From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
「日本語と英語の視点の切り変え方」を教えてくれる本、
「会話もメールも英語は3語で伝わります」
のレビューの続きです。
前回の記事では、
「すべての言葉を3語でシンプルに伝えたら、日本語で言いたいニュアンスがしっかり伝わらないのでは?」
という意見に対する僕の考えをお伝えしました。
「そもそも日本語のニュアンスを余すところなく英語で伝えようという発想自体が、現実的ではない気がする」
ということです。
僕は、自分が英会話初心者だった頃の方が、「この日本語のニュアンスを英語でしっかり伝えたい!」という思いが今に比べて強かった気がします。
英語を長く深く学べば学ぶほど、日本語との違いが浮き彫りになってきます。
そして、「ここまで違う言語同士を完璧に翻訳するのは、そもそもムリなのでは?」と思うようになりました。
特に会話文のニュアンスは、日本語と英語の違いが浮き彫りになります。
日本語のニュアンスを100%英語で伝えることはできない
日本語は、1つ1つの言い回しに細かいニュアンスを加えていく言葉です。
ここで再び、僕のお気に入りの神テキスト「英会話イメージトレース体得法」の一節を引用します。
この2つの日本語の会話文を声に出して読み上げてみてください。
↓↓↓
①昨日、先生に怒られた。
②昨日、先生に怒られたんだよね。
この2つの日本語文のうち、どっちの方が会話っぽい表現でしょうか?
おそらく②ですよね?
①の方だと、ひとり言のようにも聞こえます。
②の文は「~んだよね」が入っていることで、聞いた人は「自分に向かって話しかけられているんだな」と感じます。
「~んだよね」って何??
この「~んだよね」っていったい何でしょうか?
ちなみにこの「~んだよね」は、細かく分解して1つずつ減らしても意味が通じます。
①怒られたんだよね。
②怒られたんだよ。
③怒られたんだ。
1つずつパーツを減らしていっても、文法的には成り立ちます。
でも、それぞれ微妙にニュアンスは違う気がしませんか?
日本語を学んでいる外国人に、
「この3つはどこがどう違うんですか?詳しく教えてください。」
と言われても、プロの日本語教師でもない限り、具体的にニュアンスの違いを説明するのは難しいでしょう。
それでもなとなく「それぞれ受ける印象が違う」ことは分かります。
「~んだよね」の正体
実はこの「~んだよね」の正体は、こんな感じらしいです。(英会話イメージトレース体得法のテキストの本文内容をもとに、少しシンプルに表現しました)
↓↓↓
「んだ」=これはひとりごとじゃなくて、君に説明してるんだよ、というニュアンスを加える。
「よ」=これは自分の感情なんだよ、というニュアンスを加える。
「ね」=君に同意&共感をしてもらいたい、というニュアンスを加える。
という感じです。
そう思いながら、もう一度さっきの文を見てみましょう。今回は「だんだん加えるバージョン」でいきます。
↓↓↓
①先生に怒られた。
(ひとり言っぽい&事実を淡々と伝えている感がする)
②先生に怒られたんだ。
(相手に話しかけている感を加える)
③先生に怒られたんだよ。
(自分の「ツラい」という感情を加える)
④先生に怒られたんだよね。
(俺をなぐさめてくれ~!という気持ちを加える)
言われてみれば、「あ~たしかに!そんなニュアンスを感じる気がするな」と思いませんか?
英語は全部いっしょ
この微妙なニュアンスの違いは、英語で表現することはできません。
①~④まですべて、
The teacher got angry at me.
としか言いようがないのです。
「ん」も、「だ」も、「よ」も、「ね」も、英語では表現できません。
もちろん英語にも、日本語で「~ね」に相当する「付加疑問文」と呼ばれる言い回しがあります。
It’s hot today, isn’t it?
(今日は暑いですよね)
You like sushi, don’t you?
(あなたは寿司が好きですよね?)
というように、isn’t it? とか don’t you? というパーツを加えることで「共感してね!」というニュアンスを加えたり、「合ってるよね?」という確認のニュアンスを加えることができます。
でも、さっきの「先生に怒られたんだよね」の文章に付加疑問文を使うことはできません。
The teacher got angry at me, didn’t he?
(先生が私に起こったんだよね?)
なんて聞かれても、意味が分かりません。
「いや、怒られたのは君でしょ?そんなの君しか分からんよ!」
と思われるでしょう。
付加疑問文=「ね」
と日本語訳で覚えても、とんちんかんな使い方になってしまうのです。
ここはシンプルに、
The teacher got angry at me.
が、英語の世界では正解なのです。
今回はちょっと極端な例でしたが、こんな風に「日本語のニュアンスを余すところなく英語で伝えたい」という考え方自体が、現実的ではないのを感じていただけたと思います。
日本語では「あっさりし過ぎている」と感じるような表現が、実は英語では100点満点の表現だったりするのです。
だからこの「英語は3語で伝えよう」というコンセプトは会話でもメールでも役に立つのです。
・・・つづく。
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