみる)
この3つが組み合わさったのが、英語のスピーキングのスキルなのです。
そう考えると、瞬間英作文トレーニングを始めてすぐに英語が話せる実感を持てる人と、持てない人がいることも納得できます。
(ここから先は、僕の自己分析です)
瞬間英作文トレーニングでは、「文型を身体に刷り込む」のが目的なので、英語で言う内容があからじめ用意されています。
日本語文を見て、素早く英文に変換しながら話していくのです。
日本語訳があることで、2つのメリットがあります。
①「何を言うか?」を考える負担がなくなる分、英文を作ることだけに集中できる。
②同じ文型の英文を強制的に作り出すことができる。(初心者が自力でやるのはムズカしい)
つまり、第二言語論的には、ステップ2の「文章化」に特化した練習法なのです。
「概念化」がネックになって話せないこともある
でも、いざ話そうと思うと、「話す内容が思い浮かばない」とか、「話したい内容を、どの文型に当てはめて言えばいいのか分からない」という問題が出てきます。
人と向かい合って英語で話す経験値が少ないと、ステップ1の概念化でつまずく確率が高くなるのです。
確かに、振り返ってみると、僕の場合は最初の1年で概念化をひたすらトレーニングしていました。(当時はその自覚はまったくありませんでしたが)
しばらく外国人バーを封印して瞬間英作文トレーニングに専念していた時期も、週1回は英会話スクールのレッスンに通っていました。
だから、瞬間英作文トレーニングで刷り込んだ文型を使って話す、スピーキング効果が強く実感できたのではないか、と思います。
英語を教えるようになってからも、僕の生徒さん達の中で、瞬間英作文トレーニングを始めて3ヶ月~半年以内で「効果を実感してます!英語が口から出てくるようになりました!」と報告してくれる方々を分析してみると、
「先生と対面で話す英会話レッスンの一定期間受けたことがある、あるいは毎日受け続けている人」
がほとんどです。
これは、概念化の経験値が高いことが関係していると思います。
また、瞬間英作文トレーニングで学んだ文型を、すぐに試す場があるというのも、大きな要素です。
この本を読むことで、これまで何となくこういう傾向があるなと感じていたことが、ハッキリと理論として理解できた感覚になりました。
もし、あなたがこれまで瞬間英作文トレーニングを続けているのに、イマイチ話せないな~と感じている場合は、ステップ1の概念化でつまずいている可能性があります。
一人でも概念化の練習はできる
ちなみに、概念化を鍛える方法は、対人の英会話だけではありません。
自分の頭の中に浮かんだ考えや、目の前に見えるものを英語で言ってみる「独り言英会話」も、概念化の訓練に効果的と、この本にも書いてありました。
大事なことは、「自分がどこでつまずいているのかを、分析して考えるクセをつけること」だと思います。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
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