From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
僕が小学生の頃の夢のひとつは「バック転ができるようになりたい!」という願望でした。
中学生以降はしばらく「バック転願望」は消えていました。
でも10代後半になった頃に、ジャニーズがバック転を振り付けに取り入れ始めたのがきっかけで、再び僕の中でバック転願望が燃え上がりました。
そこで、電話帳で「体操教室」を調べて、見学に行きました。
その教室はけっこう遠くて、家からクルマで1時間以上かかりました。
何とかたどりついた教室は、市街地から離れた場所にありました。
周りが何もない場所に、すごく大きなプレハブのような作りの建物がドーン!と建っていました。
おそるおそる中に入ると、入り口の事務所っぽい所にオーナーの中年男性と奥さんがいました。
僕:「こんにちは。先ほど電話しました新村です。」
オーナー:「あーはいはい、新村さんね。」
オーナーは小柄ですが、表情が険しくて、いかにも厳しい監督っぽい雰囲気があります。
奥さん:「いらっしゃい。」
奥さんは柔らかい笑顔で、声もすごく優しそうな雰囲気です。
オーナー:「見学希望ですね?」
僕:「はい。」
オーナー:「今、おいくつですか?」
僕:「19才です。」
オーナー:「なるほど。実はあなたのような年齢の人が見学に来るのは初めてでね。見学しながらちょっとお話を聞かせてもらえますか?」
僕:「あ、はい!」
(え?初めて??どういうこと??)
オーナーに案内されて奥に入ると、驚きの景色が目の前に広がりました。
始めて見る体操教室の景色
僕の目の前に現れたのは、ものすごい広くて天井の高いスペースで、生徒たちが縦横無尽に動き回っていました。
生徒たちは、みんな同じ白い体操服を着ています。オリンピック選手が着ているようなデザインのやつです。
教室内には、すごい高くて大きい鉄棒、あん馬など、テレビでしか見たことがないような体操道具が設置されています。
特に鉄棒は、学校にある一番大きな鉄棒の何倍もあるようなスケールです!
その鉄棒に、小学生ぐらいの子供がぶら下がって、「大車輪」をやっていました。
ものすごい勢いでグルングルン回っています。めちゃくちゃスゴい迫力です!!
あん馬のところでも、小学生たちが手だけで全身を支えながら、両足をブンブン回しています!
そしてマットの上では、小中学生ぐらいの子供達が、空中で何回転もの宙返りをしています。バック転どころではありません!
僕:「す、すごい・・・スゴ過ぎる!!」
僕はこれまでに見たことのないような光景に、完全に心を奪われました。
僕:「体操教室って初めてなんですが、みんなこんなにスゴいんですね!驚きました!」
オーナー:「実はここは、将来のオリンピック選手を育てるための施設なんですよ。健康目的の体操教室とは違うんです。」
僕:「なるほど!だからこんなにハイレベルなんですね!初めて見ました。体操ってスゴい世界ですね!」
オーナー:「見てもらって分かる通り、うちの生徒は幼稚園生から中学生ぐらいまでです。体操は遅くても小学生低学年ぐらいから始めないと、身体が硬くなってムリなんですよ。」
僕:「そうでしたか!ということは、僕は完全に対象外ということですね。」
オーナー:「申し訳ないけど、そういうことになりますね。新村さんぐらいの年齢の初心者に合うプログラムが、うちにはないんですよ。」
僕:「なるほど!ちなみに、こういう風に本格的に教わるのではなく、教室の片隅でみんなのジャマにならないように練習をさせてもらうだけという通い方でもダメですか?」
オーナー:「ちなみに新村さんが体操を習いたい目的は何ですか?何ができるようになりたくて通おうと思ったんですか?実はそれを直接聞きたくて、見学OKにしたんですよ。」
僕:「そうでしたか!実は僕は、バック転ができるようになりたいんです。体操選手になりたいわけではなくて、バック転をできるようになりたいだけなんです。」
オーナー:「バック転というのは、後方転回のことですか?」
僕:「こうほうてんかい??」
オーナー:「見てもらった方が早いかな。ちょうどあそこで練習が始まるんで、移動しましょう。」
体操教室のバック転のレベル
僕らが移動した先は、細長いマットが何十メートルも敷いてあるエリアでした。
そこに幼稚園~小学校低学年ぐらいの子供達が10人ぐらい集まってきて、一列に並びました。
そして、クルッと後ろを向いたと思ったら、突然バック転を始めました。
1回転だけではありません!
何回転も連続でバック転しています!
列の1人目が2メートルぐらい進んだら、すぐ次の2人目の子がバック転を始めました。
同じペースで3人目、4人目と続きます。
子供達は、何十メートルもある長さのマットを、一度も止まることなく、しかも長細いマットから外れることなく、正確にまっすぐバック転しながら移動していくのです!
そしてゴールまでたどり着いたら、すぐにまた小走りでスタート地点に戻って、列に並び直します。
そしてまた、連続バック転をしながらマット上を移動していくのです。
こんなに回って目が回らないのか?不思議です。
子供達のバック転のフォームは完璧な美しさで、「寸分の狂いもない」という言葉がピッタリな感じです。
皆いともカンタンに、軽々しくバック転しているように見えます。
僕は驚きのあまり、目と口が開きっぱなしになってしまいました。
オーナーは表情ひとつ変えずに言いました。
「こういうのができるようになりたいんですか?」
僕:「え・・・いえ、ここまでは求めてなくて・・・何て言うか・・・1回だけ回れるだけでも満足です。」
僕は体操教室のバック転レベルの高さに、衝撃を受けて動けなくなりました。
・・・つづく。
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