from 師範代Shinya
※最近、新しく出た人気本のレビューの続きです。
この本は、世界中で研究されている「第二言語習得論」を、専門用語を省いて分かりやすく解説しています。
第二言語習得論は、人間がどのようにして第二言語を習得するのか?どんな方法が効果的なのか?を、脳のメカニズムを元に分析した学問です。
目的は第二言語を身につけて、「話せるようになること」です。
スラスラ話せるようになるために必要な方法論が、書かれています。
その中には、日本ではあまり知られていない考え方も多くあります。
特に学校教育での英語の学び方と比べると、正反対と言っても良いぐらいのやり方です。
たとえば、一例を挙げると、
・教材は「98%の単語がわかる」レベルのものを選ぶ
・英単語は暗記するよりも「文章の中で7回出会う」ほうが記憶に定着する
・「聞ける」「読める」とは、語順のままでイメージできること
・「話せた」「話せなかった」の2択で終わらせない
などです。
やってしまいがちなパターン
本の中では、「大人のやり直し英語学習者がやってしまいがちな、あるあるパターン」が登場します。
たとえば、英検2級に合格した実力を持つNさんが、「まだうまく英語が話せない」と感じている事例が登場します。
英検2級レベルであれば、読解問題も読んで理解できるし、英単語も分かる。でも、話そうとすると、うまく英語が口から出てこない。
この状況を打破するために、他のスクールにアドバイスを求めたら、「もっとムズカしい準1級の英単語を学んだ方が良い」と言われたそうです。
でも、どこか違和感があったので、著者のあゆみ先生のところに相談に来た、というお話です。
ここであゆみ先生がアドバイスしたのが、「新しい英単語に手を出さないでください」ということでした。
3種類の知識
第二言語論では、知識には3種類あると定義されているそうです。
①知る
②できる
③自動化
の3ステップです。
本の中では、このステップを車の運転に例えて、分かりやすく解説しています。
「①知る」の部分は、運転で言うと、自動車教習所に通っている時の状態です。
エンジンのかけ方、ハンドルの回し方、交通ルールや標識の読み方などを、知識として学びます。
「②できる」の部分は、実際に車に乗って道路に出て、運転をしてみる段階です。
この段階では、まだ操作に慣れていないので、1つ1つの動作がぎこちなく、頭の中であれこれ考えながら運転しています。
車の操作に集中すると標識を見落としたり、道を間違えたりすることがあります。
逆に標識や道順に集中すると、車の操作がおそろかになったりします。
そのため、隣に教官が座って、危険な時にはブレーキをかけるなどして、助けてくれるのです。
「③自動化」の部分は、免許を取って何年か走り続けた段階です。運転そのものに慣れているので、歌を歌いながらでも正確で安全な運転ができるようになります。
英語バージョンに例えると
これを英語バージョンに例えると、
「①知る」の部分は、英語の知識を初めて入れている段階です。
たとえば、外国人から How are you? と聞かれた時に、
How = 程度を表すという意味か
are = これは be 動詞だな。
you = あなた、つまり私について聞かれているんだな
というように、1つ1つを分解して、初めて理解します。
「②できる」の部分は、英文全体の意味を捉えられる状態です。
How are you? と言われたら、1単語ずつ分析しなくても、「How are you? = 調子はどうか聞いてるのかな」と予測できます。
「③自動化」の部分は、日本語を介さずに、瞬時に何を聞かれたか理解できる状態です。
How are you? = 状態を聞かれた
と反応できるので、答えも素早く口から出て来ます。
先ほどの英検2級のNさんの話に戻ると、「今、うまく英語が口から出てこないから、英検準1級の英単語を覚える」というのは、「①知る」を増やす作業になります。
でも、英検2級の英単語力があれば、日常会話はだいぶ切り抜けられるはずです。
Nさんに足りないのは、「②できる」と「③自動化」の部分だと判断したあゆみ先生は、そこに特化したトレーニングをNさんにしてもらいました。
その結果、Nさんの英語はスラスラと口から出てくるようになり、今では海外の同僚とのプロジェクトをこなしているそうです。
英検2級レベルの英単語力を本当に使いこなせるようになれば、ビジネスでも英語が使えるという実例ですね。
このように、目的と手段を一致させることが、とても大事だということを、あゆみ先生は何度も本の中で強調しています。
・・・つづく。
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