【この英文を読んで、昔の自分を思い出した】

from 師範代Shinya

今、僕は自分の教材として「キレッキレ英語リローデッド」というテキストを使っています。

その中に、こんな英文が出てきました。439番の例文です。
↓↓↓

Some say I learn English just to distract myself from the reality, but I simply find a little comfort in what I do.

(他人は私の英語学習を現実逃避だとか言うけれど、私にとってこうすることは日々のほんのささやかな慰め。)

見出し語は、「a little comfort=ほんのささやかな慰め」です。

この本には、こういう日本文化的な表現を、微妙なニュアンスまで含めて英語で上手に伝えるための表現例が載っています。

この英文を見た時に、僕は「ああ、これ昔の自分だな」と思いました。

今でこそ、僕は英語講師として仕事をしています。

その過程で英検1級を取ったり、TOEICで975点を取ったり、英語学習について発信したりしています。

でも、最初からそんな高い目標を掲げていたわけではありません。

むしろ、英語を始めた頃の僕にとって、英語は燃えるような情熱の対象というより、仕事から少しだけ頭を離れられる場所でした。

まさに、a little comfort だったんです。

 英語は、僕にとって癒しの時間だった

僕が本格的に英語学習を始めた当時は、ジーンズショップの店長に昇格したばかりでした。

店長という肩書きは、聞こえはいいです。

でも実際には、毎月の売上目標があり、スタッフ育成があり、お店全体の空気作りがあり、クレーム対応がありました。

もちろん、やりがいもありました。

でも、いつも頭のどこかに数字がありました。

今月の売上は足りるのか。

スタッフは育っているのか。

自分は店長としてちゃんとやれているのか。

これは精神的なプレッシャーです。

ちなみに、それに加えて「肉体的な恐怖」にさらされることも、たまにありました。

僕のいたお店は立地的にヤ○ザ事務所が近くにあり、本職の方々がたまに舎弟を引き連れてぞろぞろ来店することがありました。

さらに、本職とまではいなくても、若いヤンキー系の男女が来ることもありました。

その手の人たちは、要求が多く、声が大きく、威圧的な言動をするので、すごく緊張します。

ヤンキー男から「レシート無しの返品」を要求されて断ったら、怒鳴りながらレジの反対側ゾーンに侵入してきて、殴られそうになったこともあります。

泣く泣くその場で返金して、後からデータを詳しく調べたら、売れた形跡がありませんでした。

(おそらく他店で万引きしてきた同じ商品を、うちの店で詐欺返金したと思われます)

その後、本部に報告したら、怒られて始末書を書きました。

この時の「板挟みの悲しさ」は、今でも覚えています。

特に、店長になりたての頃は自信のなさが伝わるようで、この手の輩につけ込まれて怪しい返金を要求されることが、何度かありました。

経験値を積んでからは、毅然とした態度を取れるようになり、つけ込まれる率がだいぶ減りました。

でも、身の危険がゼロになったわけではありません。

「売上目標&身の危険の両方」が職場にある。

そんなプレッシャーの中で働いていたので、休日になると、とにかく現実から少し離れたかったんです。

最初、英会話スクールに通おうと思ったきっかけも、立派なものではありませんでした。

正直に言うと、女性との出会いを期待していました。

英語を話せるようになって世界で活躍したいとか、将来のキャリアアップのために必要だとか、そんな意識があったわけではありません。

でも、英会話スクールに通い始めて、家で英語を勉強する時間が増えていくうちに、いつの間にか英語の時間そのものが、自分にとっての癒しになっていきました。

仕事のことを考えなくていい。

売上のことを忘れられる。

スタッフの悩みから、少し距離を取れる。

英会話スクールには、ヤンキー生徒もいない。(英会話スクールに通うヤンキーは、僕の人生では一度も見たことがありません)

