From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
ジェフの職場での共同作業は、とても楽しい体験になりました。
今思い返せば、この時初めて、「起業家」の知り合いができました。
バンクーバーにいたときも、デイビッドが「週末起業」をしていましたが、それはあくまでサラリーマンとしての仕事を続けながら、リスクのない範囲で起業しているスタイルでした。
対してジェフは、サラリーマンを辞めて、これ一本に絞って起業していました。
ジェフは、政府から助成金をもらってこの事業をスタートしていました。
まだ1年目なので、この先どうなるか分かりません。
「どんな気分?」
と聞いたら、
「不安が半分、ワクワクが半分かな。」
という答えが返ってきました。
「自分が良いと思うことを世の中に発信してみて、どういう反応が返ってくるか?はやってみないと分からない。だから、俺はやってみているだけ。」
という冷静なコメントでした。
そして僕は、そんなジェフの起業家としての日常を一緒に体験することができました。
トロント最終日
ジェフの仕事場から帰ると、ジェフが言いました。
ジェフ:「今日はシンヤの最終日だから、ディナーは外食しよう。こっちで日本食を食べてないって言ってたよね?」
僕:「うん、食べてないよ。」
ジェフ:「じゃあ、せっかくだからこっちの寿司バーを紹介するよ。きっといい体験になると思う。トロントの日本食レストランを見て、シンヤがどう感じるかも聞いてみたいし。」
僕:「おぉ!それはいいね!」
そして僕らは、メアリーとダンを交えて、4人で寿司バーに繰り出しました。
目の前にCNタワーがそびえ立っています。
ここはおそらく、かなり都心になると思います。日本だったら、東京タワーのそばに住むようなものです。
夜ですが、街中がきらびやかなネオンサインであふれかえっています。
寿司バー
ところで、寿司屋さんのことを、英語では「sushi bar」と言います。寿司バーです。
日本語で「バー」というと、なんとなくお酒が出てくる場所のイメージです。
たしかに、寿司屋さんにもお酒は置いてありますが、メインはお酒ではなく寿司のはずです。
それなのに寿司バー。
これは、日本人としては違和感があります。
でも、英語圏の人にとっては、「バー」は「カウンター」と同じ意味です。
寿司レストランでは、長細いカウンターの向こう側に職人さんがいて、寿司を握ってくれます。
この、「カウンターごしにやりとりする」場所が、「バー」なのです。
もともと、この長細いカウンターは長い木(bar)を半分に切ったものを、そのままテーブルとして使っていたそうです。
そこから、このような細長いカウンターを置いたレイアウトのお店を、「bar」と呼ぶようになったらしいです。
トロントの寿司バー
お店の中に入ると、高級感のあふれる内装に驚きました。
ものすごいモダンな雰囲気で、和食っぽさはみじんも感じられません。
完全に西洋のイケてるレストランです。
メニューを見ると、かなりの金額が並んでいます。
どうやらここでは、寿司は高級食材のようです。
日本で言うところの、「フレンチレストラン」みたいな感じでしょうか。
ジェフが言いました。
ジェフ:「好きなもの何でも頼んで良いよ。今夜は俺のオゴりだ!」
僕:「え~!マジで?まだ起業したてで、お金が必要な時期じゃないの?」
ジェフ:「いいの、いいの、気にしないでくれ。
こうしてトロントで一緒に食事するのは、これが最初で最後かもしれないんだから。
それに、シンヤは今日、俺を手伝ってくれたしね。そのお礼だよ。」
僕:「いやいや、今日の手伝いは、今まで良くしてもらったことに対する感謝の気持ちだからさ。ちゃんと払うよ。」
ジェフ:「じゃあ、こんど俺が日本に行った時にオゴってくれよ。それでどう?」
僕:「了解!じゃあ、こんど絶対に日本に来てくれよ。」
ジェフ:「もちろん!メアリーと2人で行くよ。」
ダン:「おいおい、俺も一緒に行かせてくれよ!」
みんな笑いました。
トロントの寿司
僕は、カナダで寿司を食べるのはこれが初めてではありませんでした。
バンクーバーにいたとき、現地のセブンイレブンで寿司セットが売っていたので、買って食べてみました。
それはそれでおいしかったのですが、ネタがあまりに日本とは違いすぎて、これは寿司と呼べるのか?というものがほとんどでした。(カナダでは刺身などの生魚を食べる習慣がありません)
でも、ここは高級レストラン!
きっと、味も見た目も違うはず!
そう期待しながら、僕は「寿司セット」を注文しました。
・・・つづく。
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