【「秘密兵器」を、カナダで発動!】

 
 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
カナダ留学2週間目に突入した頃、僕はやっと肩の力が抜けて、クラスの雰囲気になじんできました。
 
リラックスすることで、だんだん「自分らしさ」が出せるようになってきました。
 
そこで僕は、日本を出発するときにスーツケースに密かに詰め込んできた、あの「秘密兵器」を発動させることにしました。
 
それは・・・日本の「外人バー」でも友達作りに大きな力を発揮した、「マジック(手品)グッズ」です。
 
日本の「外人バー」での経験から、マジックは「国境を越えてウケるエンターテイメント」だということが分かっていました。
 
日本語で演じても言葉のカベを越えてウケる「マジック演技」に、「英語力」が加わると最強です。
 
「英語&マジック」という、国境を越える最強コンビが、世界中の国々から集まったこのクラスメイトたちにどこまで通用するのか?
 
それを知るために、僕は「マジックグッズ」を日本から密かに持ってきてあったのです。
 
 

ウラの目的

カナダ留学期間中の僕の「オモテの目的」は、
 
①英語の「対人会話力」アップ
②文化の違いを体験する
③日本で培った英語力を、海外のビジネスの現場で使う
 
の3つでした。でも実はもうひとつ、ウラの目的がありました。
 
それは・・・「④マジック演技の腕を磨く」ことでした。
 
マジックの腕を磨くために、僕がこだわったことがありました。それは、
 
「カナダ滞在中は、マジシャンの3原則を守る」
 
ということです。
 
 

マジシャン3原則

マジシャンの3原則とは、
 
① タネ明かしをしない
 
② 同じネタを同じ人に2度見せない
 
③ これから何が起こるか説明しない
 
というものです。①と③は、心がけの問題でなんとかなります。でも、問題は②です。
 
クラスは、1ヶ月ごとにメンバーが入れ替わる仕組みでした。つまり、最初のメンバーは1ヶ月間、ずっと同じなのです。
 
途中で新しい人が入ってくることはあっても、基本は同じメンバーと過ごすことになります。
 
ということは、1ヶ月の間に同じネタを2回演じることはできません。
 
 
 

毎日違うネタ

そこで僕は、週5日間×4週間分=20個の違うネタをスーツケースに詰め込んで日本を出発したのでした。
 
マジック道具の面積だけで、大型スーツケースの4分の1のスペースを占めていました。
 
 
 

サプライズの始まりの日

僕が最初にやったことは、先生がクラスルームに入ってきて、ちょっとしたスモールトークが始まったタイミングで、手を挙げてみんなの前で発言することでした。
 
これはけっこうドキドキしました。
 
 
先生:「おっ!なんだい?シンヤ?」
 
僕:「実は、僕は日本からマジック道具を持ってきたんです。よかったら今から、先生とみんなの前でマジックを演じて見せたいと思っています。ちょっと時間をいただいてもいいですか?」
 
先生:「マジック?それはいいね!ぜひ、見せて欲しいよ。みんなも見たいかい?」
 
みんな:「もちろん!ヤッホー!!」
 
 
みたいな感じで、全員ノリノリでした。
 
おっ!やりやすい雰囲気だな!良かった!
 
そして僕は、バッグに手を伸ばしました。
 
 

超絶リアクション!!

最初のマジックは、僕の「テッパンネタ」を披露しました。これまで何百回と演じてきて、「緊張しない&ミスしない」自信のあるものだけを演じました。
 
すると・・・
 
ドッカーン!!
 
と受けたのです!!
 
女性たちのキンキンした悲鳴と、男たちの低い声のどよめきが混じった声が、広いクラスルーム内に轟きました。
 
あまりに大きな声が出たので、隣の部屋の先生がびっくりして、僕らの部屋をのぞきにきた程です(笑)
 
 

ラテン系の若者

僕はカナダに来る前に、日本の「外人バー」でマジックを演じまくってきたので、ネイティブたちの日本人離れしたリアクションには慣れているつもりでした。
 
でも、ここカナダでの、ラテン系の若い生徒たちのリアクションは、それをはるかに上回るものでした!!
 
とにかく、彼らはふだんから声がデカく、感情表現も豊かなので、マジックによってそれが何倍にも増幅された感じでした!!
 
こういう大きなリアクションをもらった時が、マジシャンにとって最高に気持ちいい瞬間です!!
 
僕は、「提案してみて良かった!!」と改めて思いました。
 
 
 

一気に広がった人間関係

その日から、僕はクラスメイトたちから、「マジシャンシンヤ」と呼ばれるようになりました。
 
僕の噂はクラスルームの外にまで広がり、他の部屋のクラスの生徒たちも、僕のマジックを見るために、昼休みに声をかけてくるようになりました。
 
その日から、僕を取り巻く状況は一変しました。
 
それまでは、クラスの中では「あまり目立たないアジア人」だったのが、わずか1日で人気者になりました。
 
(アジア人は僕ひとりだけだったので、もしかして本当は最初から目立っていたのかもしれませんが・・・)
 
 
 

シンヤ・タイム

その日から先生は、毎回のクラスの「最初の5分」を「シンヤタイム」として僕にくれるようになりました。
 
僕は毎日、世界中から集まった20人の生徒たちの前で、英語でマジックを演じる機会を得ました。
 
もちろん、僕は「毎日違うネタ」をやりました。毎回みんなの期待値が上がっていくのが分かりました。
 
テッパンネタは最初の方にやり尽くしてしまったので、後半に行くほど「自信のないネタ」になっていきました。
 
それがけっこうプレッシャーでしんどい部分もあったのですが、もともと性格的に「みんなの注目を浴びる」のが好きな僕にとっては、楽しい時間でした。
 
このときの経験は、僕のマジックの「演技力」の部分に大きな影響を与えてくれました。
 
それからしばらくして、僕はマジックを通じて、あるひとりのアフリカ出身の青年と出会い、彼のカナダでの留学生活を大きく変えるきっかけを作ることになるとは・・・この時には思ってもいませんでした・・・
 
・・・つづく。
 
 
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