英単語を覚えたり、英文を音読したり、英会話スクールでたどたどしく話したりしている時間だけは、頭の中が仕事モードから切り替わりました。

それは、努力というより避難場所に近かった気がします。

現実逃避としての英語は、そんなに悪いのか

この英文では、英語を学ぶ理由が「現実逃避なんじゃないの?」と少しネガティブな含みで表現されているように感じます。

でも、僕はそれを読んで、これはすごく日本文化っぽい感覚だなと思いました。

たぶん、著者のカズ先生も、そこをあえて表現したかったのではないかと思います。

このテキストには、ポジティブとネガティブ両方の表現が入っているのですが、どちらも日本文化を的確に表現したものばかりです。

日本では、英語学習に対して、けっこう強い固定イメージがあります。

・英語をやるなら、本気で伸ばさなきゃいけない。

・お金を払うなら、投資した分は回収しなきゃいけない。

・やる以上は、TOEIC何点、英検何級、海外でペラペラ、みたいな目に見える結果を出さなきゃいけない。

・楽しみでやるだけではダメ。

・趣味として英語を続けるだけでは甘い。

そんな空気を感じることがあります。

でも、僕は思うんです。

英語を、もっと気楽に始めてもいいんじゃないでしょうか。

仕事で疲れている大人が、休日に英語の音読をして少し気分が整う。

日々のストレスから離れるために、英会話レッスンを受ける。

寝る前に英文を読んで、少しだけ違う世界に入る。

それでいいと思うんです。

最初から人生を変えるために英語をやらなくてもいい。

ただ少し気分が落ち着くから。

その時間だけは自分に戻れるから。

そんな理由で始めても、十分に価値があります。

ストレス発散として始めた方が、むしろ続く

むしろ、英語をストレス発散の手段として位置づけた方が、習慣化しやすいのではないかと僕は思っています。

たとえば、TVゲームって、誰かに強制されなくてもやる人はやりますよね。

最初からプロゲーマーになろうと思って始める人ばかりではないと思います。

ただ楽しいからやる。

現実から少し離れられるからやる。

気分転換になるからやる。

でも、そうやって続けているうちに、どんどん上手くなって、Eスポーツの世界で優勝して大金を稼ぐ人も出てきます。

もちろん、全員がそこまで行くわけではありません。

でも、大事なのは順番です。

楽しいから続く。

続くから上達する。

上達するから、もっと面白くなる。

英語も同じだと思います。

最初から「3ヶ月でペラペラにならなきゃ」とか、「1年でTOEIC900点を取らなきゃ」と考えると、苦しくなります。

もちろん、目標があることは大事です。

でも、その前に、英語に触れる時間が自分にとって心地いいものでなければ、続けるのは難しいです。

僕自身も、最初は高い志で始めたわけではありません。

でも、英語の時間が自分の中で a little comfort になったから、続けることができました。

そして続けているうちに、少しずつ力がついていきました。

英語は、人生を変える前に心を支えてくれる

英語学習というと、どうしても結果の話になりがちです。

英検に受かった。

TOEICの点数が上がった。

海外旅行で通じた。

仕事で使えるようになった。

もちろん、それらは大きな成果です。

でも、その手前にも、英語がくれる価値はあります。

今日も少しだけ勉強できた。

この英文、前よりスムーズに読めた。

英会話で一言だけ言えた。

音読していたら、少し気持ちが落ち着いた。

こういう小さな感覚も、英語学習の立派な価値です。

英語は、人生を劇的に変える道具になることもあります。

でもその前に、毎日の中で少しだけ自分を支えてくれる存在にもなります。

僕にとって英語は、最初から夢や成功の象徴だったわけではありません。

むしろ、仕事のプレッシャーから少し離れられる、静かな居場所でした。

現実逃避と言われれば、そうだったのかもしれません。

でも、その現実逃避があったから、僕は英語を続けることができました。

そして結果的に、その小さな癒しの時間が、今の仕事にもつながっていきました。

だから僕は、英語を始める理由が立派じゃなくてもいいと思っています。

モテたいでもいい。

海外旅行で困りたくないでもいい。

なんとなくカッコいいでもいい。

仕事を忘れられるからでもいい。

自分にとって、ほんの少し心が軽くなる時間になるなら、それだけで十分です。

英語は、もっと気楽に始めていい。

もっと楽しく続けていい。

そして最終的に、自分が満足できれば、それでいいんじゃないかと思います。

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